バレンタイン・デーとチョコレートと山下達郎

　これはファンクラブで販売されている「山下達郎ＣＭ全集　vol.2」というＣＤです。といっても、達郎さんのオフィシャル・サイトによれば、一般の方でも購入できるということなので、私は３年ほど前に買いました。

　TATSURO氏のキャリアの中で、ＣＭ音楽の占める位置はけっこう重要です。これは初期の大瀧詠一さんにも言えることです。
ＣＭ音楽で新しい表現方法を試してみて、それを自身の作品にフィードバックする。
いつもの自分のスタイルではない楽曲で楽しむ。
といった意味合いがＣＭ曲の制作にはあるそうです。「vol.1」に収録されている「三ツ矢サイダー'76」では後に『On The Street Corner』というアルバムに結実する「多重録音１人ア・カペラ」が初めて試され、「コカ・コーラ'79」「マクセルUD '80　Ride On Time」などで磨き上げられていきました。

　ＣＭというのは「ほんの15秒～30秒の中でいかに印象的に作るか」ということが重要ですから、そのメロディの優秀さが必要ですネ。この分野で鍛えられたTATSURO氏のメロディが素晴らしいのは当然です(^o^)／

　TATSURO氏のＣＭでは、純粋なＣＭ曲が後に１曲に仕上げられる場合（「湾岸スキーヤー」「ドーナツ・ソング」など）もありますが、そのままＣＭ曲として消えてしまうものも多いです。（タイアップもありますけれど^^;）そういう意味では、素晴らしい作品群がこうしてＣＤ化されていることに大感謝！！

　さてさてこの「vol.2」の方には、ただ今世間を騒がせている不二家の「ハートチョコレート」の昭和51（'76）年版が収録されています。
　なぜか日本では「バレンタイン・デー＝チョコレート」という発想があります。これは「昭和33（'58）年にメリーが新宿・伊勢丹で行ったチョコの販促キャンペーンに端を発している」という説が最も有力です。その後、これほどまでに一般に浸透し、日本では「バレンタイン・デーには女性から男性にチョコレートを贈って愛の告白をする」という習慣として定着したのですネ。
　この一般的な風潮を菓子メーカーが見逃すハズがなく、不二家は「愛の告白」にピッタリなピーナツ入りハート型のチョコレート「ハートチョコレート」をバレンタイン商戦に投入しました。

　このチョコレートのＣＭソングをTATSURO氏が手掛けていたのです。特に「'76」は「バレンタイン編」と銘打って、バレンタイン・デー商戦時期の歌です。
　それまでの
　「♪恋はハートで　ハートで迫るの～」
を
　「♪バレンタインは　ハートで迫るの～」
と歌詞が変えられています。

　この歌は、バレンタイン・デーにモテモテの同級生を冷やかす時に
　「♪バレンタインは　○○（その同級生の名前）のものだヨー」
と変えて歌っていましたっけ。当時はTATSUROさんの歌だとは知りませんでした～^^;

収録曲：
１. 資生堂 バスボン '74
２. ラグノオ シュガーレス・ケーキ '75
３. 資生堂 店頭BGM '75「南の島」
４. 資生堂 MG5 '76
５. 不二家 ハートチョコレート '76（バレンタイン編）
６. 資生堂 店頭BGM '76「HOT HOT」
７. 資生堂 FRESURE '78
８. 日立マクセル UD '80（秋編）「RIDE ON TIME」
９. HONDA INTEGRA '85「風の回廊」
10. 東芝 Rupo '90「HYPER BOY」
11. ららぽーとスキードーム SSAWS '93「湾岸スキーヤー」
12. IBM Aptiva '95
13. ミスタードーナツ '96「ドーナツ・ソング」
14. SANYO FRAGILE '98「FRAGILE」
15. SANYO Burberrys BLUE LABEL '98
16. NTT Communications '99「LOVE CAN GO THE DISTANCE」
17. ONLY WITH YOU (Instrumental) '84（FM番組「サンデー・ソングブック」のテーマ）

　購入方法は山下達郎オフィシャル・サイトをご覧ください。