ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ブチクン

2011年01月03日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 私の敬愛する漫画家の一人に、いしいひさいちがいる。彼の本は、私の部屋にある漫画本だけでなく、その他文芸書、仕事に係わる書籍、美術音楽関連の全ての中で断トツに多い。ちゃんと数えてはいないが、おそらく100冊近くはある。
 いしいひさいち作品はほとんど好きで、特に時事問題を扱っているものが好みで、『いしいひさいちの問題外論』は愛読していた。他に忍者もの、武芸人もの、地底人ものも大好きである。その他のものについては、読んだことはあるが、蔵書にするほどの愛情は持てなかった。そんな、あまり愛情の持てなかったものの中に『タブチくん』がある。
 で、表題の『ブチクン』、その『タブチくん』に対抗して「ぶち犬を主人公にした面白い話」や「沖縄の県魚グルクンの親戚ブチクン(なんてのはいないが)を主人公にした面白い話」なんてことも想像できるが、そんな大それた意図は、私は持っていない。

 ブチクンは沖縄語辞典にも載っている由緒正しきウチナーグチ(沖縄口)で、
 ①卒倒、気絶。②気分が悪いこと、元気の無いこと。
という意味。語源は書かれていないが、素人の私が推理すると、クンは根気のこと、根気のことをクンチとウチナーグチは発音する。クンチを略してクン。ブチは「仏」という意がある。仏壇をウチナーグチではブチダンと発音する。ここではしかし、その意味では無いと思う。沖縄語辞典に載っていないのでウチナーグチにあるかどうか不明だが、ブチは没のウチナーグチ発音ということにしたい。ブチクンは没根気ということになる。

  今日は7月7日。二十四節気の小暑。23日には大暑となる。太陽のギラギラが最高潮に達する季節となった。こんな日の日中、ギラギラ太陽の下で肉体労働をすると、ウチナーンチュの労働者たちは大量の汗を流しながら、肩で息をしながら、
 「ブチクンないっさー」と言い合う。その気分は、あまりの厳しさに「気絶しそうになるなあ」ということである。この時期は実際に、熱射病で気絶する人も多い。
 ブチクンは、主に肉体が疲労困憊した時に使われる。肉体が激しい痛みで参っている時には主に「シニハンジャー」という言葉が使われる。沖縄の夏の太陽を甘く見て、激しく日焼けをした時など、その痛さに「シニハンジャースン」と喘ぎ声が出る。
     

 シニハンジャーはシニハンザーがより近い発音表記のようで、その意味も正確には「死に損なった者」のことを言う。「死に損なう」はシニハンズンと言う。ハンズンは外れるということで、死から危うく外れたという意味となる。
 だから、我々が口にする「シニハンジャースン」は、間違った使い方となる。ハンを半と誤解して「半分死にそう」という意味で使っているものであろう。ウチナーグチで半死は、和語の直訳でハンブンジニと言う。

 さて、連日、炎天下の肉体労働でブチクンになっている私は、家に帰ってから本を読むなどという元気は全く無い。いやいや、本を読まないのはブチクンのせいでは無い。じつは、老眼のせいである。大好きな『いしいひさいちの問題外論』も長いこと続きを買っていない。1999年9月発行の17巻で止まっている。その頃私は老眼になっている。
     

 記:ガジ丸 2007.7.7 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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