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【論考】ユーザー・ドリブン・イノベーションによるスマートな街づくりに向けて─海外における「スマートシティ2.0」への取り組み

2017-06-16 | 論考

 

     

 
【論考】ユーザー・ドリブン・イノベーションによるスマートな街づくりに向けて─海外における「スマートシティ2.0」への取り組み

1.デジタル技術の進展に伴い、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)などの先端技術を産業・社会の様々な領域に活用しようとする動きが活発化している。その焦点の一つが、スマートな街づくり(スマートシティ)である。従来のスマートシティは、事業者主導によるエネルギーや交通インフラなど、個別システムの情報化・高度化を対象とするもので、サプライサイド・技術指向の側面が強かった。近年のスマートシティの取り組みは、ユーザーである市民や地域社会をイノベーション推進の中心に据え、IoTから収集されるデータ等を基に、街づくりの全体最適を追求するものとなっている。従来の取り組みを「スマートシティ1.0」とすれば、現在は「スマートシティ2.0」と位置付けることができる。
 
2.スマートシティ2.0では、イノベーション・プロセスの初期段階からユーザーを巻き込む「ユーザー・ドリブン・イノベーション」が重視されている。その背景として、①スマートシティで社会的課題の解決や生活・公的サービスの質の向上を実現するためには、実際にこれを利用するユーザーの関与が不可欠であること、②デジタル技術の進展によって、ユーザーが主体的に開発プロセスに参画しやすい環境が醸成されていること、③公共セクターにおいて、ユーザーである市民の関与(いわゆるシビック・エンゲージメント)が求められるようになっていること、などが挙げられる。海外の事例では、ユーザー不在のプロジェクトであったために、スマートシティ本来の目的を達成できなかったケースもみられる。
 
3.ユーザー視点からのスマートシティ2.0に実践的に取り組む欧米の代表的な都市の事例として、アメリカ・シカゴ市とデンマーク・コペンハーゲン市がある。アメリカでは、2015年9月に連邦政府のスマートシティ・イニシアティブが発表され、これと連動する形で各都市のスマートシティ・プロジェクトが進められている。なかでも、シカゴ市はオープン
データやシビック・テクノロジーの先進都市であり、スマートシティのリーダーとして位置付けられている。シカゴ市は、街中に設置したセンサーから環境データを収集・蓄積して、研究機関や民間の利活用に供する「Array of Things(AoT)」やスマートグリッドなどのプロジェクトを推進するほか、産学官連携のハブとなる「シティデジタル」が設立され、CPS(サイバー・フィジカル・システム)に関連するイノベーションとスマートシティでの実用化に取り組んでいる。シカゴ市にはシティデジタルのほか、市民の参加・対話・協業のプラットフォームとしてのスマートシカゴ・コラボラティブがあり、両組織は、ユーザー・ドリブン・イノベーションの基盤(プラットフォーム)として機能している。
 
 
 
  

    

ジャンル:
海外
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