ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

失敗学のすすめ

2014年07月31日 | カンボジアの外で感じたこと

 

 

「失敗学のすすめ」は、ずいぶん前に東京で受けた講習で「おすすめ」だといわれ、でもちゃんと読んでなかった本。

工学部の先生が、実験とかでの失敗をもとにして、「失敗学」なるものを論理的に追及して、失敗から学ぶ重要性とその手順について、事例をたくさん紹介しながらわかりやすく解説してある本。

たしかに、成功例を聞くより、失敗例を聞くほうが自分のためになるんだけれど、失敗例を共有してくれる立派な人たちはそういないかも・・・・特にカンボジアでは、失敗例をきくってことはほとんどないかも。

女性に対する暴力やジェンダーの分野は、意識改革を通じて行動を変えていくっていうことを目的にしているので、失敗例といっても、「こんな事業をやってみたけれど、うまくいかなかった」ってことが多いかも。でも、ほとんどがODAとか外国からの援助で事業を運営しているので、評価の段階で「失敗」があげられることはあまりない。わたしも、いつもLesson Learnedっていう項目を評価にはいれるけれど(これはたいていの場合お客さんからの要望でMUSTになってる)、あまり厳しい現実には直面しないし、失敗といってもアプローチがちょっと間違ってたから成果がちゃんとあがてないかな、っていう程度で、汚職があって大変だった・・・・なんてことは、たいていオフレコなのである。

失敗学かあ。理工学系にいれば、失敗っていうのは目に見えるし、分析しやすいのかもしれないけれど、人間の意識や行動をあつかう学問では、なかなか理論的にとりまとめるのはむつかしいかもしれない。

 

 

 

 

 

 


Replayのジーンズ

2014年07月30日 | 女性の自立

 

今年になって、けっこうDKNYにはまっていて、ジーンズとかTシャツとか、さらにはスカートとか買ってえるわたし。学生時代にはバーゲンのシーズンになると香港まで出かけて、アン・クラインとDKNYを買いあさっていたけれど、今は日本でも安価で手に入るのがありがたい。DKNYは、NYのオフィス用とはいってもカジュアルなのはとってもいいし、着やすいデザインなので、DKNYは大好き。

今回、日本でショッピング中に、Replayっていうかっこいいブランドを発見。子どもがいるのでジーンズを着ることが多くて、一つ買ってみた。24インチのは、ちょうどぴったりぴったりってかんじで、これを着てれば暴飲暴食の予防になるかなと・・・・・それにしても、思うのは、ジーンズのサイズっていうのは、ほんとに適当で、24インチっていうのはウエスト66センチと書いてあって、なんだかとても太った気がするのである。

とはいえ、知らなかったこのREPLAYっていうメーカー、どんなブランドなんだろう、ってReplayをネットで調べると恐ろしい写真が・・・・

↓ReplayのWeb-siteで発見

ジェンダーと女性の商品化をテーマにした講座もやりたいと思っているところで、これこそまさに「いかん!!」っていう写真の事例なのである。

以下は、友達のイギリス人が、ジェンダーと女性に対する暴力の講義を依頼したら、Objectification of women っていうタイトルで紹介してくれた写真。

ジェンダー視点で探し始めたら、きっとたくさんあるだろうなあ、こういうの。

でも、Replayのジーンズは、気に入ったので、しっかり着用するのである。

 

 

 

 


日本の夏休み

2014年07月30日 | カンボジアの外で感じたこと

 

 

日本にいる間、上の子には学校に通ってもらうことに。

といっても、日本では、子どもにかかるおカネはとってもとっても高い。幼稚園お入園にかかる費用だけで20万円と聞いてすっかり気おくれしていたので、とりあえず、デイケアーで気軽に預けられる保育園にお世話になることに決定。帰国子女がこの夏休みだけで4人もいるそうなので、預かるほうもきっと慣れてるんじゃないかと思ったのだ。

費用は、一日預けて、就労や就学が理由の場合は一日2400円、親がストレスとかリフレッシュしたい場合には3600円となっていて、ストレス解消のために預けるのも子どもの虐待防止のために重要だから、値段を変えるのはどうなのかなあ・・・・。

 

 


Gentleman's Love

2014年07月29日 | カンボジアのジェンダー規範

 

 

Gentlemen's Love (Snaiha Sopheap Boros)は、クメール語の本で、セクシャリティについて分析するのにいいってどこかで紹介されていたので、読んでみた。作者は、Sok ChanPal.

http://www.sokchanphal.info/

 

内容は、たわいもない恋愛もの。大学生のふつーの男子が自分の性に悩みつつも、イケてないのになぜだかもてちゃうので、周囲にいる女性との関係にも苦しむ・・・・みたいなかんじ。教室に入れば先生を下から上まで見るし、廊下にいる女生徒は下から上まで見ないと気が済まない若者の性と格闘する様子が、なかなかよく描かれてる。

学生たちに、「最近どんな本を読んだ?」ってきいたら、本を読んだ学生はゼロ。「お父さんとかお母さんは、どんな本を読むの?」って聞いても、「両親は本を読まない」という回答と、両親のどちらかがなくなっている学生や離婚家庭がものすごく多いのに驚かされるカンボジア。

若者は、FACEBOOKとかSOCIALMEDIAで忙しくて、とても本なんて読まないのかな?SKYPESeXとかいう単語まであるそうだから CYBERSPACEでいろんなことやってて、本は古い文化になりつつあるのかな。

 

 

 


IMAM'SDAUGHTER

2014年07月28日 | 女性の自立

 

 

MAM’SDAUGHTERは、HANNAH SHAHというイギリスに移住したパキスタン人の女性の自伝。

5歳の時から実父にレイプされ続け、虐待を耐えつつも、強制結婚をのがれて自由を得た女性の話。

ちょうど、パキスタンの名誉殺人が話題になっていて、この本は2010年にでたものだけれど、名誉殺人とか宗教を悪用した女性の抑圧に関する理解がちょっと深まればいいと思うのである。

HANAHさんの偉いところは、自分の父親がコーランに書いてあるからと言い続けていた教えがほんとなのかどうか、自由を得てから改めて英語でコーランを読んで内容を確かめる作業をしたところ。「MUSLIM FMINISM」という超面白そうな講義を受講して、クラスメートとコーランについて議論をするんだけれど、実際にコーランを読んで理論を展開する学生は皆無で、みんな聞きかじった知識で議論をしている様子が紹介されている。

理解できないけれど事実であるのは、HANNAHさんの母親が、娘が夫に虐待されているのを黙ってみていたこと。そのレベルまで抑圧されているっていうのは、マインドコントロールでしかないし、恐ろしい。

宗教に対しては理解が必要だけれど、自由を奪ったり抑圧のために悪用されているのは、きちんと正していかないと。とはいっても、そう簡単ではないんだろうなあ。ベールをかぶっている女性に、ベールをとって自由を楽しんでって言っても、本人にとっては自由がなにかわかっていなかったら、ベールをとることが抑圧につながってしまうのだ。

 

 


オシャレなスカイバー

2014年07月27日 | カンボジアの生活

 

高層建築がどんどん増えるプノンペン。

↓KOLABっていうホテル、いつの間にかできてた?

9階までエレベーターであがって、10階がスカイバーになってる。

↓屋上から南側を見ると、プリミティブな建設現場が見える・・・・

↓町の北側、どこがMONIVONGだかわからないくらい高いビルが増えてる

↓町の中心部、独立記念塔が見えない・・・・・

食べ物は、値段が超良心的で、注文しすぎに注意しないと。

↓カラマリとフレンチフライ、悪くないかんじ

↓久しぶりにみたとってもとっても感動的な夕焼けと残照

プノンペン、進化してるなあ。

 

 

 

 

 

 


柳美里さんの本:「子どもなんて、いなければよかった」

2014年07月26日 | 女性の自立

 

 

「子どもなんて、いなければよかった」という衝撃的なタイトル文にひかれて、思わず買ってしまった柳美里さんの本。

彼女の本は、かなり重いので苦手なんだけれど、そういえば、パートナーをなくしてシングルマザーでどうやって子育てしてるんだろうって気になってたのだ。

↓子育てと自分の子ども時代とに向き合う内容

タイトルは、ファミリーシークレット。確かに、自分が父親や親せきに虐待された話がでてくるし、かなり悪いことをした経緯も詳細に紹介されてる。

自分が経験した虐待を、自分が加害者となって子どもに虐待してしまう負のサイクル。読んでて思うのは、柳美里さんは、とってもとっても病んでいる女性で、仕事に没頭したり動物をかってごまかすよりも、自分の抱える問題に正面から取り組んで解決しないと、子どもまでがこのあとの人生ずっと苦しむことになるんじゃないかっていう点。

残念ながら感動はしなかったけれど(紹介文にはそう書いてある)、子どもの虐待を報道とかで取り上げる際には、こういった加害者の理由についても、センセーショナルではなくて分析的に記載することが大事だし、これから親になる世代には、自分たちが加害者になる可能性があるっていうことを理解しておいて、必要に応じて行政のサービスを受けらっるような体制が必要だなあ。

 

 


男子と男性に対する性暴力

2014年07月25日 | カンボジアのジェンダー規範

 

国立大学で使うジェンダー学のカリキュラム編成。「男子と男性に対する暴力」っていう項目を、20分くらいで、って導入しようと試みた。この項目は、教えている人はいないし、私自身この数か月教えてみて、とってもむつかしい内容で、自分自身が学びたいと思っているのだ。

↓専門家チームをよんで、講義をしてもらう

インドでは、男子に対する性暴力は5割以上の子どもが経験しているそう。デリーでは6割とか。確かに、デリーの町を歩いたら、10分くらいで2回も痴漢にあって、びっくりしたことがあったなあ。

6月に突然依頼されてかかわったジェンダーカリキュラムの編成の仕事は、とりあえず終わり。誰かやらないといけなくってでも進んでないっていう仕事で、無事完成させたので、まあ成果はあったのかな。

ただ、湖のカリキュラムを実際にどう導入するかが、大きな課題・・・・って思っていたら、なんと、王立大学では10月からでもテストで導入したいとのこと。

研修に参加してくれた教員たちは、みんな熱心で、わたしの教授方法を必死に学んでくれた。さらに、「あなたならどう教える?」っていう質問には、必ず数名が、「こうやってみたらどうかな?」って提案してくれて、みんなでジェンダー学の教授法について考える、とってもいい機会になったのである。

せっかく作ったんだから、うちの大学でも導入しようかな・・・・今のカリキュラムは、わたしが7-8年前に作ったもので、すでにOutdatedなのだ。カンボジアに戻ったら、また考えよう。

 

 

 

 

 

 

 


フェミニズム入門:大越愛子先生

2014年07月24日 | 女性の自立

 

フェミニズムは、講義で扱いにくいトピックの一つ。理論なので、どうしても退屈っていうイメージが学生の間にあるのだ。

「フェミズム入門」の筆者大越愛子先生は、10年くらい前に京都の学会で発表させれもらった時、お会いした先生。その時は、ジェンダーの大御所だとは知らず、「あの人だれ?」って言って怒られたんだけれど、ユニークでチャーミングという表現がぴったりな素敵な女性だった。

↓みんなでお出かけ、写真撮影は大変・・・・・

で、久しぶり手に取って読んでみた、大越先生の「フェミニズム入門」。入門とはいっても、レベルは高くて、とても分かりやすくフェミニズムの展開を、いろんな理論を紹介しながらまとめている大作。

↓サンドイッチよりも、中にあるハムが好きな子ども

こういう本が、英訳されるといいのに・・・ひいてはクメール語になるといいのに・・・・情報は成功のカギ。

↓下の子はフレッシュオレンジジュースが大好き、すっぱくないのかな?

日本語の情報量は少ないけれど、それでもクメール語よりは格段に多い。子どもに何語を第一言語にしてもらうのがいいのか、こういう時には悩めるのである。

↓3種類のチーズがはいったパスタ、上の子がほぼ全部食べちゃった・・・・・

 

同僚のクメール人男性の教員(社会学・哲学)に、「どんな理論教えてるの?」と聞かれ、「あまり理論はやってない、学生が寝ちゃうから。分析手法を取り上げて、それを使って実践的な講義が多い」って言うと、「シモン・ドゥ・ボーヴォワールの理論とか教えてないのか」と言われ、「ジェンダーの作られ方の講義では彼女の紹介もするけれど、彼女1人を指して、彼女ひとりの理論体系をひとつの普遍的理論とはいえない」っていうと変な顔をされてしまった。でも、話していると、カンボジア人の「理論」っていうのは、なんでもありで、学生に言わせると私の講座でも、かなり「理論」を教えているらしい・・・・なんだかへんだけどな。

 

 

日本では、もうちょっとフェミニズム関係の本をゲットして、理解を深める努力をしてみよう・・・・

 


プノンペン大学の先生たちへの講義

2014年07月23日 | 女性の自立

 

国立大学で使用するジェンダー学のカリキュラム作成の仕事も、ほぼ完成。

↓大枠で出来上がってるカリキュラムを使っての教員に対する研修

プノンペン大学の社会学系の教員たちを対象に、ジェンダー学の教え方の講義を実施。

仏教大学で教えている先生も参加してて(本業はプノンペン大学講師)、なんと、時給1,7ドルで教えてるという事実にみんな驚愕・・・・・講義をさぼる教員が多いそうで、この当事者も講義をさぼってわたしの研修に来てくれたのであった。

↓Intersectionalityの講義、ロールプレイをしてもらう

「ロールプレイよりも、こういうのもどう?」って、次々と教員たちから自分の教授手法が紹介・共有されて、教員たちを対象として研修をすると、とても勉強になるのである。

↓Domestic Workerに命令する雇用者を演じてる若手教員

外国人が数名いたので英語ととりまぜでの研修になったのだけれど、参加者のクメール人はみんな英語が堪能。教員として成功していくためには、英語が不可欠だそうな。