シャボン玉の詩

前へ前へと進んできたつもりでしたが、
今では過去の思い出に浸る時間も大切にしなければ、
と思っています。

天子様

2017-10-06 10:20:57 | Weblog
凄いよママ、本当にすごいよ。
あんな綺麗な空、初めて見た。
病室の窓からもきっと見えるよ、見て!
見えた?凄いでしょう。
あの黄金色の雲の中にはきっと天子様がいる。
行きたいな、ママと一緒に。
天子様にお願いしたいんだ、「ママの病気を治して」って。
あんなにも美しい天子様だもの、きっと力になってくれる。
飛行機頼めないかな、僕が一緒ならきっと行けると思うのだけれど。
もしもママの病気が治ったら色んなところへ行けるよ。
ハイキングだって山登りだって海水浴だって、何でもできるよ。
僕はやっぱりママと思い切り遊びたいんだ。
ねえ、行こう、そして天子様にお願いしようよ。
聞こえていますか、ママ。

あそこまでは行けないわよ。
だってそこは空の彼方でしょう、あなたが考えている以上に遥かに遠いのです。
それに、天子様はあそこには居ません。
もっと遠くの、いえ、天子様は実際には見えないのです。
目を閉じてごらん、そしてママの笑顔を思い出してごらん。
見えてきたでしょう。
そう、天子様はね、すぐ近くにいるのです。
ひょっとしたらあなたの胸の中に。
いつだって私たちのことを見守り心を繋いでくれています。

あなたと一緒に遊べないのは、それは悔しいし辛い。
でも、どうぞ運命だと思って諦めて下さいな。
その代り、誰にも負けないぐらいあなたと心を通わせるから。

うん、分った、分っているよ。

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