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次郎長三国志

2013-01-26 | 映画
村上元三原作の小説『次郎長三国志』は次郎長物の傑作と言われています。
特にマキノ雅弘監督が映画化した東宝の作品は最高ですね。
東宝版『次郎長三国志』は長い間DVD化されていませんでしたが、
昨今ワンピースの尾田栄一郎が「次郎長三国志」のDVDジャケ描いて、
商品化されました。(マキノ雅彦=津川雅彦監督の作品ではありません)
『次郎長三国志』はマキノ雅弘自身が東映でリメイクしていますが、
東宝版が断然良いですね。

中でも第八部の『街道一の暴れん坊』が最高傑作でしょう。
この回は森繁久彌扮する森の石松が主役。
次郎長の女房お蝶と子分豚松の法事が盛大に行われ、
それぞれの親分集の香典が次々と集まる中、
大親分で名高い見受山鎌太郎の香典がたった五両。
それを知った石松は勝手に二十五両と書き貼り出す。
見受山鎌太郎は死んだ豚松の母親が泣きわめく姿に、
争いを慎むよう次郎長に諫言しながらも、
一方で次郎長を良い子分を持ったと誉める。
見受山は石松が書いた二十両は必ず返すと言い残し帰る。
見受山鎌太郎の志村喬が渋くて貫禄十分でいいですね。

法事が終えた次郎長は鎌太郎の諫言を受け、
愛刀を四国金比羅に奉納する事に。
親分次郎長の言いつけで金比羅に代参する事になった石松。
受け取った路銀から見受山の二十両を親分に返し、
自分は野宿をしながら旅をすると言い張る頑固な石松。
そんな石松に選別にと集めた八両二分を仲間達は、
女に持てない石松に讃岐の色町でいい女を見つけろと送り出す。

浪曲でおなじみ三十石船での金比羅代参、
酒飲みねぇ寿司食いねぇというエピソードはこの映画ではこの省かれています。

道中知り合った政五郎(後の小政)という男に、
惚れた女のノロケ話を聞かされる。
月明かりの下一面に咲く藤の花、
その一輪を切り落とし惚れた女は濡れた瞳のお藤という政五郎。
川のせせらぎで語り合う幻想的なここの画面は感動モノです。

さて無事金比羅に代参した石松、
讃岐の色町で濡れた瞳を持った『夕顔』に一目惚れ。
八両二分で女郎宿にしばらく逗留した石松、
未練を断ち切り夕顔からの手紙を懐に東海道を清水に向かう。

近江で立ち寄った見受山一家。
石松に二十両を返し義理を果たした鎌太郎。
石松が落とした夕顔の手紙を読み同情し、
夕顔を見受けして石松に添わせる約束をする。

旅を急ぐ石松が幼馴染みの小松村七五郎の許に寄る途中、
草鞋を脱いだ都田村の吉兵衛に貸した金が原因で騙し討ちにされ、
偶然出会った政五郎に看取られ死ぬ。

騙し討ちのシーンも見応えがあります。
祭りの夜、笛太鼓に踊る村人に混ざり、
お面を着けた吉兵衛一家の面々が石松を狙う。
急な雷雨の中、で始まる闇討ち。
「おらぁ死なねえよ、死ねねぇんだよ」
無鉄砲な石松が惚れた女の為に命を大切にしようする。
無惨に殺される石松と一輪の夕顔の花が切なく美しい。

ヤクザを扱った時代劇映画の定番ならば、
最後は清水一家が石松の敵討ち殴り込み、
という場面ですが、
マキノ監督はラストを
清水に向かう鎌太郎と見受けされた夕顔。
そして仇討ちのため海岸を走る次郎長一家のシーンで終えています。

この映画シリーズものですが、
この1本だけでも独立して見れる作品になっています。
森繁の石松はハマっていますね。
逗留している宿で女郎達に冷やかされた石松が、
おどけて猿の物まねをしますが芸達者な森繁ならではの物まね。

他にも七五郎の女房で越路吹雪が出演して、
詠う御詠歌が秀逸でした。
この作品、機会があれば是非一度ご覧になってみて下さい。

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2 コメント

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Unknown (DESTINY)
2013-01-26 23:59:58
こんばんは^^

次郎長三国志、リメイク版では無いのだと思うのですが
観た事があります^^
石松が騙し打ちに遭うシーンと
最後に海岸を駆け抜ける所がとても印象的で
覚えております^^
Unknown (レイジイ)
2013-01-28 23:13:29
DESTINYさんコメント有り難う御座います。
DESTINYさんそのシーンならリメイク版ではなく、
東宝版ですね。
たしかNHKかなにかで放映された気がします。

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