ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

生きるために

2010年12月17日 | 沖縄02歴史文化・戦跡

 新婚3ヶ月の友人Mは、女房の厳しい管理下で減量に励んでいる。先月会った時は2ヶ月で8kgも痩せたと言っていた。今週末のモアイ(注1)で会うのが楽しみだ。
 粗食、小食、草食という3回続けて言うと舌を噛みそうなことを、3年程前から(ウチナーチュらしく“だいたい”だが)続けている私は、Mより身長は5cmほど高いが、体重は、痩せる前のMと比べると30kg近くも少ない。標準体重の下の方である。ある日、粗食、小食、草食を始めて1年以上経ち、その効果が十分に現れた頃のこと、
 「今さらそんな頑張って、何するつもりだ。」とMに言われた。
 「今、俺は自分の体を引き上げる(懸垂が十数回できる)ことができる。ということはだ。お前と二人で山道を歩いていて、崖から滑り落ちたときに、俺は崖をよじ登れる可能性が高いということだ。生き残れる可能性が高いということだ。」と応えると、
 「それは違うね。崖をよじ登るのはリスクを伴う。失敗すれば体力を失う。しかも、脂肪の少ないお前は寒さに弱い。崖登りに失敗した場合はお前が先に死ぬというわけだ。そして、もし運良く成功した場合は、お前が助けを呼んでくれる。俺は待っているだけでいい。どちらにしろ、俺はあまり体力を消耗せず、生き残れる可能性がお前より高い。」と言い返された。「なるほど」と思ったので、それ以上反論はできなかった。
 生き抜くためには体力だけでなく、知恵が必要であると再認識した私は、以来、食べられる山野草というものにも興味を持つようになった。山に迷っても食い物に困らないようにすれば、さらに生き残れる可能性が高くなるというものだ。調べると、今まで知らなかったが身近な木の実や木の芽、道端の草の中にも食えるものがいくつもあった。今は、スーパーでいくらでも美味しいものが手に入るので、それらの木の実、草など食う気はしないが、知識として頭に入れて置こうとは思っている。

  身近な植物で食えるものの一つにソテツがある。ソテツの実や茎には大量の澱粉が含まれていて、昔は救荒食物としたらしい。しかし、それには毒が含まれていて、十分にアク抜きをしなければ中毒を起こし、場合によっては死に至ることもあるらしい。
 チャップリンの映画、「街の灯」でも描かれている世界大恐慌時代、砂糖の価格も大暴落し、サトウキビばかりに頼っていた沖縄の経済は大打撃を受けた。ウチナーンチュは不況のどん底に陥ってしまった。食い物が無い。もはや毒のあるソテツを食うしかない、ところまで追い詰められた。そのことを指して「ソテツ地獄」という。『沖縄大百科事典』によると、「ソテツ地獄」は以下のように説明されている。
 「第一次大戦後の戦後恐慌期から世界大恐慌期の慢性的不況下における沖縄経済および県民生活の極度の窮迫状況を意味する用語。(中略)米はおろか、芋さえも口にすることができずに、野生のソテツの実や幹(まずいうえに猛烈な毒性があり、調理をあやまると死を招く危険もある)を食べてようやくにして飢えをしのぐといった悲惨な窮状を、たとえてこう呼んだ。」
 実際に中毒を起こした人は多くいたらしいが、死にまで至った人はそうはいないとのこと。「ソテツ地獄」はソテツでも食わなければ生きていけない窮状を象徴した言葉なのであろう。困窮状態は世界大恐慌期以外にも、台風や旱魃による自然災害で沖縄には幾度かあったらしい。一九五九年、宮古で「ソテツ地獄」があったとの記録が残っている。
     

 注1:イースター島のオッサンの話ではない。模合と漢字で書く。沖縄の伝統的な相互扶助寄合。我々の模合は、実質的にはただの飲み会。詳しくはこちら→モアイ

 記:ガジ丸 2005.2.8 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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