松原商店街シューズショップカメヤブログ

横浜市保土ヶ谷区にある靴屋です。激安スニーカーからオシャレな婦人靴、社交ダンスシューズなど新作も続々入荷中です。

ひとくち靴用語辞典《は》~《ほ》

2006年05月07日 00時51分03秒 | ひとくち靴用語辞典《は》~《ほ》

《ハイド》
原皮の種類を大別する時の呼称。牛や馬など大きな動物の、重さが25ポンド以上ある皮のこと。これ以下の重さの皮を「スキン」と分類する。

《鳩目》
紐靴の穴に取り付けられる、紐穴の大きさに穴の開いた環状の部品のこと。金属やプラスチックで出来ている。外側から見える表鳩目、目立たないように取り付けられる隠し鳩目などがある。靴紐を通す時に滑って通し易くする機能があるが、デザイン上のアクセントとしても使用される。

《幅出し 》
製品を履いていて靴幅にキツイ部分があるときに、幅伸ばしの機能を持つシューキーパーに入れて適当な幅に広げること。キーパーを持っていれば自分でもできるが、木型や伸ばす位置が靴と合わないと靴の型が大きく崩れるので注意が必要。

《パラレル》
靴紐の結び方の一つ。トラッドなスニーカーやウォーキングシューズなどで多くつかわれる。フォーマルシューズに使われる「シングル」という紐穴に水平に通していく結び方に見た目が似ているが、内側で紐をクロスさせて通しているのでシングルに比べてしっかり締めることができる。


《バルモラル》
「ブラッチャー」と並んで称される紳士用革靴の代表的デザイン。紐留めの靴の爪先革が腰革(サイド部分)まで一体になって覆っているデザインの靴。前から見ると紐の部分が甲上部に向かってV字型に開いている。名前の由来はスコットランドにある実在の城の名前。日本語で「内羽根式」と呼ばれている。

《パン》
厚底靴の前足部の「厚み」またはその部材を指す時の呼び名。中底と本底の間におもに硬い発泡素材やFRP,木などを挟んで造る。「ストーム」とも呼ばれる。厚みが大体2cm以上ある厚底を「厚パン」と呼ぶ。「この靴は4cmの厚パン入っているから足がかなり長く見える」などという言い方で使う。

《半敷》
中敷(インソール)の種類の一つで、大きさが文字通り半分の長さしか無いもの。踵後端から土踏まずくらいまでの長さしか無い。主にブーツや紳士用ビジネスシューズに使用される。

《半張り 》
本底のパーツで、ウエスト部(ヒール部の前端)から爪先までが一枚のソール部品になっている物。半底。本底を補強するための中底パーツのことも指す。また底を修理する時にこの部分を張り替える作業そのものに対しても「半張り」という言い方をする。

《パンプス》
婦人靴のスタイルの一種で、トップライン(上端の縁周り)が踝より上にならない浅めのもの。細かく言うとアッパー素材が「インステップ」という甲の真ん中辺りの場所より上までかぶらないデザインの靴。着脱時に紐や留め金などを用いずにスリップオン式に履く物を指すが、甲部や足首などのアクセサリー的なストラップ、金具などが付いている場合はこの範囲に含めるのが一般的。ダンス用に用いられたのが起源とされる。

《ピッグスキン》
豚皮を鞣(なめ)して製品化した革で、靴の様々な部分に使用される。
一般的に「ピッグスキン」は銀面のある表革のこをと指し、裏側を指す場合は「ピッグスエード」と分けて呼ぶ。表面に数ミリおきに3つ連続した毛穴の痕が革一面にあるのが特徴。革の厚みが薄く加工されていることが多いが、革の中でも意外と丈夫である。靴の甲部だけではなく内張りや踵の芯材などにも多く採用されている。

《ヒールカーブ》
靴の踵を横から見たときの上端(トップライン)とソール接合部とを結んだ曲線の曲がり具合。木型(靴を製造する時の靴型)のカーブもそう呼ぶ。歩き心地に直接拘ってくる重要な部分。爪先などのデザインが木型により様々な形を持っているのに比べて、ヒールのカーブ具合はさほど差は無い。大体平均的な日本人の踵に合う様に設計されているようだ。安価な靴だとこのカーブが緩く、ホールド性に欠けるものが多い。

《ヒール高さ》
意外と間違えがちだが、靴のヒールの高さを表す時の測り方は、ヒールパーツ後端と踵部の接合面から地面までを垂直に測った距離。ただそれだと実際に使用する際に中敷や中底の厚みを含めていないので「履いた高さ」とは違いが出るのだが、一般的にはヒールの高さをもって「その靴を履くと~cm高くなる」と表すことがほとんど。ただし、いわゆるシークレットシューズなどでは中敷の表面までの高さを記すこともある。

《ヒールネイル》
ヒールの付いた靴の踵パーツ本体を固定するためのネジクギのこと。ソールにヒールパーツを接着するだけでは歩行時の衝撃には当然耐えられないので、ほとんどの靴はこのクギで留められている。たまにウエッジヒールなどの靴でクギが使われていないものもある。

《ヒールピッチ》
靴を真横から見たときに、踵部のパーツの最前部とソールがぶつかった場所におけるソールの、地面に対する傾斜角のこと。パンプスなどヒールが付いた靴のソールの傾斜角度はボール(親指の根元部分)から踵まで一定ではなく、場所によって異なる。ヒールピッチが緩すぎても急すぎても履き心地、長時間使用時の疲労がかなり違ってくる。


《ふいご》
天然皮革はその素材の特性上、通気性の良さが前面に謳われている。それに比べ、ビニールのような人工皮革は通気性の悪い素材が多い。最近は化学メーカーから空気や湿気を通す素材が研究されているが、それだけで通気性の良し悪しを判断できない面もある。人工皮革は伸縮率の高い素材が多く、履いた時に足の凹凸に沿って伸びるので、それが元になって歩行時に足の動きに応じて靴が伸びたり縮んだりする。すると袋状の構造を持つ靴が「ふいご」のように靴内の空気を出し入れする現象が起きる。それにより天然皮革に劣る通気性をカバーする機能を持たせる事が出来る。

《VP》
靴の底を形成する方法の一つで、ヒール部を含めた単一部品として造られたソールパーツをアッパーの底に直接焼き付けて接着する。底材は主に合成ゴムでできている。この方法で製造される靴の代表的なものが安全靴である。高い耐久性と耐圧性などが求められる靴に適した製法と言える。

《ぶっつけ》
ヒールパーツの形状の一種で、ピンヒールのように上に向かうほどヒールパーツが広がっていき接合面が底部のカーブに自然につながるよう曲線でデザインされたものではなく、柱状のヒールパーツがそのまま底部に打ち付けられたようなタイプのデザイン。ぶっつけヒールなどと呼ぶ。ハイヒールの靴を参照するのが一般的で、ローヒールの靴のパーツに対してはあまり使われない

《フットベッド》
直訳すると「足の寝床」、つまり足の裏が接するインソール部分のことである。中敷というと単なる合皮1枚でできた「底敷き」やよくスニーカーやウォーキングシューズに入っているインソールなどを指すが、フットベッドという場合にはもっと高機能で足の凹凸や骨の形状などをエルゴノミクスの観点に基づき設計された、中底を含めたインソールシステムのことを呼ぶ。ただ柔らかく足触りが気持ちよい、というよりも歩きやすさ、正しい歩行の補助などに重点を置かれて開発された物。

《ブラッチャー》
紳士用革紐靴のデザインの一種で、爪先部の革に甲紐留め辺りの位置から腰革(靴のサイド部分のパーツ)が乗っかっているスタイル。靴を正面から見ると紐留め部を中心に腰革が羽を広げたように見えることから「外羽根」とも言う。
非常にクラシックなデザインで、プロシア(昔のドイツの一部)の将軍が考案した軍靴がもとになっているらしい。コレに限らず、靴は軍隊用途とともに発展してきた物が多い。

《袋》
靴の製甲方法のひとつで、表革(アッパー)とその裏張りを縁で一旦縫い合わせて、縫い目のところで折り返す。すると外から見たときに縫い目が見えなくなる仕上げになる。「袋縫い」といわれる製法を縮めて呼んだもの。

《プラ型》
靴を製造する時に基となる木型のことだが、もともとこの木型に使われる木材が希少であるため木型そのものを製造することが困難であり、代用品としてプラスチックが使用されている。プラスチック製なので「プラ型」。他にもアルミなどでできた「金型」もある。

《ブラシ》
靴の製造、手入れにブラシは必需品である。用途により様々なタイプのブラシを用いる。誰でもよく使う、靴のほこりを取る豚毛のブラシが身近だが、この他にも毛並みが回転して革の光沢を出すための仕上げ用、接着時に接着剤を塗布するために使うもの、その時に余分な接着材を除去する専用のブラシ、接着材が浸透しやすいように革の表面を起毛させるブラシなど靴とブラシは切っても切れない間柄である。


《フラット》
ソール形状の種類を指す言葉で、踵部に独立したパーツが無い、1枚の底材でできているヒールレスのソールデザイン。「フラットソール」を略して言う呼び方。横から見たときに踵部分だけのパーツが無いために1枚の板状になることから呼ばれる。ただ全く水平で踵の高さが0cmと言うわけではなく1~2cm程度のヒール差がある場合がほとんど。

《フラットヒール》
パンプスなどのヒール高さの分類で、主に2cm未満の高さの靴を指す。このくらいの高さだとソールパーツが爪先から踵まで一体で平らかウエッジヒールになっている物がほとんどだが、ヒールパーツが独立した形状のデザインも含まれることがある。


《プラットフォーム 》
アッパーと本底の間のミッドソールを(大体)均一の厚みにして爪先から踵まで中物を入れ、それを袋状に包み込んで他のパーツと縫い合わせたもの。カリフォルニア製法で用いられることから「カリフォルニアプラット」と一般的に呼ばれる。中物はコルクやスポンジ系などのクッション材が使われ、製法の特徴と相まって大変柔らかい履き心地になる。主にコンフォート性を重視したビジネスシューズやウォーキングシューズに良く用いられる。中物が靴の厚みをを1段高くさせることが駅のプラットフォームのようなので「プラットフォーム」と呼ばれる。

《ブル》
牛革の一種で虚勢されていない牡の成牛の皮を鞣した物。ブルハイドと呼ぶ。牛革の中では一番キメが粗く厚みがあるので、靴では主に底革などに使用する。

《プレーントゥ》
爪先部の甲革に切り替え、飾り革、ミシン縫いなど装飾が一切無いデザインのこと。また、爪先部が特殊な形状の木型になっていない、自然なシルエットデザインの靴を指す言葉。爪先が四角い「スクウェア」や尖っている「ポインテッド」などと分けて呼ばれる。縮めて「プレーン」と呼ぶことが多い。

《ペッカリー 》
主にアメリカ大陸で生産されるイノシシの一種の革。繊維が非常に丈夫かつ柔軟でエレガントな高級靴のアッパーに使用される。ピッグスキンと同じように革の表面に三点の小穴があいている。


 《ヘップ》
ヘップサンダル。いわゆる、つっかけサンダルのこと。ミュールと同じようなものだが、お洒落サンダルとしての意味合いが強いミュールに対して実用的なものに使われる事が多い。ミュールという言葉が定着する以前にバックベルトなしのヒールサンダル全般に対して使われていた呼び方。語源は、女優のオードリー・ヘップバーンである。

《ベリー》
皮の取れる部位の名称で、主に腹回りの部分を指す。伸びやすい部分のため、繊維が粗い。そのためメインに使われる事は少ない、端の部位になる。

《ベロ》
主に紐靴や甲ベルトの靴に取り付けられている部品で、甲の紐の位置やベルトの下に、甲革に縫い付けられている(革)パーツを指す。英語でtoungue、日本語で舌革といい、ベロは俗称。紐や甲ベルトの足当たりの不快感を和らげるためのパッド。

《ベロア》
革の裏側の面の繊維質を「バフィング」という作業により細かく分離させ毛羽立たせた仕上げのこと。スエード素材と同じような革になるがスエードが比較的表面の毛足が短くなめらかに整っているのに対し、ベロアは毛足が長めで毛並みもばらつかせている。ゴルフコースのフェアウェイとラフ、というと解りやすいか。洋服の生地でもベロアという仕上げがあるが、この場合はどちらかというとスエードに近い風合いの素材感である。

《ペンシルトゥ》
爪先のデザインの一種で、上から見たときのシルエットが削った鉛筆のように尖っているタイプを指す。ポインテッドトゥとの違いは、爪先にいたるまでの部分が自然な丸みを帯びているのがポインテッドトゥ、直線的に爪先まで尖っていくのがペンシルトゥ。

《ポインテッド・トウ》
木型の爪先の形状を現す言葉で、爪先の先端が尖っているデザインの靴のこと。ポイントというくらいに極端に細く尖っている。主にエレガントなパンプスやブーツで見かけるが、カジュアルな靴にも使われている。 

《包丁》
革を裁断する時に使用する道具。包丁と言ってもノミのように縦に刃が付いていて、刃を下に向けて縦に握って使う。他の道具同様熟練を要する。プロの靴職人はコンマ数ミリを1本の包丁で切り分けることが出来る。また革だけではなく靴の設計図である紙型を製作する時も包丁で裁断する。

《ボール》
あしの第1中足骨の先端と第5中足骨の先端の部分を指す言葉、早い話が、足の裏を見たときに一番幅が広くなっている部分のこと。靴を設計する際、この2点を結んだ距離を基にして幅の広さを考えていく。履き心地、デザインなど靴の設計の根幹的な部分。

《本底》
靴が地面に直接触れる部分のパーツ、ユニットのこと。一般的に「ソール」と言われる外から見える部品。クッション材などが入れられる中底パーツと区別する時の呼び名。