本棚をあけてみたら

2012-02-26 22:33:22 | ひとこと
 『喫茶店で』

喫茶店でぼくが見ているとある男が一切れのパンを
出生証明書を折りたたむように折り、死んだ愛人の
写真を見るように見ていた。

(リチャード・ブローティガン『チャイナタウンからの葉書』池澤夏樹訳)


 「やりきれない視線の比喩」といえば。
村上春樹の作品に、「落ちたドーナツでも見るような目つきで」ってのが
あったっけか。
食べ物と、行き場のない感情の相性は、いいのかもしれないな。

 今日、蒸し鶏作ったら。
水の分量をまちがったらしく、何度も火を入れなおしてしまい、ぷりぷり感が
うしなわれてしまった。
 もはや。プリプリ怒る若さは、持ち合わせていない。

 いつもカバンの中に入れていたはずだったのに。
「にわかに」消えてしまった文庫を。
本棚代わりのクリアケースに、見つけた。


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バックステージパスを、差し出す。

2011-11-14 23:10:24 | ひとこと


 ほう!!
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とりあえず、カッコにいれておく

2011-10-02 23:12:23 | ひとこと
 どうしようもなく。
どうしようもなく、どうにもならなさそうな夜が来たとしても。

 「ああ。あの頃は、どうしようもない夜があったな」

 いつか、遠くない日に、名前をつけてやらなかったら。

 どうにでもなれ!とは、言い切れないわけか。
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ドーナツ群雄割拠

2011-06-25 12:49:34 | ひとこと
「それから新聞を買ってホテル近くのダンキン・ドーナツに入り、
プレイン・マフィンを二つ食べ、大きなカップにコーヒーを二杯飲んだ。
ホテルの朝食なんて一日で飽きる。ダンキン・ドーナツがいちばんだ。
安いし、コーヒーもおかわりできる。」



(村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス(上)』122頁)

 あぶない刑事第2話「救出」冒頭シーンでも登場する、
ダンキン・ドーナツ。日本からは撤退してしまった。

 でも、大丈夫。
僕らには、ミスドがある。

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さらば 愛しき猫よ

2011-06-20 23:37:16 | ひとこと
 一度死んでしまえば、それ以上失うべきものはもう何もない。
それが死の優れた点だ。

(村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス(上)」37頁)

 おやすみ、「いわし」。

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愛かたる、朝に寄せて

2011-06-15 22:45:22 | ひとこと
すばらしいこと
朝目が覚めた時に
 たった一人なのは
誰かにむかって愛していると
 言わなくてもすむのは
なぜってぼくはもう誰も
 愛していないのだから。


「愛の詩」

(リチャード・ブローティガン・池澤夏樹訳
『チャイナタウンからの葉書』ちくま文庫2011所収)


 いい詩を書くね、ブローディガン。
ほんとは、別の雑誌を買う予定だったんだけれど。
ブローティガン本ってことと、ブックスキューブリックの雰囲気に
呑まれちゃって。買ってしまった。
 
 こういう出会いがあるから。
リアル書店はおもしろい。
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プレートの空白をうめる。

2011-06-12 15:57:28 | ひとこと
「私のいちばん好きなことって何だと思う?」
「正直言って見当がつかない」
「私がいちばん好きな事、何かというとね」
と彼女は僕の目を見ながら言う。

「冬の寒い朝に嫌だな、起きたくないなと思いつつ、コーヒーの香りと、
ハムエッグの焼けるじゅうじゅうという匂いと、トースターの切れる
パチンという音に我慢しきれずに、思い切ってさっとベッドを抜け出すことなの」


「よろしい。やってみよう」
と僕は笑って言う。

(村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス(上)』25頁)

 「よろしい。やってみよう」ってのが、いいね。
実に、よろしい。
「ブルータス710号」の「最高の朝食特集」に、きちんと
添えたい一場面。
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660人の取材陣がわらった夜

2010-12-20 21:28:51 | ひとこと
-記者会見会場-

「事件当日の自分に、どんな言葉をかけますか」
 という質問の後だ。
海老蔵は真顔で言った。

「出かけるのはやめなさい」

(AERA 10.12.10 海老蔵「実は軽症」だった。より)

 
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電話の切り方2

2010-08-21 11:22:23 | ひとこと
 「なんでもない。こっちの話だ」と天吾は言った。
「そこにいく」
天吾が何かを言いかけたときに回線の切れる音がした。
誰も彼もが会話の途中で好き勝手に電話を切ってしまう。
まるで鉈をふるって吊り橋を落とすみたいに。

(村上春樹『1Q84 book2』209頁)

 電話は、やっぱり苦手です。
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自己の時効を中断するために

2010-08-10 22:03:20 | ひとこと
「ほほう。では、人生って何なんでしょうか?」

 「奪われたものを取り戻しにいこう。そう思うことがあります。
奪われたものなど何もないのかもしれない。だけど僕に欠けているもの、
僕が欲しいもの、それを奪われたものと仮定してみます。奪われたものは
取り戻さなければならない、そう考えると何だか奮い立つような気がします。
生まれる前、過不足なく全能だった自分。人生とは、生まれ落ちた瞬間
なくしたものを、奪還するための長い旅かもしれません」

(中村航『あなたがここにいて欲しい』収録「ハミングライフ」より)

 ほんとうは、存在しないかもしれないもののためであっても。
消滅時効の進行を中断し続ける旅。権利なんて、もともと
割り当てられていないかもしれないけれど、きちんと、かたちを
与え続ける道程。

 「ハミングライフ」自体は、とても素敵な男女のやり取りが
織り成すお話なんですがね。
抜き出し方を限定すると、まったく、別の作品になっちまうな(笑)
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