地形学とGIS / Geomorphology & GIS

ある研究者の活動と思考の記録

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Rania Bou Kheir (1974-2014) / さよならラニア

2014-06-03 | できごと

友人のレバノンの女性地形学者 Rania Bou Kheir さんの訃報が届きました。僕より11歳も若い1974年生まれ。ロシアに出張中に心臓発作で倒れたとのこと。残念でたまりません。

ラニアとは彼女が Geomorphology に論文を投稿した際に知り合いました。中東ではイスラエルを除くと、国際的に活躍している地形学者があまりいません。しかしラニアが投稿した原稿の文献リストを見て、彼女はすでに国際誌に複数の論文を発表していることを知りました。僕はラニアの論文を二回ハンドリングし、いずれも出版されました。内容は地理情報システムを用いたレバノンの侵食地形の分析です。

僕はシリアで研究をしてきたので、隣国のレバノンに強い興味がありました。そこで2009年と2010年にベイルートに行き、ラニアを訪問しました。彼女は友人や家族の協力を得て、僕をフィールドに案内してくれました。彼女の家にも何度か招待されました。

そのような過程で、ラニアはフランスで学位をとり、フランス政府が若手の科学者に与える名誉ある賞を得ており、デンマークの大学の客員教授であり、レバノンでは首相官邸に招かれたこともあると知りました。一方で健康にかなりの問題を抱えており、野外調査や長期の旅行は難しく、レバノン国内の定職に就くのも避けているとのことでした。結婚も考えていないようでした。

僕は彼女を日本に招聘したかったのですが、日本までのフライトに体が耐えられそうもなく、断念しました。今回はロシアに頑張って行ったのでしょうが、体に無理がかかったのかもしれません。

彼女には Geomorphology の編集委員もお願いしました。2年間ほど頑張ってやってくれましたが、体力的に仕事を減らす必要があるということで、延長はしませんでした。

中東の実に貴重な研究者に、なぜ神様が普通の体を与えてくれなかったのかと思ってしまいました。優秀な研究者としての誇りや強さと、長年病気と闘ってきた人ならではの優しさの組み合わせが素晴らしい人でした。個人的な思い出になりますが、ラニアを訪問した際に撮影した写真を下に掲載します。

さよなら、ラニア。天国で会う日まで。

 

ラニアとお母さん。レバノンの海岸のレストランにて。美しく優しい親子でした(2010年11月)。

 

 

ラニアの家族。左から弟さん、妹さん、お父さん、お母さん、ラニア。クリスチャンの家族なので、中東料理とともに現地産のワインが出ています(2009年11月)。

 

 

僕も家族の一員として扱ってくれました。僕の背後の壁にかかっている文書は、ラニアがフランスで得た博士の学位の証明書です(2009年11月)。

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