ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

セッカ

2011年04月11日 | 動物:鳥

 ウージ畑の住人

 ウージ畑と言うと、ウチナーンチュのほとんどが知っていて、その映像をすぐに思い浮かべることができるであろう。おそらく、青い海、白い砂浜、ブーゲンビリア、ハイビスカス、そして、米軍基地などと並んで沖縄を代表する景色の一つである。
  ウージとはサトウキビのこと。サトウキビ畑は沖縄のあちこちで見ることができる。私が子供の頃は今住んでいる那覇市首里石嶺にもサトウキビ畑は多くあった。今でも、小規模だが、近所、徒歩3分も行かない場所にウージ畑がある。

 家から車で3分も走ると西原町になり、そこには多くのウージ畑がある。その辺りのウージ畑で見たことは無いが、そこからさらに東へ下りて、海岸近くまで行くと、そこらのウージ畑や草原で見ることのできる鳥がいる。姿よりも声にすぐ気付く。
 初めチャチャッ、チャチャッ、しばらくするとチン、  チン、チンと鳴き声が変る。チャチャッ、チャチャッという鳴き声からヒバリとばかり思っていたが、調べると、沖縄にヒバリはいないとのこと。「ではいったい、おぬし何者?」と気になっていたのだが、なかなか止まってくれず、その姿を確認することができずにいた。
 やっと写真が撮れたのは、「おぬし何者?」と気になってから約2年も経ってからだった。それがセッカであると判ったのはそれからさらに約1年が過ぎた頃。
 ウージ畑だけでなく、ススキやチガヤの茂った草原や、海岸の公園などにも多い。特徴のある鳴き声を響かせながら、それらの上空を飛んでいる。

 
 セッカ(雪加・雪下) 
 スズメ目ヒタキ科の留鳥 熱帯、温帯に広く分布 方言名:チンチナー、ガイチン
 和名のセッカについては資料が無く、由来は不明。漢字の雪加、及び雪下は広辞苑にあった。なかなか情緒のある字面だが、本種は寒さには弱いらしい。
 方言名のチンチナーは鳴き声から。鳴き声は独特で、姿は見えなくともすぐにそれと判る。初めチャチャッ、チャチャッと鳴き、しばらくするとチン、チン、チンと変る。もう一つの方言名ガイチンは宮古の方言とのこと。宮古語について私は不明。
 私の住む首里など、人家の多い場所ではほとんど見かけない。緑の多い末吉公園でも見たことは無い。しかし、首里から東へ車で10分ほども行った南風原町、西原町の、サトウキビ畑や草原の広がる場所へ行くと、すぐに見つかる。海辺の公園や野原でもよく見かける。草原のチガヤなどに巣を設けるとのこと。
 全長12~13センチ。平地の草原、農耕地に生息。なお、鳴き声について、『沖縄の野鳥』には「チャチャ、チャチャ、ヒヒヒ・・・チン、チン」とあった。
 「一夫多妻で、雌だけが育雛」(広辞苑)ともあった。羨ましいことである。
 
 セッカ後ろ姿
 
 セッカの巣
 ススキの茂った辺りでしきりに鳴いていたので、見ると巣があった。

 記:ガジ丸 2009.12.2 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行