ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ジュウニマダラテントウ

2013年05月10日 | 動物:昆虫-甲虫目

 農夫を騙す虫

 広辞苑でテントウムシを引くと「テントウムシ科の甲虫の総称・・・アブラムシ・カイガラムシなどを捕食するものが多いが、植物の葉を食うものもある」とある。テントウムシについては既に6種類を紹介しているが、その内、ナミテントウ、ナナホシテントウ、ダンダラテントウ、キイロテントウ、ハイイロテントウなどは「アブラムシ・カイガラムシなどを捕食する」ので農夫にとっては益虫、ニジュウヤホシテントウは「植物の葉を食うもの」なので害虫となる。害虫は1種だけだったが、もう1種見つけた。

  広辞苑のテントウムシの次の項目に『てんとうむしだまし』というのがある。「テントウムシダマシ科の甲虫の総称」のことだが、また「ニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウなど、作物を加害するテントウムシ類の、農業上の別称」ともあった。農業上の別称とは「農夫の目から見た名前」と言い換えても良かろう。
 農夫の目から見ると、テントウムシの類は農夫の味方である。しかし、その中に「アブラムシ・カイガラムシなどを捕食することはせず、植物の葉を食うもの」がいる。
 「何だ、おめぇ、アブラムシ食っているのか と思っていたら、おらの大事な野菜を食っているじゃねぇか、騙しやがったな!」ということで、テントウムシ騙しとなる。
 今回紹介するジュウニマダラテントウは農夫を騙す奴のもう1種。

 私の畑なっぴばるにもテントウムシはやってくる。今のところナナホシテントウ、ダンダラテントウの2種しか見ていないが、それらもそう多くは無い。農夫を騙さないテントウムシならばもっとたくさんやってきて欲しいと願うのだが。
 なっぴばるには、テントウムシは少ないが、それの、たぶん100倍位の数のハムシ類がいる。特にウリハムシがごっそりいる。おかげでヘチマ3株、キュウリ2株、シブイ(冬瓜)2株が実を着けぬ内に枯れた。奴らは農夫を騙さない農夫の敵。

 
 ジュウニマダラテントウ(十二斑天道):甲虫目の昆虫
 テントウムシ科 琉球列島、台湾、フィリピンなどに分布 方言名:グスーマヤグヮ
 名前の由来については「上翅には6対(12個)の円状黒班があり」と『沖縄昆虫野外活用図鑑』にあり、12の斑でジュウニマダラなのであろう。
 テントウについては広辞苑に「店頭虫とする説がある」とあった。八百屋の店先にやってくるといった意味であろうか。漢字では天道虫と表記されている。天道は「天地を主宰する神」の意があるので「神の使いの虫」ということだろうか。
 漢字表記では他に瓢虫、紅娘とも広辞苑にあるが、紅娘とはいかにも可愛いらしい。写真を撮ってアップで見るとテントウムシの顔は概ね可愛い。私の主観だが。
 『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「微毛で覆われず、体に光沢をもつテントウムシ(ナナホシテントウ、ダンダラテントウなど)は、アブラムシやカイガラムシなどの農業害虫を捕食するので益虫と呼ばれる」とあり、逆に「体表が微毛に覆われているテントウムシ(ニジュウヤホシテントウや本種など)は主に草食性で、・・・などの農作物を食べる種が多く、害虫と呼ばれている」とある。本種もウリ科植物を食害するとのこと。
 体長は8ミリ内外、成虫の出現は3月から11月。寄主はカラスウリなど。
 
 腹側

 記:2013.4.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行