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【論考】韓国経済の先行きをどうみるか-浮上するG 2リスクと国政リスク

2017-05-12 | 論考

 

  

  
 
【論考】韓国経済の先行きをどうみるか-浮上するG 2リスクと国政リスク


1.韓国では低成長が続くなかで、多くのリスク要因が登場したことにより、先行き不透明感が増している。国内リスク要因(家計債務の増加や次期政権での政策転換)に加え、国外リスク要因(トランプ政権の通商政策とTHAAD配備決定後の中国の経済報復など)が存在する。

2.国内経済分野での最大のリスク要因は家計債務の増加である。近年、住宅投資が成長を牽引する一方、家計債務が急増した。元本返済なしのローンと変動金利による借入の多さ、ノンバンクからの借入増加などの問題がある。政府は債務管理の強化に乗り出したが、増加に歯止めがかかっていない。今後アメリカにおける利上げの影響を受けて、国内の金利が上昇し、返済負担の増大とそれに伴う消費の抑制が生じる恐れがある。

3.国内経済分野のもう一つのリスク要因は企業債務の増加である。景気変動の影響を受けやすい業種では、本業の収益で利払い出来ない企業が多数存在している。経営の立て直しを目的に構造調整が行われてきた結果、構造調整対象企業数の増加には歯止めがかかっているが、海運・造船などは依然厳しい状況にある。再建に向けた追加策が打ち出されているが、政権交代によって改革が遅れることも懸念される。

4.他方、国外リスク要因としてまず、トランプ政権下の通商政策がある。アメリカの通商政策が自国の利益を最優先する場合の影響として、①韓米FTA発効後に拡大している貿易不均衡に対する是正圧力が強まること、②中国への経済制裁が実施されれば、韓国の対中輸出が一段と減少すること、③メキシコに対する通商政策如何では、韓国企業のメキシコ事業が打撃を受けることなどが考えられる。

5.もう一つの国外リスク要因に、THAAD配備決定後の中国による経済報復がある。中国政府は自国の安全保障を害するとの理由で、韓国政府に配備中止を迫るとともに、中国での韓流コンテンツの制限や食品、化粧品に対する通関不許可など、事実上の経済報復に乗り出した。報復はシステムが配備され始めて以降、エスカレートしている。こうした一方、チャイナリスクの高まりにより、韓国企業の脱中国の動きが強まる可能性がある。

6.最後に残された大きなリスクが国政リスクである。朴槿恵大統領が罷免された結果、5月9日に大統領選挙が実施されることになった。世論調査によれば、最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が当選する可能性が高い。外交・安全保障政策(北朝鮮問題への対応やTHAAD配備、対米・対中外交など)や経済政策で大きな変化が生じる可能性がる。経済政策ではポピュリズム的な動きが出てくることにも注意が必要である。
 
 
 

 

  

  

 

        

ジャンル:
海外
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