家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「経済設計」とは何か--欠陥マンション問題で考えた

2005年11月27日 | 家について思ったことなど
例の欠陥マンション問題で、問題の本質にあるのは「経済設計」ということではないのだろうか。
「経済設計」、要するに施工コストが抑えられる設計ということ。構造計算業務をする設計事務所の関係者(姉歯ではない)が、経済設計ができないと仕事が回ってこないとのことをインタビューで答えていた。
施工業者は「鉄筋を減らせ、などとは言ってない」というが、できうるかぎりの経済設計にすることは要求していたであろう。
経済設計といっても、基準を満たすことが大原則ではあるが、コストを抑えよという指示が行き過ぎれば、基準をないがしろにする業者が出てくるリスクは当然高まる。今回の事件はそんな流れの中で発生したように見える。

これは住宅の供給側の問題だけではないと思う。購入者側が価格と表面的な見かけだけしかみないのであれば、見えない部分のコストを抑える方向に業界の一部が動くことは容易に想像できる。
構造を気にしないで住宅を購入するとこんな事件の被害者になることもありうると思う。
「安いものには安いなりのワケがある」というのは真実だ。その「ワケ」が肝心カナメの部分の手抜きであってはならない。「なぜ安いのか」はちゃんとチェックしておきたい。

我が家の設計者は構造にこだわりを持っていた。私はそこが気に入った。
家づくりに関するネガティブ情報を集めているとき、建築家の「作品」を批判する人々なかに「デザインはかっこよくても構造に不安がある」という意見が多々あった。
それが、建築家全般に対するリスクのように語られていることに反発を持つ一方、建築バカとも言える建築家という職種に、構造オタクのような人物だって少なからずいるはず、と思った。それで、「構造に対するこだわり」を建築家選びのポイントの一つとして意識した。そして、家についての要望のなかに「地震に強い家」という項目をちゃんと記した。

構造は耐震性だけを考えればいいというものではない。間取りの自在性、断熱・気密のとりやすさ、換気のしやすさ、防音・・・。
構法はいろいろあるがそれぞれ得手・不得手があって、どの構法を選択するかは各施主で決めるべきことである。ただ不得手分野といっても、やりようによってはそれを得意とする構法以上の性能を得る対処法だってあるのだ。

我が家は近頃でいう「経済設計」とはとてもいえない。木材の量は多いし、材は大工による手刻みだし、基礎にはお金をかけることになってしまったし、工期は延びたし・・・。
しかし、長く持たせることによって「経済設計」にはなる、と思っている。だから欠陥につながりかねない設計を「経済設計」という、実態がわかりにくい表現にしていることは問題だと考えている。

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