ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

旅の豆知識「十六夜日記」

2017年07月17日 | 旅の豆知識
 鎌倉時代には、そんなに旅行ができたわけではありませんが、目的に応じて、旅をした記録が残されています。
 当時は、鎌倉幕府へつながる“鎌倉道”というのがいくつかあって、旅人が多く利用するところとなっていました。江戸時代以降に比べると街道や宿場などが十分整備されていたとはいえないところもありますが、街道沿いには、宿泊施設もあり、旅人の助けとなっていたようです。
 その中でも、鎌倉時代の紀行文として、、『東関紀行』、『海道記』、『十六夜日記』が中世三大紀行文として、有名ですので、その内でも最も知られている『十六夜日記』を取り上げてみました。
 この足跡をたどれるところは、とても限られていますが、一部に以前の“鎌倉道”が残されているところもあり、いくつかゆかりの地に『十六夜日記』関係の石碑が建てられていたりもします。
 そんな中世の旅の様子をたどってみるのも面白いかと思います。

〇{阿仏尼}とは?
 阿仏尼(あぶつに)は、鎌倉時代中期の女流歌人です。平度繁(たいらののりしげ)の養女でしたが、安嘉門院(後高倉院皇女)に仕え、安嘉門院四条とも言われていました。
 しかし、若くして失恋の痛手から一時出家したのです。その後、世俗との関わりを断ち切れず、30歳頃に藤原為家の側室となり、京都の嵯峨に住んで、冷泉為相・為守らを産むことになります。
 1275年(建治元)の為家没後、出家して北林禅尼と称します。それから、播磨国細川荘の遺産相続をめぐって為家の嫡子為氏と争うことになり、1279年(弘安2)10月に、幕府に上訴するため鎌倉に下りました。
 鎌倉では、極楽寺の近くの月影の谷に住んでいましたが、1283年(弘安6)頃、60余才で亡くなったとされています。
 訴訟の方は、没後6年目の1289年(正応2)に採決が下り、阿仏尼側の勝利でした。
 阿仏尼には、文学的な才あり、代表作の『十六夜日記』以外に、『夜の鶴』、『仮名諷誦』、『うたたねの記』、『安嘉門院四条百条』等の著作があります。また、歌人としてもすぐれ、いろいろな歌合に出詠し、『続古今集』以下の勅撰集に48首入集しています。
<代表的な歌>
「山川を 苗代水に まかすれば 田の面にうきて 花ぞながるる 」(風雅和歌集)
「色々に ほむけの風を 吹きかへて はるかにつづく 秋の小山田」(玉葉和歌集)


〇『十六夜日記』の旅とは?
  『十六夜日記』は、藤原為家の側室である阿仏尼(あぶつに)によって記された紀行文・日記で、『東関紀行』、『海道記』と共に、中世三大紀行文の一つと言われています。
 旅行記、鎌倉滞在記、鶴岡八幡宮奉納長歌の3部から成っていて、1282年(弘安5)ころ成立したと考えられています。
 為家の没後、実子為相(ためすけ)と為家の嫡子為氏との間に播磨国細川荘をめぐる遺産相続争いが起きました。その訴訟のため、1279年(弘安2)に、阿仏尼が京から鎌倉へ旅立つことになったのです。
 その出立が、10月16日(陰暦)だったところから、「いさよひの日記」と呼ばれるようになったとのことです。特に、紀行文の部分は、実際の旅に基づいて書かれており、中世の旅の様子や街道風景を知る上でとても興味深いもので、足跡をたどることも可能です。また、当時の訴訟の様子を伝える資料としても貴重なものです。

☆1279年(弘安2)の『十六夜日記』の旅の行程

・10月16日 (新暦:11月21日)
 京を出立する
   ↓
 粟田口で車を返す
   ↓
 逢坂の関を越える
   ↓
 守山(現:滋賀県守山市)泊
   ↓
・10月17日 (新暦:11月22日)
 野洲川を渡る
   ↓
 小野(現:滋賀県彦根市)泊
   ↓
・10月18日 (新暦:11月23日)
 醒ヶ井を通る
   ↓
 関の藤川を渡る
   ↓
 不破の関を過ぎる
   ↓
 笠縫(現:岐阜県大垣市)泊
   ↓
・10月19日 (新暦:11月24日)
 雨の振る中、平野を過ぎる
   ↓
 洲俣で浮橋を渡る
   ↓
 尾張国の一宮を過ぎる
   ↓
 下戸(現:愛知県稲沢市)泊
   ↓
・10月20日 (新暦:11月25日)
 熱田の宮に詣でる
   ↓
 鳴海潟で浜千鳥を見る
   ↓
 二村山を越える
   ↓
 八橋(現:愛知県知立市)泊
   ↓
・10月21日 (新暦:11月26日)
 宮地の山の紅葉を見る
   ↓
 渡津(現:愛知県豊川市)泊
   ↓
・10月22日 (新暦:11月27日)
 高師の山を越える
   ↓
 浜名の橋でかもめを見る
   ↓
 引馬(現:静岡県浜松市)泊
   ↓
・10月23日 (新暦:11月28日)
 天中の渡り(天竜川)で船に乗る
   ↓
 見附の国府(現:静岡県磐田市)泊
   ↓
・10月24日 (新暦:11月29日)
 昼に小夜の中山を越える
   ↓
 事任神社の紅葉に感心する
   ↓
 菊川(現:静岡県島田市)泊
   ↓
・10月25日 (新暦:11月30日)
 大井川を渡る
   ↓
 宇津の山を越え、山伏に会う
   ↓
 手越(現:静岡県静岡市)泊
   ↓
・10月26日 (新暦:12月1日)
 藁科川を渡る
   ↓
 興津の浜に出る
   ↓
 清見が関を過ぎる
   ↓
 富士山を見る
   ↓
 波の上(現:静岡県庵原郡?)泊
   ↓
・10月27日 (新暦:12月2日)
 富士川を渡る
   ↓
 田子の浦に出る
   ↓
 三島明神に詣でる
   ↓
 伊豆の国府(現:静岡県三島市)泊
   ↓
・10月28日 (新暦:12月3日)
 箱根路を通る
   ↓
 湯坂を下る
   ↓
 早川を見る
   ↓
 海岸に出て、伊豆大島を見る
   ↓
 鞠子川を渡る
   ↓
 酒匂(現:神奈川県小田原市)泊
   ↓
・10月29日 (新暦:12月4日)
 海岸線を歩いて行く
   ↓
 鎌倉に到着する

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