ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

ヒューム管

2009年07月01日 | 其の他
ヒューム管って何か知ってる?」と問われて、パッと答えられる人は少数派だと思う。少なくとも、自分は全く知らなかった。ドラえもんのび太達が広っぱに居る場面を想像して欲しい。餓鬼大将ジャイアンが座っている「大きな丸い筒」、そう我々が普通「土管」と呼んでいる物の正式名称が「ヒューム管」。共に「生活排水汚水処理場に流す為に用いられる。」事を目的にしているが、「表面に茶色の釉薬が塗られた陶器製の管が『土管』。」で、「コンクリート製で灰色の管は『ヒューム管』。」と称するのだとか。

週刊現代の連載コラム「物は語る」は様々な「物」にスポットを当て、それを作っている人達から知られざる逸話を聞き出すという、実に面白い内容。6月13日号は「土管(ヒューム管」(記事&文:夏目幸明氏)というタイトルで、ヒューム管に付いて掘り下げている。先ずはヒューム管の作り方だが「筒の形をした枠に筒型の鉄筋嵌め其処に生コンクリートを流し込む。→それを回転させ、遠心力で水分を飛ばして完成。」という作業工程。こう書くと極めてシンプルに感じるが、遠心力で脱水する際のコンクリートに掛る加速度は30~40で、スペースシャトルの発射時に掛るのが3G程度という事を考えると、かなりの技術が要されると言っても良い。この方法によって、生コンクリートを型に流し込んで作るよりも密度が高くて堅い物が出来、同じ生コンクリートから作った物と割れ方を比較すると、10%強い結果が得られたとか。

20世紀初めにオーストラリアのヒューム兄弟がこの方法で作り始めたそうで、その耐用年数は50年程度。この50年程度というのはあくまでも目安で在り、管内を流れる生活排水から“荷物”が頻繁に留まってしまうと、コンクリートを腐食させるガスが其処から度々発生してしまう為、その耐用年数は短くなってしまう。

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夏目氏:「家庭内ではビニールの管で流している下水を、それ以降は土管、じゃなくてヒューム管で流すのは何故?」

人見氏(中川ヒューム管工業株式会社・技術営業部副部長):「大きい物を安価で作れるからです。」

長谷川氏(中川ヒューム管工業株式会社・技術営業部部長):「しかも丸い。」

夏目氏:「土管なら当然でしょ?」

人見氏:いえ、想像して欲しいんですが、四角い管の場合。水の量が少ないと流れ難いと思いませんか?丸い管なら底に水が溜まるから、水の量が少なくても勢いよく流れてくれます。

夏目氏:「成る程、頭良い!!と言っても、勾配を急にすれば良くないですか?」

人見氏:下水は1mに数mmの勾配を付けるのが常識的で、意外かもしれませんが急過ぎると“荷物”が水の流れに乗らず、置き忘れが出てしまうんです。
=====================================人見氏:「でもヒューム管って更生させられるんですよ。」

夏目氏:「少年院にでも入れるんですか?」

人見氏:いえ、管の内側に樹脂コーティングする等して、10~20年程度長持ちさせられる様に『更生』出来るんです。工事も進化しました。弊社の新しいヒューム管は土竜の様に地中を進んで行けます。此処が技術力の見せ所なんですよ。

夏目氏:「マジ!?」

中嶋氏(中川ヒューム管工業株式会社・工場長): 以前は何kmにも亘って道路に穴を掘り、ヒューム管を埋設していました。が、 今は数百mに1ヶ所位縦穴を掘り、地中に円形の掘削マシンを入れて横穴を掘り、掘削した穴に詰める様にヒューム管をジャッキで押して行けば良いんです。全部コンクリートだと管が破損してしまうんですが、継ぎ目が鉄で・・・。まぁ、この辺りが技術力なんですね。

夏目氏:「嬉しそうに話すなぁ。」

人見氏:しかも継ぎ目に特殊なゴム膜も使われているから、下水道の曲線部分にも使えます。更に、今は古いヒューム管を砕き乍ら進んで行く掘削マシンが在るから、古い物を砕いた後、このヒューム管をジャッキで押して行けば、地中のヒューム管だけを取り替える事が可能です。

夏目氏:「偉い!工事の時通行止めにならない!」

人見氏:「正に其処です。通常、下水は道路の下を通っているから、交通事情に悪影響が在るんですよね。」

夏目氏:「ですよねー。」

人見氏:「でも、このヒューム管なら道路の幅が広い所や、空き地が確保出来る所に置いておいて、縦穴を掘って、順次、詰めて行けば良いから・・・。」

夏目氏:「空き地に土管が在ったのはそういう訳か!!」
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物作りは深い。

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5 コメント

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Unknown (マヌケ)
2009-07-01 13:05:16
中学の頃、グランドの工事でコンクリートの土管が敷設中の箇所があり、ふとその中に入ってしましました。 斜めにグランドの下の坂道まで通じていたので、ひざを折り曲げ背中と両手を管の内側に押し当てて恐る恐る下って行くうちにどうも直径が狭まっていたようで、降りれなくなりました。 戻ることもできず、昼休みは終わり。 不良生徒だったので探しにきてもらえず、およそ1時間くらい放置プレーで、このままだれにも気づかれず死んだらどうしようと不安になり、恥ずかしさを殺して助けて!と叫びましたら、体育の授業中の生徒たちが見つけてくれて体育倉庫にあったバトミントンかバレーのネットで引きずり上げてもらいました。 あまりにもマヌケな思い出です。 ヒューム管というのですね。
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>マヌケ様 (giants-55)
2009-07-01 20:31:18
書き込み有難う御座いました。

「女子トイレに誤って飛び込んでしまい、出るに出られなくなってしまった。」経験(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/8c1093e79cf68d3c487f872006e54aab)を以前書きましたが、あの時は助けを求めたくても求められない状況で、時間が過ぎるのが非常に遅く感じたもの。マヌケ様の書かれた経験も、恐らく同様だったのではないでしょうか。

小学校低学年の頃、下の兄弟を連れて沼地に行った時、ふざけて2人で沼地の中に足を踏み入れた所、ズボズボッと足が沼地に飲み込まれて行き、大騒ぎした経験が在ります。子供だったので其処が「底無し沼」に思え、「このまま死んでしまうのではないか。」と感じた為なのですが、膝下迄埋まり乍ら必死で抜け出した。本当に怖かったです。
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Unknown (クロ)
2009-07-01 21:48:18
スカパーでインドアトライアルを見てましたので、ヒューム管という名前は知ってました。

が、アナウンサーが、いちいち「のびたの土管」と実況されるうえに雑談が多くて。日本でメジャーとは言えない競技ですが、あれで雑談が多い実況を初めて見た人はルールを覚えられないと思います。

樹脂製のヒューム管が濡れてたりしたら見るからに滑りそうで、あんなもんをバイクで乗り越える競技を考え付いた人はちょっと変わってます。でもなんとなく影響されてカブで立ち乗りくらいはしてみたり、人に見られて恥ずかしかったり・・・いい年こいて何やってんでしょうか。
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>クロ様 (giants-55)
2009-07-01 23:22:04
書き込み有難う御座いました。

ヒューム管を用いた競技が在るんですね。気になって調べたら、四駆のレースでヒューム管を乗り越えたりしているシーンを見付け、「成る程。」と思った次第。

それにしてもヒューム管を説明する際、「のび太の」という“枕詞”が付いていたというのは笑えますね。ヒューム管というと、やはり「ドラえもんの世界」を思い浮かべる方が多いという事なのでしょう。「丸、四角、三角の具が串に刺さったおでん」を説明する際、「ちび太のおでん」と喩えるのと同じなのかも。
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ヒューム管 (てくっぺ)
2009-07-02 01:31:56
ヒューム管摘んでる所が減りましたね。
更地にもあまり置いてないですね。^±^
まあ、空地が減ったともいえますが、使用頻度も減ったのですかね?
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