シャボン玉の詩

前へ前へと進んできたつもりでしたが、
今では過去の思い出に浸る時間も大切にしなければ、
と思っています。

反抗期のたわごと(1)

2017-01-15 09:35:07 | Weblog
彼は18歳、大学1年生である。
挨拶もしっかり出来、親孝行で、近所では評判の良い普通の学生である。
しかし実際には大きく変化の兆しを見せ始めている。
気付かぬのは親のみである、というよりは気付かれないように見事に振る舞っていた。

「弁当持ちましたか。帰りは何時ごろになりますか」いつも出がけに親はそう言う。
「大丈夫だよ。一寸遅くなるかもね」と答え、彼は家を飛び出す。
いちいちうるせえな、帰りの時刻なんてほっといてくれよ。もう子供じゃないんだから、
本音の処はそう言いたいが、言ってしまうと後が面倒だから適当にやっている。

彼は繁華街の真ん中に位置する喫茶店に直行である。
此処にはほとんど学校に出席しない所謂不良学生が4,5人屯する。
別に悪をやっているわけではないが、パチンコの常連で、依存症仲間である。
最近はパチンコなどやる学生は激減した。いわゆるギャンブル離れである。
賢い学生が増えたと言えばそれまでだが、このメンバーから見れば腑抜けに見える。
その意味では一寸異質な学生仲間である。
パチンコはお金がかかる。パチンコ屋の台とか最新の情報は極めて重要であるが、
それ以上にお金の工面においても結びつきが強い。
そうでないとお互いやっていけないからである。

開店の時間が来るまでの間、この喫茶店で軽い朝食を取りながら話に興じる。
殆どお金は均等に分けて、しかし行先と行動はは夫々別である。
夕方5時頃になると此処にまた合流し、今日の結果と明日の打ち合わせをして、
再び別々の行動に散るのが通例だ。
勿論2,3人で一緒の場合もあるが、基本的にはそれぞれ一人で行動する。



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