アイリッシュ&ケルティック・ミュージック

2006-12-02 17:09:28 | Books
 
ケルト音楽に興味を持たれた方に是非読んでいただきたいお薦めの一冊。総数400枚に及ぶディスク・レビューを始め、アーティストのバイオグラフィーやインタビュー、コラムなど非常にわかりやすく丁寧に書かれており、ケルト・ミュージックの入門書・手引書として入門者からコアなファンまで十分に楽しめる内容です。発刊が1997年なのでディスコグラフィーとしては若干古い部分もありますが、実用においてほとんど問題はないでしょう。正直これ一冊あれば僕がブログでケルト音楽を取り上げる必要はないですね(笑)。値段も2000円と手ごろです。

「アイルランド編」を中心にスコットランドやフランスのブルターニュからアメリカやカナダのような離散先のケルト圏のアーティストまで幅広く取り上げています。アーティスト単位での紹介としては、

Altan, The Chieftains, Clannad, Davy Spillane, De Dannan, Donal Lunny, Dolores Keane, Mary Black, Patrick Street, Paul Brady, Sharon Shannon, Arcady, Christy Moore, Deanta, Dervish, Frances Black, Maura O'Connell, Nightnoise, Capercaillie, Dick Gaughan, Alan Stivell, Dan Ar Braz, Milladoiro, Loreena McKennitt, Runrig, Sileas, Tannahill Weavers, Seamus Egan / Solas, etc...

といった面々! 大御所 CHIEFTAINS を押さえてのトップ紹介が Altan というあたり、彼らが名実ともにケルト・ミュージック界最高峰のバンドであることを伺わせますね。それぞれにミニ・バイオとお薦めアルバムのレビューが掲載されていてアーティスト・ガイドとしては最適です。ピックアップ・アーティスト以外は 300字ほどにまとめられたアルバム単位のレビューとなります。当時までの重要アルバムはほぼ網羅された充実度であり、発刊後ちょうど十年となる来年あたり、新たな十年分のアルバムを追加した補訂版が出ると嬉しいんだけどなぁ(笑)。

本書は複数名の執筆者による共同著書になっており、編者として山尾敦史氏がクレジットされています。あとがきで山尾氏は「本書の中で自分が聴いたことのあるアルバムは87枚だった」と明かしており、自分のことを「門前の小僧状態」と表現されています。僕もざっと数えたところ持っているのは三分の一くらいでしたから、そういう意味ではまだまだビギナーですね(笑)。まあディスコグラフィーの完全制覇が目的ではないですし、何でもかんでも聴けばいいというものではないですが、400枚というアルバムのレビューは聴きたいと思わせるアルバムの発見に事欠かないでしょう。今回、久しぶりに読み直してみて、また何十枚も聴きたいアルバムが出てきてしまいました(笑)。

わたくしごとになりますが、実はこの本に執筆者として参加されている茂木健氏、大島豊氏、白石和良氏のお三方には学生時代にお会いしたことがあるんです(人柄は異なると思いますがシーンへの貢献度を考えると HR/HM 界での伊藤正則氏や和田誠氏のような位置付けをされる方々だと思います)。またしても昔話になりますが、当時はまだインターネットなどは普及しておらず、ケルト・ミュージック関連のアルバムは主に「タムボリン」という通販ショップを利用していました。とある号のカタログに「トラッド新譜試聴会」なるものの開催が告知されていまして、これが僕の気を惹いたんですよね。当時住んでいた家から一時間半くらいで行ける距離だったこともあり、単身参加することを決意しました。どこか広い部屋でオーディオ・システムに囲まれ音楽を聴くようなスタイルを想像していた僕は八畳くらいの部屋にミニコンポ、エアコン無しのマイ団扇持参といったまるで友達の家に集まっているかのような光景にちょっぴり戸惑ってしまいました。しかも参加されている方は互いにお知り合いのようで、集まった十人くらいのうち、単独参戦していたのは僕を含めて二人だけでした。最初は慣れない環境の中「自分は場違いだったのか?」と不安にもなりましたが、会が進むに連れ、徐々にリラックスできるようになり、僕は流れる音楽とそれについて語られる会話に耳を傾けるようになりました。とにかく集まった方の知識の豊富さに感心しきりだったのですが、後から思えば参加者の顔触れが顔触れだけに当然ですよね(笑)。試聴会終了後は近くのファミレスで軽食を取って解散となり、実はそのときにお三方の素性も明らかになったというわけです。十年以上昔のことですし、三氏はもうこのことを覚えてらっしゃらないと思いますが、僕にとっては学生時代の忘れられない思い出の一つです(笑)。




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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (のの)
2006-12-03 01:26:54
こんばんわ~中身が濃そうな本ですね。
私自身は ケルト音楽詳しくはないのですが
エンヤを思い出してしまいます。

ノルウェーのシセル・シェルシブーもステキな
音楽を聞かせてくれますよ

ちょっと ケルト音楽と違うけど
>ののさん! (gw)
2006-12-03 10:29:38
コメントありがとうです!

日本でケルト音楽が広まったキッカケはやっぱり Enya だと思います。本流のスタイルとは異なりますが「ケルト」という言葉を聞いて、多くの人があの幽玄なサウンドを想像するのではないでしょうか。

この本には U2 や Van Morrison といったアーティストが出てくる「アイリッシュ・ロック」の章もあり、彼らの音楽とトラッドのつながりも語られていて興味深いです。

Sissel は僕も日本デビュー以来聴き続けていますよ~。素晴らしい歌唱力の持ち主ですよね。実は初来日公演、観に行っているんです(笑)。ケルト以上にマイナーですがノルウェーのトラッドも大好きです。あと a-ha も(笑)。

Unknown (まっしゅ)
2006-12-03 16:15:59
この本、うちにあります^^;といっても親父が購入したものですが…。

ちなみに2002年に出た、第二弾らしき本が、
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4276238234/sr=11-1/qid=1165126956/ref=sr_11_1/503-7237955-2329506
こちらです。
ここでもアルタンが先陣を切ってますね。もう大御所でしょうか。
ポイントは、楽器別に分かれたディスコグラフィーでしょうか。
「フィドラーってこんなにおったんか!」って感じです^^;
グループの項目とは別なので、ソロで活動している人が楽器別の項目にも載るようですが、知っていたのはフランキー・ゲイヴィン…他ニ、三人くらいです…/苦笑
小さい項目で紹介されているミュージシャンになるとさすがに全く知らず、奥深いなぁと思わされます。
まだアイルランドに興味を抱いてから一年か二年…。
知っているグループはほんの一握りですね^^;

パディ・モローニ曰く。
Q.パイプのメリットとは何でしょう?
A.飲みながらでも弾けるじゃないか

いずれはお金を貯めてパイプも購入してみたいですねぇ。
>まっしゅさん! (gw)
2006-12-05 22:51:38
こんばんは!

まっしゅパパさんも色々聴かれる方のようですね。まっしゅさんの守備範囲の広さは父親譲り?!

大島氏の「Irish Music Disc Guide」も充実の一冊ですよね。ガイドブックではないですが茂木氏の「バラッドの世界」も面白いです。スカボローフェアはトラッドのパクリだというお話なんかも収録されています(そんな聞こえの悪い書き方はしてませんが・・・笑)。

>知っていたのはフランキー・ゲイヴィン…他ニ、三人くらいです
Frankie Gavin の名が出てくるだけでスゴイと思いますよ~。やっぱり De Dannan とか聴かれるんですか?

>ここでもアルタンが先陣を切ってますね。もう大御所でしょうか。
僕が Altan に出合った頃はまだ彼らが二枚目のアルバムをリリースしたばかりでした。時が経つのって本当に早いですね。

イリアン・パイプは生音が半端なく大きいので、日本だと練習場所の確保が難しそうですね。あと湿気の多い気候なのでメンテも大変だとか・・・。でもパイパーってカッコいいっすよね!
Unknown (のの)
2006-12-07 21:09:14
偶然ですね!私、シセル・シェルシブー好きなんです。というのも、私が中学のときノルウェーの女の子と文通して(今でも続いています)
当時、お気に入りの曲をテープに録音して交換したりしていました。その中に、天使のような?!とっても透明感があった人がシセルでした。
 
当時16歳?!だったとか同世代ということで
彼女もお気に入りで録音してくれたんでしょうけど・・・そのときの曲が only love(Kjærlighet=シャーリグヒィゥ)でした。切り抜きも送ってもらったけど、長髪でした。

94年リレハンメルのテーマを歌ってくれたときは
ちょっと感動しました。

まさに、タイミング (エルジ)
2006-12-08 21:08:11
gwさんタイミングがすばらしいです。
この手の本を探していたので、
早速、買ってみたいと思います。

また、お勧めしてもらった、アルバート先生と、モーズ師匠のCDは、まさに最高でした。
コピーをしつつ、精進したいと思います^^

この1週間、U2を満喫してしまった私ですが、
今まで、エッジのようなギターリストに強い興味を抱く事は、ありませんでしたが、今回で彼の空間作りに惚れてしまいました。

今まで、早弾き練習、TONE、カッティング。
最初の一項目は置いときまして、後のものを重点的に練習していました。

エッジを聴いてから、彼の作りはエフェクターではないかと結論に行き着きました。

これからは、エフェクターを絡めた、空間作りに挑戦したいと思いますが、お金と相談ですね^^

忙しくなりそうです。
>ののさん! (gw)
2006-12-08 23:54:14
ののさん、こんばんは

そんな経緯があったんですね! 僕はリアルタイムは "Gift Of Love" で、そこからデビュー作まで遡りました。彼女がマリア役をやったという "Sound Of Music" が今でも観て(聴いて)みたいです。

リレハンメルは生中継で彼女の唄を聴きました。僕も感動しましたよ~(笑)。シセルと日本ジャンプ陣が心に焼き付いている僕にとっては一番思い出深いオリンピックですね。

そういえば Sissel はケルト・ミュージック界の大御所 The Chieftains のアルバムに何度か客演したことがあるので、ののさん、そこからケルト音楽への道が開けるかもしれないですね!

P.S. うちのブログ、ランダムでトップ画像が替わりますが、実は Sissel もいるんですよ(笑)。
>エルジさん! (gw)
2006-12-09 00:06:03
エルジさん、こんばんは!

このガイドブックは本当に内容が濃いので新品でも古本でも見つけたら即ゲットしてみてくださいね! 決して損はさせません!(笑)

アルバート爺ちゃんとモース先生、聴いていただけたんですね。是非カントリー・リックをマスターしてみてください。ジャムなんかでも結構使えるネタが多いですよ。慣れると自然に出てくるフレーズでも畑違いの人にはスーパー・テクニックに見えるらしいです(笑)。

The Edge にはいつも強い興味を抱いていますよ。今でも彼のギターは僕を魅了してくれます。昔の記事ですがこんなのを公開したことがあります。

http://blog.goo.ne.jp/ghostwind/e/cc1af5c9c76d7ab19ed4e4042369aa79

ちゃんと The Edge も入っていますよ~(笑)。カッティングのテクニックと独特の音作りは本当に唯一無比だと思いますね。学生時代は結構コピーしていたんです。あと彼のヴォーカルも好きでした。「魂の叫び」の "Van Diemen's Land" とかは琴線に触れますね♪
Unknown (まっしゅ)
2006-12-09 22:13:55
>父親譲り?!
そうですね~。少なくともブルースとソウルに関してはもはや買う必要が無いほどに揃っているので、僕が購入するものといえばロック系に絞れるのは本当に環境に恵まれていると思います^^;
中村とうよう氏を尊敬している親ですので、ワールドミュージック全般にも興味があるようで、もしかしたらその一環(?)でアイルランドに辿り着いたのでしょうか…。
…僕が購入するものはほとんど親父の興味をひく事はないのですが…/苦笑。ストーンズとかは例外ですが…。


そうですよね、当然GWさんはご存知ですよね^^;
「バラッドの世界」、我が家にありまして、そのスカボローフェアの話も子供の頃から親父に聞かされた記憶があります。
後々になって、マーティン・カーシーがパクりに対して怒り心頭だったとか/笑、そういう裏話も耳に入ってくるようになりました^^;
マーティン・カーシーはもっと伝統に根付いたプレイヤーのように思えますので、彼からすれば…と想像するばかりですねぇ…。


De Dennanは確かBestが一枚あるので、それを結構前に聞いた事があります。…そういえば最近聞いていないですねぇ。
FrankieはDe Dannanというより別の文脈で名前を覚えたような気がするのですが、有名人ですしねぇ…。


>イリアン・パイプは生音が半端なく大きいので、日本だと練習場所の確保が難しそうですね。あと湿気の多い気候なのでメンテも大変だとか・・・。でもパイパーってカッコいいっすよね!
…そうなのですか><
それはショックです。まぁ管楽器全般等に比べればまだマシでしょうか…/苦笑。たまに近所からペットの音が聞こえてきます/笑
この手の楽器は生音を聞いた事がないので、来年はライブ等も出陣しようと思います。アイルランドに直接いければ話は早いのですが…。


G3の記事読ませて頂きました。
選考意欲を掻き立てられる記事でしたので/笑、時間がありましたら(どうかなぁ…)、挑戦してみたいと思います^^;
>まっしゅさん! (gw)
2006-12-10 14:07:08
まっしゅさんのブルーズとソウルの造詣の深さもやはりお父さんだったのですね。まっしゅさんほど渋い好みだと音楽の話が合う人って一回りも二周りも上の人になってしまいません? 同じくらいの年の人ってJポップやリアルタイムの洋楽が多いんじゃないでしょうか。僕自身も学生時代そんな感じでしたし、ネタですが「年ごまかしてるでしょ」とか言われるんですよね(笑)。

中村とうよう氏がルーツのルーツなんですね。そういえば「アイリッシュ&ケルティック・ミュージック」にも寄稿しているピーター・バラカン氏も色んな音楽に精通していますよね。僕にとっては「ポッパーズ MTV」や「CBS ドキュメント」の司会の方が印象深いですが・・・(笑)。

「バラッドの世界」も御存知でしたか。いやはや、まっしゅ家には敵いませんなぁ(爆)。お父さんの血を受け継いでさらなる探求をされるまっしゅさんには頭が下がります。僕は身近に音楽に詳しい人はあまりいませんでしたから、ジャンルの広がりは割りとゆっくりしていたと思います。結局僕のルーツはモース先生なんですけどね(笑)。

イリアン・パイプというと日本の古楽器である篳篥とのコラボが聴いてみたいです。いつも誰かやってくれないかなぁと思っていて、現実的なところ Davy Spillane と東儀秀樹あたりで・・・(って自分の好みが丸出しですね)。演奏者側の情報としては日本では "Tokyo Uillean Piper" というサイトが有名です。

是非まっしゅさんの「OH MY G3」も知りたいです。幅広いジャンルからの選出になりそうですね。時間があったらで構いませんので、もしまとまりましたら教えてくださいませ~♪