ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

強き者たち

2016年03月11日 | ガジ丸のお話

 去年(2015年)11月、畑に1匹のネズミが落ちていた。触ってもピクリともしない、完全に息絶えている。ネズミは体長5センチほどと小さく、後で調べるとワタセジネズミという種であった。目立った外傷はない、それが畑の真ん中で死んでいる。「何で?どういうわけ?心筋梗塞でポックリ逝ったということか?」などと考え、妄想。
     
 「お腹すいたわ、早く食べなきゃ」と獲物を捕まえて住処へ急いでいるサシバの目の前に、下方から黒い影が飛び出してきた。彼女は驚いて羽を立て急ブレーキ。黒い影は彼女の横に並んで、彼女に顔を向けた。雄のサシバだった。
 「やー、お嬢さん、きれいだね、嘴が素敵だね、飛び方がカッコいいね、良かったら俺と結婚しないか?安心しな、生活の面倒はみてやるぜ。」
 「何言ってんのバーカ、急に飛び出してきて結婚も糞もないわよ。顔洗って出直してきな。アタシはね、男がいないと生きていけないような弱い女じゃないのよ、アンタの世話なんか要らないよ!」と一蹴。あての外れた雄はスゴスゴと消え去った。
 「あっ、しまった!バカのせいで獲物を落としてしまったわ。」と、サシバ雌は鷲掴みしていた手が開いているのに気付く。辺りを見渡したが、獲物は行方不明。
 「ちくしょう、あの野郎、今度会ったら蹴っ飛ばしてやる。面倒みてやるなんて時代錯誤も甚だしいバカ野郎め、女は1人じゃ生きていけないとでも思っているのかよスットコドッコイ、ノータリン、アホ、マヌケ、あー、腹の虫が収まらないわ。」
 なんてことが畑の上空で起きて、畑の真ん中にネズミ、なのかもしれない。
     

 私の畑には畑を始めた当初からイソヒヨドリの雄が番鳥(他の鳥を追い払ったりする)として睨みを利かしているのだが、彼は今も毎日いないことはないが、最近留守がちである。その代わりなのか、最近はジョウビタキの雌をよく見る。ジョウビタキは冬鳥で、沖縄では10月~3月に見られる。その時期、去年は数日だけ姿を見せたのだが、今年はほとんど毎日いて、1ヶ月ほど前からは、私のすぐ近くまで寄るようになった。
 「人懐こい性格」だとは文献に書いていないが、私が草刈などの作業をしていると、すぐ傍、50センチほどまで近付く。私が振り向くと逃げるが、それでも1mほどしか離れない。そして、私を見ている。何か言いたいことがあるのか?と思って、
 「何の用だ?何か不幸なことが起きるのか?」と訊くが、彼女はクッ、クッ、クッと鳴くだけで、お告げらしきことは何も言わない。私には実は、気になることがあった。1ヶ月ほど前、久々に血圧を計ったら160を超えていたのだ。畑の健康野菜をたっぷり食べていて健康であるはずなのに、それ以降も150を超える日が続いている。
 「何か不幸なことが起きるのは叔父でも叔母でも無く、俺の身ということだな?俺もそろそろ死に時なのか?心筋梗塞でポックリか?」と問うが、やはり答えない。
     
 私の体調、血圧は高いが、快食快眠快便はずっと続いている。眩暈とか頭痛とか胸の痛みとかもない。倒れる前には何らかの予兆があるはずだ。少なくとも、何かあったとしても1~2週間後とかの近々ではあるまいと私は勝手に想像して、話を変えた。
 「お前、初めてここに姿を見せてから4年目になるけど、ずっと恋人ができないじゃないか。ジョウビタキの雄は独特の色模様をしているので会いたい思っていて、お前が連れてくるのをずっと期待していたんだぞ。」と訊いた。すると、これには応えた。
 「大きなお世話よ、結婚するしないは私の勝手でしょ。男がいないと生きて行けないような軟な女じゃないのよ私は。1人で生きていけるのさ。」とのこと。

 ジョウビタキの雌にしても、サシバの雌にしても女1人でも十分幸せに生きていけることを証明(?私の妄想だが)している。私の周りの適齢期を過ぎた独身女性たちを見渡すと、楽しくなさそうな人もいるが、静岡の才媛K女史やアラサーのA嬢はいつ会っても表情が優しい。1人をそれなりに楽しんでいることが、その表情から見てとれる。
 ちなみに、ジョウビタキの雌が私の傍にいるのは、私にお告げがあるというわけではないようだ。私が手を動かすと土の中、草の中からコオロギが飛び出してくる。彼女はそれを狙っていて、私の傍に近寄ってコオロギを口に咥えると、すぐに1メートルほど離れた所へ行きコオロギを飲み込む、それを繰り返しているのであった。
 「あんたは、私の獲物とりを手伝ってくれているだけさ、有難いとは思っているけど、お告げなんか何もないよ」と彼女は思っているかもしれない。
     

 「男勝り」という言葉を最近聞かない、いつから聞いていないのか覚えていないが、もうだいぶ前から死語になっているのではないか。今は「男勝り」が普通になったからではないかと私は思う。念のため、「男勝り」という言葉を知らない人のために、
 男勝りとは「女でありながら、気性が男にもまさるほどに勝気であること。また、そのような女」(広辞苑)で、勝気とは「人に負けまいとする気質」(〃)のこと。
     

 記:2016.3.7 ガジ丸 →ガジ丸のお話目次

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