ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キンレンカ

2017年06月20日 | 沖縄の草木:蔓蔦

 子供の頃、春子という伯母が同居していた。彼女は戦争で夫を亡くし、子供もいなかったため実家へ戻っていたのであった。私の父より少し上の世代は、戦争中は20代。彼女のように夫を亡くした人は多い。伯母は再婚せず、一人身のまま30年前に死んだ。
 数年前のシーミー(清明祭)に、春伯母の墓参りをするため塩屋(伯母の嫁ぎ先)へ行く。私の母、従姉2人、それと私の4人。塩屋は名護よりも、本部半島よりもまだ北、いかにもヤンバルといった景色の中にある部落。那覇からだと、高速道路を使っても片道約2時間はかかる。ついでにその近辺にある人気スポットへ寄りながらのドライブとなる。
 墓参りが終わって、東シナ海側にある塩屋から山を越えて太平洋側へ渡る。その海岸沿いを走らせて、景色の良い場所を探し、そこで5月の爽やかな海風に吹かれながら昼食を取る。母手作りのご馳走が入った重箱を開ける。墓前へ供えたものだが、「ご先祖様からのお下がりものです。子孫がありがたく頂くます。」といった意味合いがある。
 海岸端の小さな公園、ピクニック用のシートを広げて4人座る。座ったすぐ傍にオレンジ色の花がたくさん咲いていた。従姉の一人が
 「これ、ハーブよね。葉っぱが食べられるのよね。辛味があるらしいよ。」というので、葉を食べてみた。辛味というより、私には少し酸っぱく感じられた。従姉もその植物の名前は知らなかったが、後になって、それがキンレンカという植物であることが判った。

 春伯母は、甥や姪たちをとても可愛がってくれた。毎年毎年お年玉を貰い、誕生日プレゼントを貰い、クリスマスプレゼントを貰った。遊園地に連れて行ってくれ、レストランでご馳走もしてくれた。戦争未亡人という辛い境遇にあったのにも関わらず、彼女は明るく、そして優しかった。そんなたくさんの優しさに、私は何の恩返しもしないままであったが、キンレンカを見ると数年前のシーミーを思い出し、そして、春伯母のことを思い出す。思い出すことが私の小さな恩返し、と天国の彼女は思ってくれないだろうか。
 
 キンレンカ(金蓮花):フェンス・パーゴラ
 ノウゼンハレン科の多年生蔓植物 原産分布は熱帯アフリカ 方言名:無し。
 『沖縄園芸植物大図鑑』にはノウゼンハレン(凌霄葉蓮)という名で載っており、別名としてキンレンカ、またはナスタチウムとある。広辞苑を見ると、キンレンカはノウゼンハレンの別称となっている。花がノウゼンカズラ、葉がハスに似ているところからノウゼンハレンとなり、ハスの葉をした黄金色の花からキンレンカという名になっている。
 黄金色の花と書いたが、黄色の他、橙色、紅色もある。開花期、沖縄ではほぼ周年。
 キンレンカ、『沖縄園芸植物大図鑑』の3巻『有用植物』に掲載されていた。「花木」では無く、「野菜果物」の類らしい。花は食用、葉は香辛料として利用されるとのこと。
 
 花色2種
 
 斑入り

 記:島乃ガジ丸 2005.6.24 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行

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