ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ラフテー

2011年03月26日 | 沖縄の飲食:食べ物(料理)

 沖縄が好きになる味

 沖縄の味というと、ゴーヤーチャンプルー、沖縄ソバ、ミミガー、ソーキ汁などが一般的には思い浮かぶのであろうか。私は、沖縄の味に「美味しい」と形容詞をつけた場合には先ず、ラフテーが浮かぶ。ラフテーを初めて食べたのは子供の頃だと思うが、その頃の記憶はあまり無い。「あー、こんなに美味しい沖縄料理があったのか」と感激したのは、高校生の頃、親戚のキヨおばさんが作ったラフテーを食べた時である。

 キヨおばさんはウタサンシン(唄と三味線)の名手で、沖縄民謡界でちょっとは知られた人でもあったが、料理も上手であった。ある日、伯母(キヨさんの従妹)の家で、
 「鍋にラフテーがあるから切って食べなさい。」と言われ、鍋を覗くと、豚三枚肉(赤身と脂身と皮のついた肉)の塊(サーロインステーキの大きさで、厚みが8センチほど)があった。見た目でトロっとしているのが判った。
 「包丁は要らないからねー、箸で切れるからねー」と伯母の声。その通り箸で簡単に切れる。それどころか、上手く掬わないと脂身の方は箸から落ちてしまうほどトロトロ。そして、その味がまた絶品だったのである。
 「すごく美味しいね。伯母さんが作ったの?」と訊くと、
 「キヨが作ったものさー。キヨのラフテーは昔から評判だったよー。」とのこと。
 それまで、沖縄料理にたいしたものは無かろうと思っていた私は、キヨおばさんのラフテーで考えを改めた。ちょっと大げさに言うと、それまで沖縄の民俗文化にさえいくらか卑下した気分を持っていたのだが、あのラフテーで我が生まれ島沖縄が誇らしいものに思え、沖縄に深く興味を持ち、沖縄が大好きになったと言ってもいい。

 ラフテーは、
 豚肉を角切りにして、醤油、砂糖、泡盛で時間をかけて煮込んだ料理。
 長崎の角煮、中国の東坡肉(トンポーロー)と似ている。三枚肉が好まれる。
などと文献にある。また、「煮込むこと3時間」などと料理本には書かれている。「圧力鍋を使えば30分」などと書かれてある料理本もある。
 私の作るラフテーは、「豚肉を角切り」にはせず、キヨおばさんのもののように塊で煮込む。「煮込むこと3時間」では無く、浮いてきた脂を丁寧に掬いながら2時間ほど煮込む。そこで、日本酒、味醂、醤油、黒砂糖を加え、その日は終わる。翌日2時間煮込み、さらに3日目も2時間煮込んで、やっと出来上がりとなる。そうやって、肉の隅々にまで味が沁み込み、肉はトロトロになる。箸で掬えないほどとなる。
  自分で言うのもなんだが、私の作ったラフテーも十分美味しい。だが、これまで何度もラフテーは作っているが、あのキヨおばさんのラフテーにはならない。味が違う。もっとずっとまったりとしていて、深い味だったと記憶している。
 何年か前に、従姉と「キヨおばさんのラフテー」について話したことがある。従姉もまた、私が感激した同じ日に、同じラフテーを食べて感激していたのである。
 「何か隠し味みたいのがあるのかなあ」(私)
 「味噌が入っていたような気がするんだけど」(従姉)
ということで、何度か味噌を使ってラフテーを作ったこともあるが、あの味は出せなかった。私も作れていないが、従姉も作れていない。残念ながら、キヨおばさんは数年前に亡くなっており、何らかのヒントを知っていそうな伯母も今年亡くなった。
 

 記:ガジ丸 2006.12.9 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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