Gohyaガンコ戦略研究所 ~Transition from Hard-line to Pliant Wisdom~

2010年秋、日本を衰退から救う道を考える事を目的に開設

憲法改正の施行目標年宣言(2)

2017年05月06日 09時19分20秒 | 安全保障
 現行憲法はそういう発想の「マッカーサー原案」が骨格になっているが、この9条には、日本人の発案で、
二か所に語句が付け加えられたそうだ。

現行の日本国憲法の第9条を以下に示す。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は
 武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
 注)下線部分は「マッカーサー原案」になく、日本人の手で付け加えられた語句

この点に関する解説は駒沢大学名誉教授の西修先生が書かれた以下のサイトをご覧ください!
語句の追加の理由について、提案者の芦田氏本人の憲法調査会での証言が書いてある。
なお、西先生は追加の2項目とも芦田修正とされているが、先日のNHKスペシャルでは、第一項は別人だと
いう事が判明したと言っていた。
  参照>産経ニュース、2013.11.9【中高生のための国民の憲法講座】
     第19講  憲法9条 芦田修正が行われた理由 西修先生(駒沢大学名誉教授)
     http://www.sankei.com/life/news/131109/lif1311090026-n1.html



 何故、二項目の追加がなされたのか?
それは、日本軍の行動は何でも駄目だ、と言うのではなく、少しでも自衛と侵略の区別はつけよう(!)
という意図が当時の政治家にはあったからだろう。

(追加その一)「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し
(追加その二)「前項の目的を達するため」・・・いわゆる芦田修正(憲法小委員会の委員長の芦田均氏の提案)
これによって、「放棄」、あるいは、「禁止」事項に制限が加えられたのだが、その点の議論があまりなされて
いない。いや、歴代政府はこれを忘れているかのようだ。
国民的議論を展開するには、まず、この点をしっかり把握する事が必要だ。

 (その一)は「正義と秩序を基調とする国際平和」を希求し、それが維持されている状況では、
以下の事を実行する・・という文脈なのだ。
つまり、「正義と秩序を基調とする国際平和」が維持される状況下では、「国際紛争を解決する手段として」の
「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」は放棄する。
この文脈に従えば、戦後70年が経過して、超大国アメリカの力に陰りが出てきて、
「正義と秩序を基調とする国際平和」が維持されない状況になってきたら、この禁止条項は意味を持たなくなる、
と言う事が想定される筈である。このような世界情勢の大変化の認識は国の存立にとって極めて重要である。

 (その二)の「前項の目的を達するため」における「前項の目的」とは何か?
 それは「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使を永久に放棄する事」であるが、
それは「国際紛争を解決する手段として」の武力行使の放棄である。
ここで「国際紛争」とは国家間の利害の衝突であり、この文の意味は、そういう事態に際して、
それを戦前日本がやったように、日本側の利益のために日本側から進んで武力を行使する事はしない(!)
という意味である。
そこへ、わざわざ「前項の目的を達するために」という語句を入れて、それ以外の武力行使は除外される事を
示唆したのである。

 では「それ以外の武力行使」は何か?
それこそが「国の存立維持のための自衛戦争」である。
だから、自衛のための最小限の戦力保持も交戦権も放棄はしないのであり、
「自衛隊は違憲である」と言う説は間違いである。

 条文が「否定文」で書かれている事に注目すべきだ。
「・・しない」という否定文は否定されていない事は容認されるものだから。
だが、その解釈は混乱をもたらしているので、「分かりやすい条文に改正しよう!」
というのが今回の安倍首相の真意であろう。


 それでは、平和憲法の基本精神を生かしつつ、
条文を「禁止表現」主体の文から「肯定表現」主体の文に変えたらどうなるか?
 「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、その維持に貢献するとともに、
  我が国の存立が脅かされる事態に備え、
  過去の我が国の歴史に鑑みて過大にならない範囲で、
  国家存立の自然権としての自国防衛のための最小限の武力とそのために限定された交戦権を保持する
。」

 以上は試案であり、荒削りな表現だが、こういう意味合いの文にすべきだろう。

 もちろん、どう表現しても、「最小限の武力」や「侵略戦争と自衛戦争」の厳密な定義は不可能である。
そういう事が書いてあるかどうかだけの精神論に過ぎないが、曖昧であっても、
今の条文よりは、かなりはっきりと、「自衛隊違憲論」は否定されるだろう。


 なお、小生は改憲には賛成だが、それには、少なくとも10年先に目標を定めて、国家戦略として、外交の
一環として、取り組むべきであると考える。
わずか3年後の施行を目指すような短期目標としてはいけない。
それは、上記のような難しい問題が含まれているから、国民に広く深く浸透刺させるには時間が必要だから、
というだけではなく、少なくとも、「軍隊の保持を明文化する事」が周辺諸国にインパクトを与えるので、
それを外交の力として利用しつつも、要らぬ摩擦は避ける配慮が必要でもあるからだ。

 そして、改憲の中に、いささかも個人的人権を抑圧するような条文を入れてはならない事を強調して置こう。
(終わり)
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