ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

黒砂糖

2011年03月18日 | 沖縄の飲食:果物・菓子

 疲れを癒すお茶請け

 古き良き時代の沖縄の家は、門に扉は無く、いつも開放されている。誰もがその敷地内に入ることができ、縁側に腰掛けて、しばしの休息を得ることができた。縁側にはたいていお茶とお菓子が用意されていた、と聞いている。古き良き時代だ。
 縁側に用意されているお茶とお菓子、具体的にどのようなものであったかは資料が無いので不明だが、おそらく両方とも最も手に入れやすいもの、お茶はサンピンチャ、お菓子は黒砂糖が多かったに違いない。17世紀の琉球に、既に黒砂糖は製造されていた。
 のんびりしている沖縄とはいえ、日本国の一県となって久しい現在では、縁側を開放している家などほとんど見なくなってしまったが、お茶請けに黒砂糖を出してくれる家は今でもきっと多くある。昔も今も変らずに、ウチナーンチュにとって黒砂糖は無くてはならない食品。多くの家に黒砂糖は存在し、スーパーではたくさんの黒砂糖が棚の一角を占めている。いくらか苦味のある甘さは、人生の苦楽を踏まえてなお、穏やかな笑顔を見せてくれるオジーやオバーのように、人に優しい。

  肉体労働者のおやつにも黒砂糖は適している。夏のギラギラ太陽にガンンガン照らされてブチクン(気絶状態を表す沖縄語)になりそうな時、また、あまりの暑さに働くのが嫌になって気が滅入った時などにも、黒砂糖は労働者の助けとなる。黒砂糖を口に入れると優しさを感じる。黒砂糖は心身ともに疲れを癒してくれるお茶請けなのである。
 甘いものが苦手な私は、子供の頃はそう食えなかったが、オジサンとなった今はよく口にする。お茶請けの黒砂糖と料理用の粉黒砂糖は常備品だ。固形のものは、普通の黒砂糖の他、ジーマーミ(地豆:落花生のこと)黒糖やクルミ黒糖なども利用している。最近では、口の中に入れるとじわーっととろけてしまうナービフチー(鍋縁)黒糖が最もお気に入りとなっている。固形の黒砂糖は時々だが、粉黒砂糖は料理用で、いろんな料理にしばしば使っている。料理に白糖を使わなくなってから3年あまりになった。
      
 黒砂糖
 くろざとう。黒糖(こくとう)ともいう。方言名:クルザーター
 含蜜糖の一種。広辞苑には「まだ精製してない茶褐色の砂糖。甘蔗汁をしぼって鍋で煮詰めたままのもの」とあるが、それだけではまだ、黒糖は飴のようなトロっとした状態。「甘蔗汁をしぼって」という表現も少し変。甘蔗はサトウキビのこと。サトウキビを搾った汁のことを甘蔗汁というべきだろう。搾った汁をさらに搾ってどうするんだい。
 広辞苑で甘蔗汁とあるサトウキビを搾った汁、これを『沖縄大百科事典』では搾汁と表現している。その搾汁を煮詰めて飴状になったら石灰を加える。すると飴状のももが固まって、よくご存知の黒砂糖ができあがる。精製された白糖とは違い、サトウキビの栄養がそっくり残っているので、黒砂糖には糖分以外のミネラルがたっぷり含まれている。そのせいで、かすかに苦みも感じる。でも、上質の健康食品に間違いない。
 17世紀の沖縄の偉人、芋(さつまいも)の普及にも活躍した儀間真常が、サトウキビの栽培や黒砂糖の製造にも深く関わっているとのこと。
      
 記:2005.5.23 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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