ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

旧盆

2011年01月07日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 盆の時期になると沖縄のテレビでは「旧盆特別番組・・・」なんて番組が放送される。概ね民謡大会とか舞踊とか芝居とかで、民謡大会は、暮の紅白民謡大会と同じくらい盛大だったと思う。「だった」と過去形なのは、私がここ十年くらい観ていないから。新聞も取っていないので、盆の民謡大会に紅白が付いたかどうかも定かでない。 
 テレビ番組がどうであっても、旧盆が沖縄にとって重要な行事であることには変わりない。既にガジ丸HPでは『シチグヮチソーグヮチ』というタイトルで旧盆のことを紹介しているが、今回は解りやすく『旧盆』と題し、その補足とする。

 で、ちょっとおさらい。私は『シチグヮチソーグヮチ』を「七月の正月」と勘違いしていたが、正しくは「七月と正月」である。つまり、「七月に行われる正月のような行事」では無く、「七月と正月は共に大きな行事」ということ。「七月」とは盆の行われる月ということで、盆のことを指している。和語で言えば、「盆と正月」となる。

 盆とは、「盂蘭盆(うらぼん)の略。盂蘭盆の前後数日の称。」(広辞苑)で、盂蘭盆については広辞苑の説明文が長いので、要約すると、「祖霊を死後の苦しみの世界から救済するための仏事。陰暦7月13日~15日を中心に行われ、種々の供物を祖先の霊・新仏・無縁仏(餓鬼仏)に供えて冥福を祈る。」とのこと。
 タイトルを旧盆としているが、旧盆も広辞苑にあり、「旧暦により営む盂蘭盆」とのこと。しかし、元々、「陰暦7月13日~15日を中心に行われ」る行事だったので、旧盆が本家なのだ。新暦の7月や8月に行われる盆を新盆と呼ぶべきだ、と私一人が異議を唱えてもどうにもなる訳ないので、一般に準じて、私も旧盆と呼んでいる。

  さて、沖縄の盆、通称旧盆は旧暦7月7日に先ず、墓参りをする。ちなみに、7月7日は七夕だが、これも旧暦の方が七夕らしいと思う。半月の夜は、天の川も美しい。墓参りは墓掃除が主な仕事で、墓の内外に蔓延った雑草を刈り、落ち葉やゴミを掃き、きれいにした後、花を活け、お茶を入れ、お菓子を供え、線香を立てる。線香を立てて、私は手を合わせるだけだが、本来は「ウンケー(お迎え:お盆の初日)の日にはどうぞ家まで足を運んでください」などと唱えるらしい。ご先祖様たちは、あの世から先ず、あの世とこの世の出入口である墓にやってきて、それから家に向かうらしいのであ る。
 ウンケーは夕方に始まる。仏壇に果物やだんごを供え、お茶や酒や花を供え、そして、ウンケージューシーなる特別な料理を供える。ウンケージューシーとは、和語にするとお迎え雑炊となるが、雑炊とはヤハラ(柔らかい)ジューシーで、ウンケージューシーの場合はクファ(硬い)ジューシーとなる。つまり、雑炊と言うより炊き込みご飯に近い。
 線香を立てて、ここでも何やら「よくいらっしゃいました。どうぞご馳走など食べて、ゆっくりしていってください」など唱えるのだが、私は手を合わせる だけ。これで、お盆のウンケーの儀式は終わる。後は、供えたジューシーを下げて、食べるだけ。
     

 中日は特に儀式は無く、ただ、朝昼晩の三食(普通に家族が食べるもの、今回は私一人なので、サンドイッチ、冷やしソーメン、芋となった)を仏壇に供え、線香を立てる。

 ウークイ(御送り:最終日)の日は、朝昼は中日と一緒だが、夕方にはウサンミ(御三味;海、山、里のご馳走)を仏壇に供え、最後のご馳走とする。本来なら日付が変わる時間帯(できるだけ家にいて欲しいという気持ちを表す)に行うが、翌日仕事の私はそこまで待てない(最近は多くの家庭でも同様)ので、8時半頃から儀式を始める。
 供えたものを下げて、ウチカビ(お金に見立てた紙)を燃やし、玄関に供え物の一部と燃やしたウチカビなどを持っていき、ドアを開けて、先祖を見送る。先祖がゆっくりと出て行けるように、玄関はしばらくそのままの状態にしておく。そして、本来なら日付が変わってからになるが、玄関に供えたものを下げて、ウークイの儀式は終わる。

 なお、お盆の三日の間に、仏壇に供え物を納めるために親戚がやってくる。この供え物がお中元となる。お中元とは元々「中元の時期にする贈物」(広辞苑)で、中元とは「7月15日の佳節。半年生存の無事を祝い、盂蘭盆の行事をし、亡霊に供養する。」(同)とのこと。なので、仏壇に供えるという沖縄の慣習が由緒正しいのである。
     
     

  お盆の行事としては、沖縄ではエイサーが有名だが、エイサーは沖縄島中部が本場で、私が子供の頃の那覇では盆踊り大会が多かった。しかし、最近では那覇でもエイサーが盛んに行われている。確かに、子供の頃の盆踊り大会は倭国風で、何か馴染めなかった。エイサーはいかにも沖縄風。お盆になくてはならないものと感じる。
 実は、エイサーも盆踊の一つである。盆踊は、広辞苑に「精霊を迎え慰めるために音頭または歌謡に合わせてする踊り。原始舞踊に発し、仏教渡来後は盆の儀式として行われたが、室町末期から民衆娯楽として発達、その形式は円舞式と行進式との2種がある。」とあった。エイサーは踊りながら街中を巡る、行進式ということになる。
     

 最後に、「ガジ丸HPで沖縄の旧盆を紹介する」こととは全く関係ないが、ウンケージューシーは従姉Hが準備し、ウンケーの儀式を手伝ってくれた。ウークイの料理は従姉Mが準備し、ウークイの儀式を手伝ってくれた。二人とも、ありがとう。男一人ではなかなかできないことなのだ。結婚しとくんだったなぁと、この時は思った。

 記:ガジ丸 2010.8.25 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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