ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

タックルス

2016年10月21日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 高校時代は共にラグビー部で、高校卒業後は共にお笑い芸人を目指した2人が、数年後にコンビを組んで、そのコンビ名がタックルス・・・という話ではない。
 昔、どのくらい昔か私の脳味噌は記憶していないのだが、沖縄を舞台に、アメリカ人の原告と沖縄人の被告という裁判の小説があった。著者は確か伊佐何某、これも私の脳味噌は正確に記憶していない。ただ、その裁判の中でウチナーグチの「クルス」がキーワードになっていたことを覚えている。クルス、私はそれまで「殺す」の沖縄語読みとばかり思っていたが、クルスは「殴る」という意味であることをその小説で知った。
 タックルスはラグビー好き漫才コンビの名前ではなく、ウチナーグチの1つ。タッは、先週の記事タッピラカスでも書いてあるように「叩っくるす」の「叩っ」が詰まったものか、あるいは、ただ単に強調を表す接頭語ではないかと素人なりに考えている。

 沖縄語辞典には動詞としてクルスンがあり、クルスはその活用形だと思われる。クルスンの第一義は「殺す。主として動物を殺すのにいう。」で、第二義は「打つ。殴る。」とある。その説明の中にソーグルシという言葉もあり「ほんとに殺すこと」という意とあった。人を殺すという意味ではソーグルシを使うのかもしれない。
 私の感覚では、これまで多くの沖縄芝居を観てきた経験から言うと、人を殺すという意味ではシナスが使われるのではないかと思う。シナスは沖縄語辞典に無い。シヌンがあって「死ぬ」という意。シナスは「死ぬ状態にしてやる」ということだと思われる。
 ちなみに。「死ヌン」は主に動物などが死んだ場合に対して使い、人の場合は「マースン」を使う。「ィエー(ねぇー)、スイ(首里)ぬジラータンメー(二郎爺様)やマーサンでぃやー。」、「ヰー(はい)、ヤシガ(だけど)、ナー(もう)百余トータンディ(百歳過ぎていたんだって)、ソーシチ(葬式)んグスージ(御祝い)ぬグトゥ(事)ヤタンディ(だったって)。」という風な会話となる。

 私は争い事が嫌いで、これまでの長い人生で殴り合いのケンカをしたことは、小学校で1回、中学校で1回あるのみ。しかも、その2回とも冗談の喧嘩であった。
 私は喧嘩を嫌う大人しい少年であったが、周りの友人達には気の荒い者も多くいて、彼らはたびたび本気で喧嘩していた。その際、殴り合いを始める前に、
 「ヌー(何)!」
 「ヌーが(何だ)!」
 「スミ(やるか)!」
 「死ナサリンドーヒャー!」
 「クルサリンドーヒャー!」
などといった言葉が交わされ、掴み合いになったり殴り合いになったりする。

 上記の「死ナサリン」、「クルサりン」は共に受動態で、能動体で言うとそれぞれ「死ナスン」、「クルスン」となり、ケンカではそう言う場合もある。もちろん、「タックルサリンドーヒャー!」も「タックルスンドーヒャー!」も使う。攻撃する意志がより強烈になる感じがする。「ウチ(打つ)クルスンドーヒャー!」も使う。これも強烈だ。ちなみに、シナスンの頭にタッやウチが付くことはない。語感が悪いからと思われる。
     
     
     

 以上は、先週紹介した「タッピラカス」も含め、沖縄でケンカする際の常套句である。そういう機会に巡り逢えたらぜひ使っていただきたい。念のため付け加えておくが、私はけしてケンカを勧めているのではない。ケンカする際はそれらの言葉を使うと迫力が出ますよと言っているだけ。ちなみに、ケンカは逃げるが1番と思っている私なら、
 「スミ!(やるか!)」
 「墨、・・・筆を使って書道ですな。」
 「タックルス!(たった殴(くる)す!)」
 「タックルするように半紙に向かう訳ですな。」
 「シナス!(殺す!)」
 「しなやかにということですか?」
 「ウチクルス!(打ち殺す!)」
 「いえいえ、お宅まで伺うほどではないです。」
などと言ってみたい。「バカにしているのか!」と殴(く)るされるかもしれない。

 記:2016.10.14 ガジ丸 →沖縄の生活目次

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