地形学とGIS / Geomorphology & GIS

とある研究者の活動と思考の記録

地形学習シートと松宮先生

2010-02-08 | ひと
このブログで数回取り上げた話ですが,約3年前から,帝国書院が中高の地理の先生のために発行している「地形学習シート」の作成に関与しています.教育現場でシートの評判が良いのが励みになっています.

このシートはB3サイズで,片面には地形写真が全面に印刷され,片面には地形図,地形の解説,および地形図を利用した実習の展開例が印刷されています.僕の担当は地形の解説の執筆です.一方,実習の展開例は,仙台市にある尚絅学院中学・高等学科の松宮正樹先生が執筆されています.これまで取り上げた地形は以下のとおりです.

  • 砂嘴(天橋立)
  • 河岸段丘(沼田)
  • 自然堤防と後背湿地(阿賀野川)
  • 台地(磐田原)
  • 浜堤列(九十九里浜)
  • マール(目潟)
  • 隆起珊瑚礁(南大東島)
  • 陸繋島・トンボロ・砂嘴(室積半島)
  • 扇状地(御勅使川)
  • 断層山地(養老山地)
  • 海岸段丘(室戸岬)
  • 三角州(雲出川)

先週末,松宮先生が東京出張の途上で僕のオフィスに立ち寄られました.ずっと共同でシートを作ってきましたが,お会いするのは初めてでした.松宮先生も学部と大学院修士課程で地形を研究されていたので,共通の知り合いが多いことがわかりました.約一時間半,楽しく会話が進みました.

中高での地理教育を取り巻く状況は厳しいようです.たとえば,東京都や神奈川県の公立高校では,地理が地歴科の必修科目から唯一はずれるという状況になっています.歴史の重要性は理解しますが,地理を相対的に軽視することは誤りだと思います.国際化や地方の重要性を叫ぶ一方で,地理を軽んじる風潮があることに大きな矛盾を感じています.

もしかすると,地形学習シートをみて「地理や地形は面白い!」と感じる中高生が,全国に何人かいるかもしれません.そのような希望を持ちつつ,松宮先生と協力して作業を続けたいと思っています.

以前も書きましたが,タモリは高校生の時に沼田盆地の河岸段丘の地形図を見て,地形に興味を持ったそうです.最近,建築を専攻する学生の間で,地形がブームになっていると聞きました.タモリ倶楽部やブラタモリの影響ではないでしょうか? そうだとすると,1枚の地形図が個人に与えた感動が,後に一つの流れを作ったことになります.

Carrying a message.
Message of hope.
(Hope for the Future / Marillion)
コメント (0) | トラックバック (0) | goo

カテゴリー

2010-02-04 | つれづれ
本ブログに9個のカテゴリーを設定し,記事を分類するようにしました.以前は「Diary」という一つのカテゴリーに全ての記事が入っていました.研究に関連したことを書くという一貫性があるので,記事の分類は不要と考えていました.

しかし「おもしろ写真」を掲載し始めるなど,記事が多様になってきました.また,記事が100件を超え,整理すべき状況になりました.そこで,記事の分類を試みました.ただしカテゴリー9個は多い感じもします.しばらくこれで試しつつ,調整しようと思います.

昔,地形分類図をよく作りましたが,その分類基準の作成も容易ではありませんでした.詳細さを求めるとカテゴリーが増えますが,カテゴリーが多い図は判読が困難になります.最適値の選択が重要です.

学生時代に読んだ本に,「分類=分割という印象が強いが,実際にはグループにまとめる作業である」と書かれていました.鋭い指摘です.

Why are you trying to classify it?
(Animato / Hikaru Utada)
コメント (0) | トラックバック (0) | goo

おもしろ写真 その2

2010-01-31 | ジョーク
前回記したように,旅先で撮影した冗談めいた写真を,このブログにときどき載せることにした.しかし,第一弾の掲載後にタイトルで悩んでしまった.最初は「おもしろ写真 No. 1」としたが,出した写真が実は面白くないかもという,お笑い芸人みたいな悩みが生じた.また,No. XXとすると連番ではなく順位に見える可能性にも気づいた.No. 1が最高ではないのに.

そこで,「ヘンなモノ写真 その1」と変えてみたが,これもイマイチ.笑いがとれない時の問題は回避できるが,「ヘン」と感じるかどうかは,やはり主観による.また,「ヘン」は響きが悪い.結局,「おもしろ写真 そのXX」とすることにした.些細なことに悩む自分が滑稽であるが,今後何度も出るタイトルなので,考えて結論を出した.

今日の写真は,ピナツボ火山の調査の際に撮影したフィリピンの日本食のファミレス.英語名は「Teriyaki Boy」だが,日本語名は「太った少年」.健康を気遣って入るのをためらってしまいそうだ.

このネタはフィリピンに行った日本人の間では有名らしく,ネットにいろいろ記事が出ている.でも,なぜ日本語名が「太った少年」なのかは,ほとんど議論がない.

そこで僕の勝手な仮説.「Teriyaki Boy」をフィリピン人が創業した際に,アメリカ起源で日本にもあるファミレス「Big Boy」に影響され,歩いている太った少年をキャラクターにした.また,日本食レストランなので,日本語の表示もつけることにした.ただしその表示はフィリピン人には意味不明なので,文字の芸術性(?)を考慮し,「テリヤキ少年」ではなく「Big Boy」=「太った少年」とした.

それにしても僕は,どうでも良いことをあれこれ考えてしまうことが多い.今のように超多忙な時ほど,そうなる傾向がある.ストレスが増えると,別の「明るい悩み」を持つことによって精神の破綻を防ごうとするのかもしれない.

Untouchable memories seem to keep haunting me.
(Sukiyaki / A Taste of Honey)
コメント (0) | トラックバック (0) | goo

おもしろ写真 その1

2010-01-29 | ジョーク
僕が自分のホームページを大学のサーバに作ったのは,1996年のこと.間もなく,調査に行った場所でたまたま撮影した,ちょっと笑えるモノの写真を掲載し始めた.「VOW」と似ているが,海外ネタが多い点は違う.その後,何人かの方から,「あの写真集の更新を楽しみにしています」という暖かいお言葉をいただいた.

写真集は今も大学のホームページに残っているが,昨年ページのデザインを変えたときに地味な場所に移したので,目に触れにくくなった.また,その内容は大学の公式なページよりも,このブログに適するだろう.

そこで,写真集の内容を少しずつこのブログに移すことにした.もし新しい写真が撮れたときには,それも載せていきたい.

とりあえず第一弾.上の写真は,イギリス・ウォリングフォードにあるLittle GablesというB&Bの食堂で,2005年に撮影したもの.Centre for Ecology and Hydrologyに出向いた時の常宿である.ポイントは,卓上の表示板が「No Smoking=禁煙」ではなく「No Smokers=喫煙家お断り」となっていること.この場所で吸わなくても,服が臭うからダメ?

なお,上にはポルトガル語で「禁煙」と書かれている.この表示板は恐らくポルトガル製で,ポルトガル人が変な英語をつけてしまったのだろう.

I'm a joker.
I'm a smoker.
(The Joker / Steve Miller Band)
コメント (0) | トラックバック (0) | goo

災い転じて福

2010-01-25 | 昔話
前回に引き続き,卒論に関連した話です.写真は,学部3年の春休みに撮影したもので,阿蘇カルデラの中央火口丘にある夜峰山(913 m)の中腹からカルデラの南東部(南郷谷)を見たものです.春霞のために,ぼやけています.

このときは,国鉄が発行していた20日間有効の九州周遊券を使って旅行をしていました.貧乏学生だったので,激安で泊まれた大学の自治寮の談話室,車中泊,駅寝などで過ごし,たまに銭湯やコインランドリーに行きました.今なら確実に体を壊しますが,当時は何とかなりました.

阿蘇では,南側の阿蘇下田駅(現:阿蘇下田城ふれあい温泉駅)から中岳の火口を経て,北側の阿蘇駅に徒歩で向かいました.一日がかりのルートです.ところが出発して間もなく道を間違え,夜峰山の南斜面に行ってしまいました.誤りに気づいて戻りはじめましたが,その際に見えた風景に感動して撮ったのが上の写真です.狭い範囲に山地斜面,山麓緩斜面,扇状地,河岸段丘,蛇行河川などが分布しています.まるで箱庭のようでした.

当時,地形学に興味を持ち,大学院への進学を希望していました.卒論のフィールドは実家の近くにする予定でしたが,上の「箱庭」に魅了されてしまいました.ここなら短時間でいろいろな地形を研究できると思いました.九州周遊券と熊本大学の寮での宿泊を組み合わせれば,お金はさほどかからないこともわかりました.結局,阿蘇を卒論のフィールドにしました.

ノーベル賞をとるような偉大な研究が,手続きを間違えた実験から始まったというような話を時々耳にします.僕の場合は,卒論で優れた研究を行うことにはなりませんでしたが,その後につながる多くのアイディアを得ました.火山の中に面白い斜面や河川地形があるのは,全く予想外でしたが,道を間違えたために知ることができました.明らかに「災い転じて福」でした.

なお,九州旅行の時には「ウォークマンもどき」で音楽を聴いていました(SONY製は高くて買えなかった).その時に,一人旅に実に似合うと思った曲を引用します.

We sailed for parts, unknown to man.
(A Salty Dog / Procol Harum)
コメント (0) | トラックバック (0) | goo