合気道ひとりごと

合気道に関するあれこれを勝手に書き連ねています。
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316≫ 受けのあり方-3

2017-03-31 18:25:06 | 日記
 ここまで述べてきておりますように『受け』は単なる投げられ役ではなく、取りの技量を伸ばしてやるという重要な役割を担っています。それでは具体的にどうするか、簡単に言えば倒れたり投げられたりする条件が整わなければそのことを取りに告げてやる、それだけのことです。

 たとえば四方投げにおいて、受けが崩れていないのに取りが勝手に回ることがままあります。そのとき、受けが取りの背中をポンとたたいてあげるのも一法です。だいたい、体術において背中をたたかれるというのは死命を制せられたと同じことです。取りはそこを理解しなければなりません。

 また、一教では、これは上段の崩しですから、それがないままに腕をおさえようとしても受けは前後左右のいずれにも動けます。これでは技になりません。多くの場合、取りは前に歩を進めることでカバーしようとしますが、崩しが効いていませんから、なんか犬の散歩みたいに二人で数歩進んでしまうというようなことを見受けます。もし崩しが効いていないのにうまく型におさまっている場合は、慣れによる予調和でしかありません(実はこれが最も多い)。どうせ予定調和なら、受けは本来制せられるべき位置に取りを導いてやればよいのです。

 入り身投げにおいて受けのあり方で一番よくないのは派手に倒れたり振り回された風を装うことです。そもそも人ひとりを投げたり倒したりということは本当に難儀なことなのです。それを無視して見た目だけきれいにまとめようというのは稽古のもともとの趣旨に反します。入り身投げは相手に触れた瞬間(正確には触れた一瞬あと)に斜め前か後の下方または上方に崩れなければなりません。受けはそれを感じられるかどうかを自身で味わって、それを取りに伝えられる動きをすることが肝要です。

 以上のいずれも、受けが正しい動きとその意味を知っていなければできないことは言うまでもありません。それが武道としての価値があるかどうかの分岐点です。

 普段の稽古で、受けは取りの練習に付き合ってやっているという意識がないでしょうか。かく言うわたしもそのような意識は無かったとは言いきれません。しかしよくよく考えてみると、稽古においては取りも受けも同等に主人公です。技法を磨くのは取り、感性を磨くのは受け、と考えてよいでしょう。それぞれ求めるものが違う、このことも合気道に試合がない理由の一つかもしれません。
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8 コメント

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Unknown (N)
2017-04-04 20:34:27
いつも興味深く拝読させて頂いております。
合気道の稽古における「取り(捕り)」と「受け」については
私にとりまして尚考えさせられる事項です。
「型」だからと一言で片づけられる方もおられます。
お伺いしたいのは2,3,4段のほぼ実力の拮抗した相手同士の稽古の場合どうしたらいいのでしょうか。
出稽古に赴いた際、その時は5段の方でしたが
うしろ両手取りの稽古をしました。私は腕を持ち上げられないように渾身の力と重心の置きで取ったのですが
結局力比べ状態になり、いつかaga師範の言われていた「雑巾ダンサー」状態になりました。
その5段がおっしゃるのです。
「これじゃあただの力比べなので止めましょう。合気道じゃなくなるから」
私は納得がいかないのです。
力比べにしてるのはあくまで取りの技量が足りないからではないか、
当時私は2段で、ようやく合気道の入り口に立った程度のペーペーでしたが納得いきませんでした。
私の師匠は「型」から「形」へ「形」から「方」へ、と言われました。
まだ「型」「形」の途中ですが、実力の拮抗した
相手同士での稽古のあり様を模索しております。
頑張ると嫌われるか嫌な顔をされる方が多いというのが私の実感です。
もちろんどう取ろうと構わないという方もおられますが。
私が受け(身)を取るのは「殺された(打たれた)」と自覚させられた時、または完全に間を奪われた時、になるのでしょうか。
殺された自覚を持ちつつも呼吸力の養成の為頑張る事もありますが。
いつも長々と申し訳ありません。
稽古の目的 (aga(管理人))
2017-04-05 16:31:19
N様、こんにちは。

実力の拮抗した者どうしの稽古は技量向上に効果的なものです(合気道における実力とはどういうものかは機会を改めて)。ただ、稽古に何を求めるかによって大きく方向性が変わります。特に出稽古などで、考え方の異なる人との場合はかなりチグハグなものになるのではないでしょうか。技に意味を見出すか、技の過程に見出すか、といったことです。

後ろ両手取りを例に出されましたが、これは闘争においては本来あり得ないかたちです。後ろから両手をつかまれた時点で負け確定だからです。ですからこれは、後ろ両手取りという特異な状況をあえて設定し、それでしか鍛錬できない体遣いを工夫しようとするものでしょう。

とすると、5段の人はなんとかして危機的というべき状況を脱する工夫が求められるわけで、その工夫こそが稽古の目的だとわたくしは思います。そのために自分より段位の低い人に効果の確認や協力を求めるのは恥ずかしいことではありません。それこそが受けの役割だといってよいでしょう。

結論を言えばN様の認識は正しいということです。

わたくしの得意とする(と勝手に思っている)天地投げはそもそも、体格がよくて力のある若手会員にガッチリ両腕をつかまれ容易に身動きできない状態をなんとかしようというところから始まりました。それを通じていろんなことがわかりました。稽古とはそういうものではないでしょうか。

しかし、上位者の受けをとって『あなたとは認識が違う』とは、なかなか言えませんよね。
Unknown (N)
2017-04-05 19:44:45
ご返答ありがとうございます。
いつかaga師範がおっしゃっていた「後ろ両手取りの稽古は極めて鍛錬色の濃い稽古」という言をお聞きして
まさしくその通りだと思いました。
aga師範のこのブログで沢山の事を学ばせて頂きまして
誠に有難く思います。
しかし長くこの世界にいると(aga師範の半分にも満たないですが)前述の5段の方の様に
「受けを取ってあげないといけない」と言うそこそこの高段者がちらほらおられて
なんというか幻滅にも近い思いを抱かされます。
それを技を掛けられない人が発言されるものですので、
何故そうなるのかが常々不思議です。
そういう人はそれでいい、と割り切りもあるのですが。
少なくとも高段者が下位の者を相手に指導とは言えない状況下に於いて苦し紛れのように言い放つ言葉ではないと思っております。
もしかしたら私はaga師範の様な尊敬(勝手に申し訳ありません)できる方に「それでいい」と言って頂きたいだけなのかもしれません。
そんな小人です。
それでもやはり感動のある合気道を目指したいと思っております。
有難うございました。
Unknown (aga(管理人))
2017-04-06 16:57:52
合気道に入門される方は、実にいろいろな目的をもってやってきます。健康法だとか格闘法、精神修養法その他いずれもが間違いではありません。そこが合気道のキャパシティといいますか間口の広さでしょう。

ただ、そのような様々な価値観が混交する環境で独自の目標を追求するのは、技法の展開であれ対人関係であれ、なかなか苦労の多いものです。でもその苦労は形を変えて必ず実りをもたらします。

その場合大切なのは、考え続けることです。合気道は考える武道です。そうすることによって、広かった間口がすっとしぼまって真理に近づきます。それを楽しみに頑張ってください。

Unknown (N)
2017-04-18 23:05:53
ttps://www.youtube.com/channel/UCYRh5REY6S0_UUNsoWsck4A

黒岩師範の動画があがっております。
ご報告まで。
Unknown (aga(管理人))
2017-04-19 11:28:25
お示しの動画が見つかりません。あらためてお知らせください。ありがとうございました。
Unknown (N)
2017-04-19 23:10:12
上記URLの頭にhを付けて下さい。
もしくはユーチューブホームページにて
「黒岩先生」と検索して下さっても大丈夫です。
7~8番目に検索されました。
「詠人 不知」という方がUPしておられます。
演武と講習会の二本です。
Unknown (aga(管理人))
2017-04-20 16:23:42
見つかりました。ありがとうございます。
早速これに関連づけてブログを更新しようと思います。

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