日々の恐怖 4月22日 勘違い
金曜夜から日曜にかけて、二泊で友人連れてバイクででかけた。
一泊目は東北のある宿にとまり、二泊目はうちの親のもつ小さな別荘に泊まった。
別荘を買った当初は祖母がいて、祖母のために和室もつくってあって、泊まるときはそこを寝室としていた。
日曜の朝起きたら、隣で寝ているはずの友人がおらず、キッチンの椅子に座っていて、俺が起きたのがわかると、
「 おい、お前、ここ出るんなら出るって言えよ!!」
と涙目で言われた。
寝起きだったこともあり、てっきり虫のことかと思って、
「 虫、はいらんようにしてたんだけど、出たんか?
そこにスプレーがあるから・・・・。」
と説明をしだしたら、
「 違う、幽霊だよっ!」
と怒られた。
ちなみに、実際この別荘はめちゃくちゃ蛾が出るので、入らないように窓あけないようにしたり、スプレーも数本常備している。
友人が言うには、夜中に名前を呼ばれたような気がして目を覚ますと体が動かず、お婆さんが自分の顔に覆いかぶさるくらい近くで、
「 ○○・・・。」
と呼びかけていた。
ただ、この○○は自分の名前じゃないので、
「 お、俺じゃないです・・・。」
と必死で伝えて、
「 俺の名前は××です。」
と伝えたんだが、無視して何度も、
「 ○○・・、○○・・。」
と呼びかけていたらしい。
で、この○○というのが俺の兄貴の名前で、実は10年近く前、その友人と知り合う前に既に死んでいる。
海の事故で死んだんだが、ちょうどこの少し前に祖母が入院したりしていたので、祖母には兄の死を伝えないようにしていて、そのまま祖母が死んだ。
もしかしたらだけど、
俺が来た。
↓
俺より、ちょっと年上のヤツも来た。
↓
兄貴と勘違い。
という流れなのかな、とか。
ってことは、
“ 婆ちゃん、あの世で兄貴に会えてないのかもしれん。”
と思うと、ちょっと哀しくなってしまった。
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