シャボン玉の詩

前へ前へと進んできたつもりでしたが、
今では過去の思い出に浸る時間も大切にしなければ、
と思っています。

未だ投了の局面にあらず

2017-12-02 09:19:39 | Weblog
散歩には出たものの、冷たい空気が次第に身体の奥深く染み込んでくる。
まるで真冬のようだ。
ずっしりと重い雲がのしかかり、一筋の光さえ受け付けない妙に暗い昼前である。
思わず手をコートのポケットに入れ、片道30分の最長のコースを歩き始める。
心配していた胃痛が少しは緩んできたかなと思って、冒険だ。
今は間欠跛行の辛さより胃痛の方が大変なのである。
何とか空腹感が出て来て胃が良くならないかと気をもんでいる。

それにしても静かだ。
こんな日は人も車も何処かでじっとしているのであろうか。

このような鬱陶しい日には刺身を肴に熱燗で一杯やるのが一番であろうと思う。
ああ、一生分の酒をあんなに短期間で飲まなくても良かったのに、とつい思う。
あの5年間はちと図に乗りすぎた。
このような病の大群に襲われることが分っていたら、少しは考えただろうに。
せめてこの胃、1合をやれる余力を残しておればよかったのにと女々しく思う。

我、人生の大局観を見誤ったか。
その昔、あの難しい局面で一歩引いて冷静に対処できなかったことが遠因にある。
しかしあの時はあれが精一杯、能力の限界すれすれに手を尽くした結果である。
今更せん無い事ではあるが、当時酒と煙草は格段に増えた。
しかもその後の5年間はやりたい放題やった。
振り返ってみれば最も充実した日々であったが、まさかの事態が立て続けに起こった。
病気の大群の襲来である。

落ち込みはしたが、幸いにもまだ馬力が残っている。
この程度のものならまだ戦えると思うようになって来た。
ソフトクリームが食え、口がきけ、耳も聞こえ、よたよたでも歩けるではないか。
それにまだ楽しみがある。
桜の花も紅葉もまだ見飽きないし、イチロー選手の引退をも見届けたい。
自伝小説の最終章だって逝く寸前まで完結しないであろう。

最早終局と思っていたが、さにあらず、よく見ると未だ投了の局面ではないのだ。


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