ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヒヌカン

2011年01月03日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 前にガジ丸通信で『久高島オデッセイ』という映画の話をしたが、そこでは祈りが日常生活の中にあるなんていうようなことを書いたが、じつは、久高島ほど頻繁では無いが、神への祈りは沖縄島の日常にもある。私の実家でも旧正月や清明祭、旧盆などの年中行事の他、母は月に2度、ツイタチジュウルクニチ(1日、16日)に仏壇とヒヌカン(火の神)へ供え物をし、線香を立て、何やら祈っている。また、街のあちらこちらにあるウガンジュ(御願所)には、誰かが祈ったであろう形跡をよく見ることができる。
 トートーメー(仏壇)もヒヌカンも実家にあり、子供の頃から慣れ親しんでいる。トートーメーには先祖の位牌を祀っており、盆や正月にご馳走が捧げられ、親戚の人たちがやってきて、線香をたてたりするので、あの世との交信場所、または、あの世との連絡口なのであろうという認識を、子供の頃の私は持っていた。
  ヒヌカンについては、ヒヌカンが火の神というウチナーグチであることを知っており、台所にあることから、「火事にならないでね」とか、「食べ物に困らないようにしてね」とかを祈るものであろうという認識を持っていた。それらの認識が当たっているのかどうかちゃんと調べてみようと思い立った。トートーメーは、『トートーメー万歳』なんて有名な沖縄芝居があるように、ウチナーンチュにとっては大切なもの。ぜひ書いておきたいが、これにについては次の機会ということにして、今回はヒヌカン。

 ヒヌカン(火の神)
 台所に祭られる神。普通、3個の石が置かれ、それを神と見なし、崇める。奄美から沖縄、宮古、八重山、与那国まで南西諸島全域に分布する風習。
 呼び名は地域によって、ウミチムン、ウカマ、ピアンガナシなどいろいろある。
 元々は竈そのものを拝したもので、3個の石は竈をかたどったものとのことである。現在では、石の代わりにウコール(香炉)を置くことが多い。実家では、私が知る限り3個の石だったことは無く、ずっとウコールであり、今もそう。
 トートーメー(仏壇)よりもこのヒヌカンの方が歴史はずっと古いとのこと。トートーメーは先祖の霊を祭る場所で、そこはご先祖様である。ヒヌカンはその名の通り神様である。先祖よりは神が先にあり、偉いのである。家庭を守る神として昔からあり、現在でも祈りの際は、先ずヒヌカンから拝し、次にトートーメーとなる。

 写真は実家のヒヌカン、ウチナーンチュの家のほとんどにこのようものがある。常緑の花とコップの水は常時供えられており、旧暦の1日、15日にはお茶とウブク(ご飯)を供える。手前側にコンロがあるが、実家は今、オール電化にしている。薪でもガスでも電気でも、神は分け隔てなく宿る。

 ヒヌカンが「火事にならないでね」とか、「食べ物に困らないようにしてね」を祈るところと上述したが、それらは資料に無く、私の推量である。貧乏だったウチナーンチュには先祖のことを祭るより、今日の食い物のことが大事だったとの推理である。
     

 記:ガジ丸 2007.6.3 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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