ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「崖の上のポニョ」

2008年08月06日 | 映画関連
2年前の記事「ゲド戦記」でも触れた様に、スタジオジブリが手掛けた作品で実際に見た事が在るのは「となりのトトロ」に「火垂るの墓」、「おもひでぽろぽろ」、そして「ゲド戦記」の4作品のみ。「火垂るの墓」は大好きで何度か見たが、その他は1度っきり。大体これ等の作品で映画館に足を運んで観たのが「ゲド戦記」だけなのだから、ハッキリ言ってジブリ作品には全く思い入れが無いと言っても良い。「ゲド戦記」の出来が余りにも酷かった為、「ジブリ作品を観に行く機会はもう無いだろう。」と思っていたが、あの“麻原彰晃マーチ”(動画”を思わせる非常にシンプルな主題歌動画)が耳から離れず、「崖の上のポニョ」を観に行ってしまった次第

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崖の上の一軒家に住む5歳の少年・宗介(声:土井洋輝君)は或る日、クラゲに乗って家出した魚の子・ポニョ(声:奈良柚莉愛ちゃん)と出遭う。頭をジャムの瓶に突っ込んで困っていた所を、宗介に助けて貰ったのだ。宗介の事を好きになるポニョ。宗介もポニョを好きになり、「僕がポニョの事を守って上げるからね。」と誓うのだった。

しかし嘗て人間を辞め、海の住人となった父・フジモト(声:所ジョージ氏)によって、ポニョは海の中へと連れ戻されてしまう。「人間になりたい!」と強く願うポニョは、妹達の力を借りて父の魔法を盗み出し、再び宗介の居る人間の世界を目指す。

ポニョの脱出と共に、危険な力を持つ生命の水が撒き散らされた。海は膨れ上がり、嵐が巻き起こり、妹達は巨大な水魚に変身して宗介の居る崖へ、大津波となって押し寄せる。そして海の世界の混乱は、宗介達が暮らす町を丸ごと飲み込み、海の中へと沈めてしまうのだった。
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この作品、“作画段階では”一切CGを使用していないそうだ。それも在ってか、全体的に柔らかい雰囲気が漂っている。ポニョや宗介といった“幼き者達”の絵柄も可愛らしい。しかし、評価出来るのはその位か。ジブリ・ファンの方々には申し訳無いが、ストーリーに深みが全く無く、原作・脚本・監督を務めた宮崎駿氏の自己満足作品といった感じが自分にはした。(「『生』と『死』を巡る哲学的な作品!」と絶賛されている御意見も見受けられたが、少なくとも自分にはそういった物が感じられなかった。)周りで観ていた子供達の中には、退屈さからか途中で話をしている者も居り、集中力を持続させる作品では無い様に思う。

そして何よりも最悪だったのは、キャラクターの声を担当している人物の選択だろう。近年は話題作りの為、安直に有名人(特に今が旬のタレント。)を起用するケースが目立っている。「ザ・シンプソンズ MOVIE」ではその辺が大きな批判を浴びた訳だが、この作品でも山口智子さん(宗介の母・リサ)や長嶋一茂氏(宗介の父・耕一)、天海祐希さん(ポニョの母・グランマンマーレ)、吉行和子さん(老婆のトキ)、そして上記した所ジョージ氏等が起用されている。吉行さんには充分合格点を与えられるが、山口さんや長嶋氏、天海さんはギリギリ合格点と言ったレベルか。聞くに堪えなかったのは所ジョージ氏。感情移入の全く為されていない“素人演技”にしか思えず、彼が登場する度に現実に引き戻されてしまった。声優の起用がベストとは言わないが、少なくとも“名前だけでの起用”は止めて欲しい。

総合評価は、かなりガッカリの星2つ

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33 コメント

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Unknown (tak)
2008-08-06 08:09:00
自分もこの作品は観にいきました。総じた感想は大変良かったなと思いました。

まず宮崎監督は「千と千尋の神隠し」みたいな壮大なテーマの作品って
多分有る意味疲れた、別の見方をすると元々こんな大仰な作品を造るのが
実は好きではなかった、ジブリをやっていくうちになんだか知らないけど
エスカレートしてしまっていた、ってのが実像じゃないかなと。

このポニョはなんというかふつ~の子供向け絵本って印象。
現代のシチュエーションを反映させた絵本(ファンタジー)って
簡単そうで難しい。シンプルなものほど作り手側は苦労するってのを
やっていたとおもいます。

でもそこには深読みすれば「人種差別」(あなたはこの子で本当にいいの?と
何度も宗介にといかけるポニョのお母さん。)「愛と責任」や「海と生命」
「公害、ゴミ問題」「母と子」などのテーマが織り込まれていて、
あれだけシンプルな構成のなかでも入れているのが流石だともおもいました。
特にお母さんが働いていて、その勤務先が「ディケアサービス」なのも
現代日本を象徴する点かもしれません。

映像は波の描写や色鉛筆みたいなタッチも見ていて目が疲れずに
大変鮮やかに記憶に残っています。

監督の自己満足?という観点からすると前述の作品も有る意味皆自己満足。
もちろんトトロやナウシカもそういう意味からするとみなおなじ。
テーマが壮大か、身近でシンプルなものかの違いかなと思います。
そもそも何らかの作品において、作者の自己満足についていける人が
その人のファンだと思います。

声優に関しても宮崎監督作品の場合、専業の声優さんをつかわないのも
特徴。山口智子さんも長嶋一茂さんも所ジョージさんも自分は違和感なく
見ることが出来ました。これはプロの声優になれているとかなり薄い
演技の印象をうけるのはいたし方ありませんが、それも狙っての事でしょう。
もし旬のタレントをと考えたなら、所ジョージとかはハズれるし、山口智子さんもちょっと違うかなと。

ということで自分的には★4つw

Unknown (civaka)
2008-08-06 08:39:20
ナウシカも、ラピュタも、もののけ姫も見ていない状態で、ジブリ作品について、意見するなんて、信じられません。
他の映画をみる時間をあててでも、これらをみてから、もう一度考えて欲しいです。
時をかける少女がこの間やってましたね (薔薇)
2008-08-06 10:13:25
もともと自己満足の世界から生まれたものだと思います。 宮崎監督も押井監督もその他も。 ですので当初はアニメファンやアニメに関わる人たちのことを全てひっくるめてオタク的な見方をしていたように思います。 ところが世界が認めだしたので再評価、高評価されるようになったように思います。 トトロは韓国人の友人が見ても自分達のちょいと昔の田園風景とそこに暮らした人の時代を思い浮かべたそうです。 で、たぶん思い入れや自己満足でやってきたことがたまたま広く受け入れられた作品もあれば、あまりに小難しいのでダメだった作品などもあって、それもわかっていてわかる人だけがわかればいいでやってるんだと思います。 たぶんそういう世界で長年やってきて興行成績や収支にこだわりがない、むしろそれだから逆に、時に、秀作が生まれることもあるのではないでしょうか。 ちなみにこの作品はまるきり興味ありませんで、つい最近「ハプニング」というのを見てきました。 うーん、ちょっとどうかと、このシャマランという監督も自己満足気味ですな。 それから他人に自分のお気に入りの映画なんかを見なさいと強要するような感じの人はあまり好きではないです。 フランス映画好きの彼女に昔無理やり進められて見たものの欠伸ばかりで気がつくとワープしてました。
>tak様 (giants-55)
2008-08-06 11:37:06
書き込み有難う御座いました。

tak様もこの作品を観られたんですね。他のブロガーさんの評価が結構高いので、この低評価を付けるのはかなり勇気が要ったのですが(笑)、どうしても自分に嘘が付けず、こうなった次第です。

どんな作品も突き詰めれば「監督の自己満足」といった部分が在り、北野武監督の作品なんかはその最たる例でしょうね。唯、その監督の自己満足を、観る側がどれだけ共有出来るかがポイントで、黒澤明監督の作品なんかはその成功例なのではないかなあと。

確かに「人種差別」や「環境問題」がそれとなく織り込まれているとも言えましょうが、高評価を付けておられる方達には申し訳無いけれど、やはり「うーん・・・。」といった感じが否めません。

「宮崎作品の場合、専業で声優をしている方を使わないのが特徴。」というのはそうですね。記事でも触れた様にそれはそれで決して悪い事では無いし、「となりのトトロ」でお父さんの声を担当していた糸井重里氏の様に、あの素人臭さが逆に合っていたケースも在ります。唯、所ジョージ氏の場合は個人的に違和感を覚え捲りでした(苦笑)。
>civaka様 (giants-55)
2008-08-06 11:48:45
書き込み有難う御座いました。

誤解されているといけないので先ず最初に書かせて戴きますが、自分は「ジブリ作品自体、乃至は宮崎監督自身を否定している。」訳では全く在りません。記事でも触れました様に「火垂るの墓」は大好きですし、「おもひでぽろぽろ」も結構琴線に触れる物が在りました。唯、少なくとも「『崖の上のポニョ』という作品に関しては、“個人的に”全く合わなかった。」という事なんです。

ある事柄に対してどう思うかは、それこそ千差万別で在り、誰の意見が正しくて、誰の意見が間違っているという物では全く無いし、自身の意見を他者に強要するつもりも毛頭在りません。唯、言えるのは「これ迄のジブリ作品を粗方観てから評価する。」というスタイルも在れば、「特定の作品だけを観て評価する。」というスタイルも在るという事。これも、どっちが正しくて、どっちが誤っているという事は無いと思うんです。

上でtak様宛に書かせて貰ったのですが、この作品に関して他のブロガーさんは概して高評価を与えておられ、個人的には低評価を付けるのに勇気が要りました(笑)。でも、どうしても自分に嘘を付きたくなく、今回の低評価になった次第。

今後とも何卒宜しく御願い致します。
>薔薇様 (giants-55)
2008-08-06 11:59:01
書き込み有難う御座いました。

上でtak様宛に書かせて貰ったのですが、この作品に対する他のブロガーさんの評価が概して高かったので、「この低評価は結構、反発を食らうだろうなあ。」と思いつつ記事を書き上げました。

これもtak様宛に書かせて貰ったのですが、「どんな作品も突き詰めれば『監督の自己満足』といった部分が在り、要はその監督の自己満足を、観る側がどれだけ共有出来るかがポインなのではないか。」という気がしています。

「となりのトトロ」にあれだけ人気が集まったのには、薔薇様が触れておられる様に多くの方の心の琴線に触れる物が在ったからと思います。唯、残念な事に自分の心の琴線には触れなかっただけかと(笑)。

ところで、薔薇様も「ハプニング」を観られたのですね。自分も観たのですが、個人的にはそこそこ引き込まれました。捉え方ってやはり、千差万別なのですね。
Unknown (tak)
2008-08-06 12:21:17
書き込みありがとうございました。

「火垂の墓」はジブリ作品というよりも野坂昭如カラーがかなり強い作品と思います。違和感を覚えるといえば、ジブリショップで「火垂の墓」のサクマドロップとか売っている事。あれは無いだろうと。。。あの物語の哀しさを知っているなら、アレは買えないなぁと。
>tak様 (giants-55)
2008-08-06 12:51:03
書き込み有難う御座いました。

「火垂の墓」、ジブリ作品の中では異質な存在なのかもしれませんね。ジブリ作品と言う訳では在りませんが、宮崎駿氏が脚本&監督を担当した「ルパン三世 カリオストロの城」は好きなアニメ作品の一つです。そもそもルパン三世が好き(今のアメコミ調の絵柄は嫌いですが。)というのも在りますが、やはり絵が綺麗だし、ストーリーもGood。
率直な感想 (久保課長)
2008-08-06 14:01:38
子供にせがまれて観に行きましたが・・・
正直、今まで私が見た中でワースト3に入る映画でした。giants-55さんもおっしゃってるように、ストーリーが薄っぺら過ぎて本当に退屈極まりなかったです。上映後、前にいた小学生が「はぁ、やっと終わった、つまんねぇ」と言ったかと思うと、隣のカップルは「途中で寝ちゃったよ、時間と金のムダだったね」と漏らす始末。うちの子も印象に残ったのは例の主題歌だけで繰り返し歌ってましたが、映画そのものに関してはあまり面白くなかったようです。確かに以前子供と一緒に見た「ドラえもん」や「プリキュア」の映画は、単純なりにもきっちりとしたストーリーが存在して、それなりにワクワクドキドキ感も味わえたのですが、「ポニョ」に関しては全く感情移入もできず、なんだかよくわからないまま終わってしまった感じです。どこか外国の映画祭にノミネートされているようですが、日本人はこんな映画が好きなのかと思われると、ちょっと恥ずかしいかなと。
気を悪くされた方がいらっしゃいましたら申し訳ありませんが、これが特別な映画フリークでもジブリファンでもない私のこの映画に対する率直な感想です。(ちなみにジブリ作品の中でも「トトロ」は結構よかったと思います。)

声優の件、私は長嶋一茂はまぁまぁ巧いかなと感じましたが
>久保課長様 (giants-55)
2008-08-06 14:19:39
書き込み有難う御座いました。

久保課長様も観に行かれたのですね。ジブリ作品の動員力の凄さを、今回の皆様からの反応で改めて痛感させられました。

自分が観に行った際には、周りの子供達もつまらなそうにしていたし、会場の盛り上がりも余り感じられなかったのですが、ネット上の反応は概して高評価だった故、「低評価を付けているのは自分と破壊王子様(http://hakaiouji.cocolog-nifty.com/koya/)位かなあ。」と思っておりました(笑)。ですので、久保課長様の御意見に心強さを感じたりも。

最近はアニメに限らず、どぎつさを売りにしている様な作品が溢れ返っておりますので、この作品の様なほのぼのタッチ(根底に流れているテーマは、決してほのぼのでは無いとされる方も居られましょうが。)の物を否定する気は全く在りませんが、如何せん“自分にとっては”ストーリーを中心にピンと来ませんでした。

長嶋一茂氏、出演場面がそれ程多くなかったのも幸いしているのかも。

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