ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

”医師”疎通

2006年05月23日 | 其の他
ここ数年、近所での歯科医開業がやけに目に付く。この地域だけの偏りか?とも思っていたのだが、先日読んだ「週刊ポスト’5月19日号)」の記事「嗚呼、欠歯生活」によると、どうやらそうでは無い様だ。

日本は歯科医が街に溢れている状況に在るという。厚生労働省のデータ(平成14年度)では、歯科医師数は10万人に迫る勢いで、歯医者・診療所は全国に6万5,000ヶ所存在している。人口を1億2,000万人として計算すると、1,800人強に1施設という事になる。コンビニの数が全国で約4万店(2006年3月現在。)在るので、2軒のコンビニの間に3つの歯医者・診療所が在る計算になる。供給過剰という事で、潰れる歯医者や、夜逃げする診療所が後を絶たないとか。医師の世界もシビアな時代に入ったのだなあと思わせる話だ。

医師に関する話と言えば、「AERA(5月22日号)」には「医者と患者の上手な会話術」という記事が載っていた。インフォームド・コンセント、即ち「(患者への)事前の説明と同意」という言葉が使われる様になって暫く経つが、医師と患者の間で交わされた遣り取りに誤解が生じ、問題化する事も少なくない。2ヶ月程前にも、富山県の射水市民病院で医師が末期患者の人工呼吸器を外して死に到らせた問題で、医師と患者&家族の合意の有無が問題となったが、この手のトラブルの多くは、医師側と患者側の思い込みから端を発している様だ。

かなり前に家人が入院した際、医師から言われた言葉でかなり傷付いたと涙していた。詳しく話を聞いた所、確かに患者に対して口にするのは不適切な言葉で在ったが、それと同時に家人の側も、医師がカチンと来たかもしれないなあと思わせる言葉を用いていた。勿論、当人は悪気も何も無く、ふっと使った言葉だったのだが、事程左様に会話とは難しいもの。況んや命に関わる医療現場では、双方で誤解を生じない様な会話を心掛ける必要が在るだろう。

元記事には、思い込みを生じさせ兼ねない会話例が載っていたのだが、幾つかピックアップしてみたい。何処に問題点が在るのかを、医師及び患者の側双方に立って考えて戴きたい。

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① 子宮筋腫の手術の説明

医師: 全部取りましょう。
患者: はい。全部取って下さい。


② 人工呼吸器を付けた末期癌患者の治療の相談

患者の家族: 何とかにしてやって下さい。
医師: 判りました。にして上げましょう。


③ 乳癌患者が抗癌剤を受けるかどうかを相談

患者: 「抗癌剤治療をすると、将来、妊娠出来なくなりますか?」
医師: 「抗癌剤を受けた後で、生理が戻る患者さんも居ます。」


④ 脳腫瘍の手術を受ける前の説明

患者: 「合併症は在りますか?」
医師: 「重大な合併症が起きる確率は、飛行機が落ちる程度です。」


⑤ 家族同伴で手術の説明を聞く

医師: この手術の危険率は1割位です。
患者: 「では、御願いします。」


⑥ 膝の手術を受ける前の説明

医師: 手術をしたら治るからね。
患者: ああ良かった。治るんですね。
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何処が問題点か御判りだろうか?誤解を生じさせ兼ねない点は下記の通り。

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① 医師は「子宮の全摘出」のつもりで言ったのだが、患者は「子宮内の腫瘍部分を全部取る」と勘違いした。どんな手術を受けるのか、図入りで説明して貰うのがベター。


② 家族の「楽にする。」は鎮静剤を投与する等して「苦痛を取り除く」イメージだったが、既に鎮静剤を投与していた為、医師は「人工呼吸器を外す」と勘違い。御互いの希望を具体的な言葉で何度も確認すべき。


③ 医師は「生理が戻らない患者さんが多い」事を表現を和らげて伝えたつもりだが、患者は逆に期待が高まってしまった。生理が戻る可能性と戻らない可能性はどちらが大きいか閉経してしまった場合に備えて、卵子の凍結保存する方法は在るか等、詳細の確認が求められる。


④ 医師は「かなり低い」というニュアンスで言ったが、その頃の飛行機墜落のニュースが印象に残っていた患者は「意外と高い」と受け取ってしまった。人によって感じ方が違う言葉では無く、具体的な表現や数字で遣り取りする事。


⑤ 患者は手術後に容態が急変して死亡。患者側は「副作用や合併症が起こる確率」だと思っていたが、医師は「死亡の可能性」として伝えていた。「死亡率」、「副作用」、「合併症」等、具体的な言葉で確認する事。


⑥ 手術後も痛みが残り、患者は「一向に良くならない。」と気に病んで、心療内科で治療を受けた。患者は「治る」を「完治」と思っていたが、医師は「手術前より良くなる」という意味で使っていた。後遺症が残る可能性、どの程度の治癒を期待して良いかをきちんと確認する。
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”医師”疎通ならぬ、医師と患者双方の充分な意思疎通が肝要という事だろう。

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インフォームドコンセント (麗菜)
2006-05-23 03:33:48
ガンの治療で、10年くらい前から初期のガンである場合は、患者にガンであることを告知して、家族とともに闘う意識をつけ、治癒のためにインフォームドコンセントの姿勢を多くとるようになったと聞きました。

いわゆる、病は気からということなんでしょうけど、実際に思い込み一つで、左右されるところも多々あると思います。

だからこそ疎通が大事で、納得のいく診療を求めるべきだと思いますが、お医者のいうことって、絶対って感じがして、突っ込んで細かく尋ねられないこともあったりします。(ぁたしは性格上、しつこく尋ねますが)

16才の時に両足を手術しました。ぁたしも例にあるように、その頃は完治して、また、元通り運動もできると信じ込んでましたが、違いました(苦笑)

手術すれば最悪の事態からまぬがれ、普通の生活には支障のない状態をお医者はさしていたんですね。

大人になって、ようやくその辺りのあいまいなことを納得できるようになりました。

そもそも、総合病院などの3分間診察で、疎通もクソもないような気もします。

>麗菜様 (giants-55)
2006-05-23 05:17:52
書き込み有難うございました。



話は一寸逸れてしまいますが、個人情報保護法が施行された事により、原則的に患者の同意無くしては、例え患者の家族で在っても医師は癌告知等が出来なくなったという記事を以前目にしました。法律の趣旨からすると確かにそうなのでしょうが、患者が家族に心配をかけたくないという事で告知を拒み、自分一人で全てを背負い込んでしまう事にならないかという懸念がどうしても残ってしまいます。



意思疎通の問題、とても難しいとは思います。普通の状況下でも、言葉のニュアンスで齟齬を生じてしまう事はまま在る訳で、命に関わる医療現場では、双方の遣り取りが具体的且つ密に行われる必要が在るでしょう。



唯、現実問題としては、医師側がベルトコンベアー式に対応”せざるを得ない”環境が在るとも聞きます。赤ひげ先生の様な対応をしたくても、それがなかなか許されない環境が在るとすれば、医師側にも同情すべき点が在るのかなあと感じます。これ又難しい話ですね・・・。
Unknown (toshi16)
2006-05-23 12:14:20
インフォームドコンセントとは、違うけれど、僕も医者の困った経験があります。



中学3年生の5月、僕は足を怪我をしました。

中学最後の野球の大会を、2ヶ月後に控えていた僕は、少しでも早く治そうと、市内で一番繁盛(適切な表現がどうかわかりませんが)していた、整形外科にいきました。

けれど、なかなか運動が再開できるような状態になりません。



待ちきれない僕は、思い切って大会直前に、別の小さな接骨院にいきました。

そこの先生に言われた言葉に僕は、ショックをうけます。



「どうして、ずっとほかっていたんだね。」



別にほかっていたわけじゃないんですけどね。

結果、最後の大会は出らなかったのでした。
疎通 (くみこ)
2006-05-23 22:41:52
歯科医って儲かるんでしょうかね。産婦人科や小児科に分けてあげたいです。



わたしは産婦人科の看護師をしてました。

「子宮筋腫」のような例は実際には関わった事はありませんが、どれもありうる言葉の行き違いですね。

最近は手術同意書に病名、術式、効果、副作用など細かく記載され、その項目ごとに説明がなされます。子宮筋腫手術も「腹式(膣式)子宮全摘」「筋腫核出」とありますし、図で手術部位を示します。

外来では流れ作業のような状態であっても、手術の説明には時間を取り、家族も一緒に説明を聞いてもらってました。

でもこういったことは少ないのでしょうか?



医師の説明は具体的になるほど難しい用語も出てくるでしょう。患者さんも、疑問はそのつど投げかけて行くのがいいでしょうね。言い忘れたら看護師に聞いてもらったっていいんですから。







ジャニでの返信ありがとうございました♪
言葉足らずの「センセイ」たち (o_sole_mio)
2006-05-23 23:28:30
こんばんは



ご紹介された例は、日常生活でもありがちなミスコミニケーションだと思いますが、医療に関するものは命に関わるものだけに目立つのだと思います。



政治家、医師、教師など「センセイ」と呼ばれるこの国の人種は一般的に言葉足らずだと思います。話が少しずれますが「ワンフレーズ・ポリティクス」が支持される土壌もこの辺りにありそうな気がします。



ちなみに私が山口県にいたころに行っていたお医者さんは、話好きもあってか非常によく説明してくれ、診察室にあるパソコンで統計や数値を示してくれました。

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