1956年の1月~7月にかけ、アメリカとメキシコを訪問して各地の大学や美術館で実技指導を行い、個展を開催している。今回展示中の雨のミシガンもミシガン大学の構内。ショップガールは1959年の冬に訪ねたパリのピエール・カルダンの店員を描いた作品。余談だがパリの印象について齋藤氏は「風景は絵になったが、人は冷たい感じがして好きになれなかった」と語っている。
今回展示の一番古い作品はハニワ(C)の1952年作。1947年に1年間東京国立博物館ニュースの題字デザインを手がけていた時、国宝級のハニワや土器を手にとって見る機会があった。そこから発想して作られた作品。雲母摺りやごま摺りの技法も使われている。
雲母(きら)摺り
料紙装飾や浮世絵版画の技法の一つ。版木に糊のりや膠にかわをつけて紙に摺り、その上に雲母(うんも)の粉を篩ふるいかけ、乾いたあと、残りの粉を払い落とす。浮世絵で雲母粉を用いた版画の刷り方。銀粉のような効果を出したもの。
ごま摺り
淡くかすれたような刷り。(摺り損じの事とも言われるが、齋藤清はわざとかすれた感じを出すために技法として使っている。)