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【論考】年金制度からみた「こども保険」

2017-06-13 | 論考

 

     

 
 
【論考】年金制度からみた「こども保険」

 2017 年 3 月に自民党「2020 年以降の経済財政構想小委員会」から「こども保険」が提言され、注目を集めている。本稿では、年金制度との関係に焦点を絞り、その問題点を整理した。
 
 第1に、年金保険料にこども保険を上乗せする以前に、年金財政健全化が不可欠である。現在、将来世代にツケを回しながら過剰給付を行っている。2004年の年金改正で導入されつつ殆ど機能していないマクロ経済スライドに付された名目下限措置廃止をはじめ、確実に給付水準抑制を図る必要がある。
 
 第2に、厚生年金保険料の滞納事業所 13.6 万に象徴されるように、適用・保険料徴収といった執行が決して容易ではないなか、保険料を上乗せすることで、一段と執行が困難になる懸念がある。すると、想定通りのこども保険財源が確保されないばかりか、年金財政もダメージを受けることになる。
 
 第3に、加入者間の負担の公平性の欠如である。提言内容は、国民年金加入者間の垂直的公平性も、厚生年金加入者と国民年金加入者との間の水平的公平性もそれぞれ著しく欠くことになる。
 
 第4に、仮にこども保険が特別会計において経理され、国会および保険料拠出者のチェックが届きにくくなれば、非効率な利用となる懸念が拭えないことである。かつてグリーンピアが年金財政と制度への信頼を毀損したことを踏まえる必要があり、特別会計改革の精神も引き継がれなければならない。
 
 こうした問題点のうちとりわけ第2から第4は、年金保険料にさらに保険料を上乗せするという枠組みでは克服が困難である。教育国債の議論が浮上するなか、こども保険が、赤字国債に依存しない財源調達であることについては前向きに評価できる。もっとも、これらの議論が登場してきた背景には、消費税の議論がタブー視されている政治的環境があると考えられる。消費税をタブー視せず、税と社会保障制度を同じテーブルに載せ、最適なあり方を目指す議論が不可欠である。
 
  
 

    

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