「宮城自然農園」ブログ  -GIAN'S ORGANIC FARM BLOG- 小笠原諸島・母島で自然農

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指し百姓をしています。
その中で学んだことを紹介したいと思います♪

母島 2016年イタチザメ騒動

2016年10月11日 | 小笠原 野生動物
■昨日、母島沖港で5匹の鮫が水揚げされました。
そのうちの4匹は大型のイタチザメ。

これは今年の夏休み頃から母島の沖港付近で目撃が相次ぎ、
9月末には学校からプリントが配布されて、
鮫注意の村内放送がかかる事態を受けて捕獲する動きになったからでした。

小笠原に住んで15年。
初めての事です。
先人たちに聞くと、ここまでのケースは母島では前例がないとの事。

そして村が予算を用意して、
住民の安全の為にイタチザメの駆除が始まったというわけです。


■サメの駆除に予定されたのは2日間。
内地に注文したサメ向けの漁具が届いてからの実施になったようです。

1日目はかかるのは小さなサメばかりだったそうですが、
2日目はどんどん大きなイタチザメが水揚げされて冷凍庫に運ばれていきました。

沖港湾の入り口付近の目撃があったものの、
湾内ではまだ目撃はなかったようですが、
サメ注意の放送が村内にかかってからは誰も海に入れなくなりました。

その為もあってか、漁港には沢山の人が集まっていました。
命懸けの捕獲作業をした漁師さんには頭が下がります!


■まず初めに挙がったのは
朝イチで175kg(2mくらい?)のイタチザメでした。
前日の御嶽神社祭でサメ漁に向かう凄腕漁師が、
声高らかにB'zを歌い上げ、宣言した成果でしょうか(笑)!?


その次に昼前に挙がったのがこの日1番のサイズの巨大なイタチザメでした。
大きすぎて漁協のクレーンでは立てに吊り上げれない状態でした!!


口には鋭く尖った歯が沢山並んでいます。


漁師さんがさすがのロープさばきで横に吊り上げ、計測すると540kg(全長5mくらい?)とのことでした!


パレットから大きくはみ出して、置かれています。
とても痛々しくて、うちの子供たちは「怖いけど、可哀そう…」と漏らしていました。

同時に小さなメジロザメ(通称:ヒラガシラ)も混獲され、水揚げされました。

その後も水揚げは続きます。
沖に出てすぐ近くの青ブイ下に漁具に絡まって死んでいる状態の3匹目のイタチザメが水揚げされました。
そんな状態でタンクを背負って潜るダイバーさんもホント命がけの作業だったと思います。
3匹目は340kg位?(3m超)だったとか。

午後にはさらに420kgの4匹目のイタチザメが水揚げされました。

こちらはまだ生きていて、
陸上でこの巨体を大きく動かすことはできませんが、
大きく息をしたり、わずかにヒレを動かしたりしていました。

吊り上げられた口からはウミガメの甲羅の破片とくちばしの欠片が落ちてきました。
普通に硬いカメですら捕食の対象なのですね。


冷凍庫に並んだ大きなサメたち。
それらを興味津々で観察する子供達。

今回吊り上げられたサメたちは、記録・保存をしたら、
顎骨などは骨格標本にされるそうです。


■今回の件で僕も色々イタチザメを調べてみました。
島では正直、サメの事故というのは聞いたことがありません。
※ダイバーがネムリブカを強制的に掴んで噛まれたという、どう見ても人が悪いケースは数件あります。

そんな中、イタチザメはホオジロザメと並ぶ、危険な大型のサメの一種で、
胴体の横のトラの縞模様から英名・タイガーシャークとも呼ばれています。

地中海など一部の地域を除き、世界中の温帯・熱帯海域に分布しているそうです。

イタチザメは沿岸域の視界が悪い濁ったような場所を好むとされていて、
川の河口や港、ラグーン、サンゴ礁、島の周囲もその生活場所に含まれるとのこと。
この点が人との軋轢を生じやすい部分なのでしょう。

沿岸性が強いそうですが、海洋のさまざまな環境に適応していて、
沖合、外洋まで出ることもあるそうです。
海面付近でよく見られ、波打ち際などの非常に浅い場所にも現れることもあるそうです。

捕食性・腐食性の両方をもつイタチザメは食べるものを選り好みしない「機会選択的捕食者」で、
おそらくサメの中で最もその傾向が強い種なのだそうです。

様々な海洋生物を捕食するだけでなく、
死骸や産業廃棄物など普通食べられないものまで何でも飲み込む性質から、
「ひれのついたごみ箱」と言われているそうです。

実際、解剖された胃袋の中からは
ウミガメの他に、タイヤやポリタンク、金属片、空き缶などが沢山出てくるそうです。

最大サイズは全長750 cm、体重 807.4 kgとされていて、
非常に大型になる種類の様です。

沖縄は海外では実際に死亡事故もあり、
特に恐れられているサメのひとつであるようです。


■今回、サメの水揚げを見ながら、
僕も含め、多くの人が「すげぇ!」「でけぇ!」「怖えぇ!」の声を挙げましたが、
娘たちはしきりに「可哀そうに…」と呟いていました。

確かに、今回のイタチザメ達は何も悪いことはしていません。
ただ例年より頻繁に目撃されただけです。
島で育った人も昔からイタチザメは周辺海域に当たり前にいたそうです。

しかし今年は、
8月頃に青ブイ付近で釣りをしていた島民のカヤック下をこすったり、
9月には沖のホカケ岩付近で釣りをしていた島民がクジラと間違えてしまうほどの大型(4m超え)だったり、
沖港を出てすぐの海域で何回か目撃があったりしました。

しかし、ここ母島の海域はイタチザメの生息域の真っ只中にあるわけで、
私たちがその中にお邪魔している気持ちを忘れてはいけないなと思いました。

正直、今回捕獲された海域で潜ったり、
魚を獲ったりしている身としても、
いつも子供たちを海に入れてる島民としても
怖くて海に入れなくなったのも事実であり、
命を懸けて捕獲に乗り出してくれた関係の人々、
島の漁師の皆さんには感謝と尊敬の言葉しかありません。
本当にありがとうございました。


その日の夕陽を見ながら考えます。

個人的にはこの捕獲で何も捕まらなく、
「もうイタチザメは近くにいない」
という流れを一番望んでいたのかも知れません。

しかし、実際は4頭も捕れています。
しかも世界中で人との事故が報告されている種類のサメです。

今回は仕方ない状況だったと思います。
可哀そうですが、人命を守るのは致し方なかったなと思わざるを得ません。

できることなら、人の安全のために捕獲したのなら、
せめて食用に利用してほしかったです。
※イタチザメは食用として美味しいほうらしい。

去年、北海道の知床でヒグマと人の距離感の時も同様の気持ちを感じました。

ヒトと野生動物の在り方。
お互いの距離感。
そして、人の野生という自然への畏敬の念を忘れない気持ち。

自分の目でその巨体を鋭い牙を見たら、
怖い気持ちはもちろん具体化しました。
しかし、海に入らない気持ちにはなりませんでした。

イタチザメの命も育む、
美しい小笠原の海。

沖縄のように黒潮のような大きな海流があるわけでもなく、
浅い水域はとても栄養が少なく、
驚くほど透明度が高いのもそれが理由になります。

今回のイタチザメの件ではまた大きな事を学ばせてもらいました。
大事な命を奪ってしまった意味を
私たちは考え、学ばなければいけないと思います。

小笠原では過去にサメの事故がないほど、
やはり安全な方なのだと思います。
それはウミガメやザトウクジラ、アホウドリが繁殖地に選ぶのも安全が理由の一つと言われています。

ですが、完璧に安全は海というのは世界のどこを探してもありません。
そして小笠原で昼間普通に泳いでる範囲ではサメに襲われる確率はとても低く、
オニダルマオコゼの毒ヒレやガンガゼ、クラゲに刺される危険の方が遥かに高いです。

大自然の中で人の存在というものはとても小さなものと感じます。
しかし、人の影響で大自然が壊されていってるのもまた事実です。

この海に昔からイタチザメなどが潜んでいることも事実なので、
やはりいつも自然にお邪魔する謙虚な気持ちを大切に、
美しい島の海を堪能していきたいと思います。



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