GAOの隠れ処「ムンダナ」

都内のアマチュアオーケストラでVnとVaを弾いているGAOの、音楽を中心とした関心事についてのあれこれ

葛飾フィルのホール練習 〜第41回定期演奏会に向けて〜

2011-06-02 23:52:03 | 葛飾フィルハーモニー管弦楽団
葛飾フィルの第41回定期演奏会まで残すところ3日となった今日(6/2)、
本番の演奏会場となる“かつしかシンフォニーヒルズ”のモーツァルトホールに
指揮の田中祐子先生をお迎えして、仕上げ段階となるホール練習を行った。

先週の練習で、ストバイとチェロが執拗なくらいのプルト弾きでかなりしごかれたせいか、
タクトダウン前に集まってくる楽団員の表情は、弦楽器メンバーを中心に緊張気味である。
私自身、昨晩遅くに副団長氏から新小岩駅前の居酒屋に呼びつけられ、弦楽セクションで
今回最も出来の悪いヴィオラパートについて散々にこき下ろされなじられていたので、
今日の練習で度々注意されて気まずい雰囲気だけがホールを支配したりしないだろうかと
やや弱気な自分と、いやいや最後まで諦めずに集中してやりきるゾという強気の自分とが
混在する複雑な気分であった。

先週、練習後の連絡会で楽団員を前に「練習してきたことは本番の演奏でウソをつかない。
プロコの5番は我々にはかなり背伸びした選曲だったかもしれないが、本番までの10日間、
更に練習を積み上げて、最後まであきらめずに演奏会に臨みましょう!」と呼びかけ、
「第41回定期演奏会のキーワードは“あきらめない”です!」と大見得を張ってしまった。
ために、毎日、女房子供達が寝ている間に早朝練習と丑三つ練習を欠かさなかった。
仕事帰りが午前様の自分にとっては、これはかなりシビアな日課となったが自信もできた。
…それでもキチンと弾けないところは多々ある…


さて、指揮台にあがった田中先生の表情も真剣である。
先週、かなり我慢しながら、けれども最後まで真摯にご指導くださった田中先生の姿勢も
“あきらめない”ことを貫いていて、私には我々への信頼のようなものすら感じられた。
今日も、緊張と集中力とで我慢の練習を積み上げていこう!

練習の順番は、演奏会プログラムの順で「禿山の一夜」から。
小学校の音楽の授業で「音楽鑑賞」と称して古今東西の名曲を聴かされる時間があったが、
初めて耳にしたその時以来、なんだか俗っぽくて安っこいイメージがついて離れなかった。
今回、この曲がプログラムで取り上げられることになった当初、嫌〜な感じだったのだが、
練習を重ねるにつれ、かなり面白くて刺激的に感じるようになった。
これは誤った考えなんだろうと思うが、私はスプラッター映画を観る感覚で演奏する。
田中先生がそれをご示唆されたわけではないが、魑魅魍魎とした悪魔や妖怪のイメージや、
その凄まじさのようなものについて語る田中先生の表情からは、私の場合どういうわけか、
スプラッター映画における強烈な映像のイメージが、よりリアルな恐怖として迫ってくる。
この半年間、そんな感覚が増幅してくることで、この曲がとても新鮮なものに変身した。
フォルテはより巨大で大胆に、ピアノはより透明で繊細に、テンポしっかり締めていって、
というように、今から思えばそれほど特別なご指導をいただいたわけではないのだろうが、
そのことが、この曲を退屈なものと思い込んでいた私の意識を大変革させたのである。
わからないものをわからせてくれた!田中先生にはホントに感謝である。
つまりは、葛飾フィルの演奏も面白いものになってきたってこと。


ホールに入ったことで、音の遠近感や響きの拡がりに戸惑ったり、楽器間やパート内で
演奏するタイミングに時間差が生じてきたりと、お約束の様々な乱れが生じる。
先ずそういた状況に留意しながら耳を慣らしバランスを整えていくことが必要となる。
我々が自ら演奏を変えていき、田中先生からの細やかなサインに応えてさらに変わる。
その都度、オケの色、響きの質感、音の奥行きが目まぐるしく変化し、バランスも変わる。
これがホール練習の醍醐味である。
「ホールに入ると細かいところもよ〜くわかってしまいますね。誤魔化せませんよ!」
これまでなんとなく誤魔化したりうやむやにしてきたところが、ここにきて逃げることの
できない現実として我々の前に立ちはだかるのである。田中先生の指摘も容赦ない。
響きが変わるとテンポも変わる。
「お客さんが入るとどうなるかわかりませんが、その時の響きでテンポやバランスを
考えて演奏したいですね。予め決め打ちしないので指揮からは目が離せませんよ!」
ニコリと微笑みながらも目が笑っていない。
今日に限らず、とにかく「指揮をみて!」と耳にタコができるくらいに注意されている。
生きた音楽をやりたいなら当たり前のことだ。
しかし、現実にはそれがなかなかできないのが多くのアマチュアオーケストラの実情。
だからといって簡単にあきらめないのが田中先生であり、そんな田中先生の真摯な姿勢に、
我々もいつのまにか応えようとしている。
100点満点は取れないし失敗も多いが、前向きな楽団員が増えてきた。
いい感じだ。


「仮面舞踏会」は、5つの曲のうち前半3曲を3月の「第4回よくわかるオーケストラ」で
公募した小学生から高校生までの若いメンバーと共に演奏していたということもあって、
比較的に楽団員のノリもよく、田中先生の棒にもよくついて行くことができていたようだ。
勿論、オケの側が妙な先入観と慣れでよく指揮も見ずに“演奏してしまった”りすると、
そのタクトが止まって、情け容赦ない指摘と「指揮をみてみて!」と連発されるのである。
この曲も、あまり考えもなしに何となく弾いてしまうと、ダラダラした演奏でつまらなく、
聴いているほうも弾いているほうも退屈になってしまう曲だ。
「今回の演奏会では、葛飾フィルがこんなに若々しく元気で新鮮な演奏をするのか?と、
お客様に驚いてもらえるような演奏を目指したいし、皆さんにはそれができるはずです。」
と田中先生はキッパリとおっしゃる。
おもしろいもので、こんな一言の後はオケが変わってしまうのである。
葛飾フィルの平均年齢は、明らかに田中先生のそれより上である。それも相当に。
上述のような科白のあとに「私ってめっちゃ失礼なこと言ってますよね…」と微笑む。
ええ歳こいたオッサン達が鼻の下伸ばして若い美女にノセられて手玉に取られて…。
でも、それで互いにハッピー、ハッピー!演奏がよけりゃお客もハッピー!
そんな構図が、しかし、これでファンタジックな演奏へと変貌していくのである。
これもまた一興である。


休憩後は問題のプロコの5番である。
最初から楽章ごとに通して演奏しては返してポイントとなる部分を練習していく。
で、1楽章を通した後、他の楽団員がどう感じたか知らないが自分は嬉しくなっていた。
先ず、このホールの広さが、ようやくこの曲の身の丈に合った服を得たという感じ。
そして、今の演奏が思いがけず安定していて、しかも集中力を維持できていたこと。
勿論、細かいことを挙げればキリがないことぐらいは誰もがわかっていることだが、
この曲をここまで本格的に演奏できるなんて!というのが正直な感想でビックリした。
案の定、田中先生もそういう顔をしていて正直に褒めてくださった。
ただし、「ここであまり褒めちゃうと、油断して本番まで緊張が続かないかも…。
いいですか、今の感じを忘れず、とにかくこの緊張感を本番まで維持してください。」
と、逆に手綱を引き締めなければならなかった。
褒めるとすぐに甘えてしまうこのオケの体質を十二分に掌握されているようである。

2楽章と4楽章は、先週よりもテンポが速くなったようである。
というか、先週はややゆったり目でしっかり弾く練習を目指したのであった…。
当然のことながら演奏上の粗はいくらでもあったが、音楽の流れとか大きな風景は見えて、
未完成ながらオーケストラが有機的に演奏していることが実感できるものであった。
ということを感じられたのは、若干ではあるが、自分にも音楽の全体像を把握しながら
演奏するようなゆとりが生まれてきたのかもしれない。
ヴィオラの問題の個所は、特に何の指摘もされなかったが、音程もリズムもニュアンスも
バラバラだったものが回を重ねるごとに徐々に良くなってきている感じはしているので、
本番までの3日間でもっとよくなってくるだろうという、その点に期待しているのだろう。
チェロもいくつかつかまったところがあるが、目を見張るくらいによくなっている。
4楽章の序奏部後半の難しいパートソロは、返し練習の時には田中先生からも褒められ
「それが、やり直してできるのではなく、最初の通しの時にできればいいのです。」と
チクリと指摘されたが、その気持ちはチェロのメンバーと同化してやや悔しそうだった。

葛飾フィルには、この“やり直してできるのではなく、最初に通した時にできる”ことが
これからの大きな課題である。
この課題は、今に始まったことではなく、ずっと以前から色々な指揮者やトレーナーから
指摘され続けてきたことであるが、演奏するときの心構え一つで随分改善されるだろうし、
集中力を持続することで習慣化できることなのではないかと、私なりに考えている。
田中先生との練習を通じては「できることは、ちゃんとやりましょう。」と何度も指摘され、
「言われてできるなら、最初からやって欲しい。」というようなことまで言わせてしまった。
これは、オーケストラの側が何も考えていないか、単に注意が足りないということである。
つまりは、オーケストラのモラルなんだろうな…と思う。
田中先生との練習は、そんな葛飾フィルの姿勢について考えさせられてしまうことが、
露骨な形で我々に提示される場でもあった。
葛飾フィルの運営責任者の立場にある団長としては、かなり辛いものがあったな…。

と、そんなことも思いながら、今日の練習での演奏を考えたとき、一時はどうなることか
不安だったものの、良い演奏会になりそうだという希望の光が差してきた感じがする。
あとは、田中先生から口を酸っぱくして、何度も何度も言われたように、
「とにかく気持ちを緩めずにこの緊張感を維持して欲しい。」ということに尽きる。

今日の練習はホールでの練習ということでオケの響きの変化の過程を楽しみつつ、
はたまた、思いのほかプロコの5番が仕上がってきていることを実感できた。
まだまだ、やるべきことは沢山あって、本番までにはどうしてもフォローしきれない
こともそれなりにありそうだが、でも、相当のことはやり遂げそうである。
まだまだ諦めず気を抜かずに、その上で演奏を楽しめるように努力を続けるのみ。
今日はいいホール練習だった。


それにしても、プロコの5番。
本当に難しい曲で弾けないところが沢山あるけれど、演奏していてとても楽しい。
田中先生をお迎えした最初の練習の時、この曲は練習すれば練習するほどハマっていく
に違いないというところでお互い意見が一致して盛り上がったのだが、本当にそうだ。
ここにきて、この曲との付き合いもあと3日間だと思うと寂しい感じすらする。
ならばなおのこと思い残すことのないような演奏会にしたい。



今日、6月2日。
葛飾フィル第41回定期演奏会まで、
なんと、あと3日…





■ 葛飾フィルハーモニー管弦楽団 第41回定期演奏会 ■
  日時:2011年6月5日(日) 14:00開演(13:30開場)
  場所:かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
  指揮:田中 祐子
  曲目:ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」
      ハチャトゥリアン/組曲「仮面舞踏会」
      プロコフィエフ/交響曲第5番
  料金:前売1,000円(全席指定、当日1,500円)
      ★チケット好評発売中★
      かつしかシンフォニーヒルズ・チケットセンター 03-5670-2233
      かめありリリオホール・チケットセンター 03-5680-3333
      葛飾区文化施設指定管理者HP http://www.k-mil.gr.jp/
  HP:http://www7.big.or.jp/~katuphil/




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定期演奏会 あきらめない かつしかシンフォニーヒルズ スプラッター映画 仮面舞踏会 モーツァルト ハチャトゥリアン プロコフィエフ 指定管理者 はげ山の一夜
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