ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

冷える線香

2010年12月03日 | 沖縄05観光・飲み食い遊び

 久高島といえば、イザイホー。なので、ちょっと書いておく。
 久高島には沖縄の開闢神話(ニライカナイ)に結びつく神事、イザイホーが伝わる。12年に1度、午年の旧暦11月15日から5日間行なわれ、久高島で生まれた30歳(丑年)から41歳(寅年)までの女性が祖先の宣旨を受け、ノロを頂点とする島の祭祀集団に入団する儀式。近年、過疎化によりナンチュ(神役)となる女性が少なくなったため、1978年を最後に、1990年、2002年は開催されていない。

 神事が行われる場所などを訪ねながらオジサン二人ブラブラ歩く。神事に関わる人以外は立ち入り禁止というクボーウタキ(ウタキは御嶽と書く。拝所、神の地といったような所)の前に来る。神の住まう場所だ。ウタキへ登る道の前に立ち入り禁止の看板がある。神事に関わる人以外は老若男女全て立ち入り禁止である上に、いかなる場合でも男の立ち入りは絶対禁止となっている。そんな聖なる場所に、画家の岡本太郎はそれを無視して立ち入って、写真撮影などをして、島人のヒンシュクを買ったという話が伝わっている。
 クボーウタキの入口前には立ち入り禁止とは別の立て札があって、
 「お願い 冷るウコウで拝して下さい ウコウ紙銭その他持ち込(ん)だ物すべて持ち帰って下さい 久高区長」と書かれてある。
 ウコウは御香の沖縄読み。紙銭はお金に見立てた紙、旧盆などで先祖を送る時に用いられるウチカビ(銭型を打った紙)のことだと思われる。ただ、"冷るウコウ"の意味が解らなかった。何で線香が冷えるの?なのだ。冷たい線香って何なの?なのだ。文全体から推し量ると、おそらく、線香に火はつけるなってことだろうと思われたが、それならば、「山火事の危険があるから線香には火をつけないで拝み、その線香は持ち帰ってください」とでも書けば、皆に解りやすくていいのではないか、"冷るウコウ"という表現は抽象的で解りにくいのではないかと思った。が、解る人には解るのであろう。
 火をつけないで拝む際の線香のことを"冷るウコウ"というのかと思って沖縄語辞典を調べたが、無い。沖縄のことなら何でも載っているという『沖縄大百科事典』にも無い。"冷る"をヒエルと読んでもウチナーグチのヒズルと読んでも無い。もしかしたら、"冷る"は神の島独特の表現なのかもしれない。「山火事の危険」とは関わり無く、久高島では線香に火をつけないのかもしれない。今度、久高島を訪ねる機会があったら区長さんに会い、訊いてみようと思う。
 その日、実は、島を離れる少し前に入った食堂でその事を訊くつもりだったのだが、食堂のオバサンの客を顎で使う迫力と、自らはほとんど動こうとしないそのぐうたらさに驚いて、つい訊きそびれてしまったのであった。
 

 記:ガジ丸2004.12.4 →沖縄の生活目次
 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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