CAC映画評:ロング・エンゲージメント

 最近、公開された「ロング・エンゲージメント"Un Long Dimanche De Fiancailles"」のCommeauCinema.comにあった映画評を訳しました。フランスの批評サイトでは、なかなかどこも好印象のようでした。ただ、カイユ・ド・シネマはあまりいい得点ではありませんでした。僕は、ジャン=ピエール・ジュネ監督の映画作品は、あの世界観というか、映画の雰囲気が好きですね。その独特の映像を作る色調のテクニックが下の記事にも書いてあります。特に「アメリ」のアメリ・プーランは、不思議少女の強烈なイメージだったので、少し印象が残ったまま、この作品も観てしまいそうです。

以下、レビュー記事です。
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もしあなたがアメリ・プーランが好きだったら、

 マーク・カロ(Marc Caro)との共同制作の2作品(「デリカテッセン」、「ロストチルドレン」)の後、アメリカの超大作「エイリアン3」での素晴らしい成功を収め、「アメリ」の数奇な運命を私たちに語ったジャン=ピエール・ジュネ(Jean-Pierre Jeunet)は、世界中の幾百万の観客の心を掴んだ。今日では、彼の新作映画「ロング・エンゲージメント」が封切られるのを待たれている。同作は,Sebastien Japrisotの小説が原作である。

 すぐに注意を促したいのは、この有名な「アメリ」―オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)が演じた主人公、審美観、シーンの演出、脚本、装飾、映像等―の無条件支持者は、彼らのヒロインが生きた時代の旅路に失望しないはずだ。これら2つの映画にたくさんの共通点を見出すだろうが、ストーリーは大きく違う、ただ、映像が似ているだけだ。単純にアメリが好きな人は、既視への苛立ちと映画が確かに持つ複数の価値との間で、揺れ動くだろう。ジュネ監督の中毒症状のため、脚本家に合わせた審美観やシーンの設定への執着はしない。そして、薬物テストさえもせず、観客は大量摂取の危険を冒す!
しかし、徴兵不適格者や徴兵忌避者でない私たちにとっては、このスペクタクルは、避ける以上に価値を持っている。

助演役者の忠実な配役

 既視への苦々しい印象が、もしジュネ監督がオドレー・トトをマチルダに配役したことが主な原因だとしても、それにも関わらず、彼の他の配役にも脱帽を禁じえない。監督は、有名な、または見たことのある役者の名前を展開しているだけでなく、最も妥当な役を彼らに与えている。

 彼らの存在のみを引き合いに出しているが、ジョディ・フォスター(フランス語で演技する)とマリオン・コティヤール(とても難しい端役を演じる)の驚くべき演技には口をポカンと開けてしまう。しかしまた、この古典は、アンドレ・デュソリエ(Andre Dussollier)やティッキー・オルガド(Ticky Holgado)、ドミニク・ピノン(Domenique Pinon)によって絶妙な解釈が与えられ、非常に演技の幅広いジャン=ポール・ルーヴ(Jean-Paul Rouve)に演じられた郵便配達人によって魅力を増した。

二つの色調とハーフトーンに挟まれた審美観

 ジャン=ピエール・ジュネは、非常に際立つ色彩を多用した映像を好むことや、イエローやセピア調になるフィルターを毎回使用していることが知られているが、今回の新作映画でも彼のスタイルは貫かれている。グレーとイエローの間で、映画は「色褪せない」シーンを提示する。非常に成功していると言える戦争の全てのシークエンスは、一面がグレーの色調で描かれた映像で描写され、戦闘や塹壕のシーンがうまく協調している。しかし、これらの映像と文字通り対比させるために、ジュネ監督は、イエローや栗色の色を他のシーンには用いており、時に過度にさえ映る。映画のほとんどのシーンであるブルターニュ(La Bretagne)には、それらの極彩色よりも美しい自然色があるのではないだろうか?
 ただ塹壕でのシークエンスには、気持ちの準備が必要だろう。彼らは、非常にリアルな描写によって、私たちが見慣れた戦争シーンを大きく変える。爆発や、それに伴う耳をつんざく騒音は、文字通りに劇場を揺さぶる。ジュネ監督は、死体や流血なしで、塹壕の恐怖を映し出すことに成功し、本当に目を向けるのが困難なシーンは幾つかにとどめている。

 意外性もなく、また失望することもない、この「ロングエンゲージメント」は、優れたスペクタル映画である。悲しみを与えることなく、多くの観客を魅了する。しかし、公開前に多くの観客の心をすでに捉えている映画と言えるだろう。
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参考
1. Commeaucinema.com 元記事 Un Long Dimanche De Fiancailles
2. 公式サイト ロング・エンゲージメント
コメント ( 8 ) | Trackback ( 28 )
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コメント
 
 
 
「デリカテッセン」の作っていたのですか (樹衣子)
2005-03-13 12:56:43
はじめまして、読み応えある「ロング・エンゲージメント」のレビューにTBさせていただきました。

私はあの色調を好まないという点でこの監督の中毒患者にはなりませんが、やはり観ておくべき映画ですね。

ブック・マークにありました「音楽に関するエッセイ+α」も興味があるテーマーですので訪問します。
 
 
 
TBありがとうございました。 (ブライス)
2005-03-13 17:03:52
上記のコメントに同じようなものを感じ、納得です!! これからもどうぞ宜しくお願いします。
 
 
 
Unknown (gaiahiro)
2005-03-13 23:07:39
こんばんわ、TBさせていただきました!



確かに脇役の俳優さんのキャラが立ってました。

それと『アメリ』のオドレイが好きな方にはオススメというのも当たっていますね!



それでは、又、失礼します!

 
 
 
はじめまして (ガゼル)
2005-03-14 21:56:53
>樹衣子さん

僕はただ訳しているだけなので恐縮です。

またよろしければお越し下さい。

「音楽に関するエッセイ+α」はとても読み応えのある記事が多いので、是非お勧めします。



>ブライスさん

恐縮です。こちらこそ宜しくお願いします。

また、度々お邪魔します。



>gaiahiroさん

ジュネ監督の映画の俳優は個性派ぞろいで独特の世界観が形成されてますね。そこも魅力の一つだと思います。
 
 
 
good (preston)
2005-03-16 22:05:07
だと思いましたよ。一人で見たらちょっと気分悪くなりかけたけど。
 
 
 
こんばんわ (ガゼル)
2005-03-17 21:57:12
他のレビューを見ると結構残酷なシーンもあったようですね。上のレビューにはそこまで残酷って感じではなかったんですけど。
 
 
 
フランス映画が好き (マダム・クニコ)
2005-04-14 04:43:53
とても参考になりました。

私は、映画を分析するのが趣味なので、

これからもちょくちょくお邪魔して、

参考にさせていただきます。

TBもよろしく。
 
 
 
こんばんわ (ガゼル)
2005-04-14 23:46:02
TBありがとうございます。

映画を分析すると、意外な発見があることが多いですね。僕も以前は、よく脚本を読んで分析してました。
 
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