ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

実録 白アリ恐るべし後編

2015年05月22日 | ガジ丸の日常

 2011年5月

 日曜日(8日)、雨は降らなかったが、朝からいかにも梅雨時らしい湿度の高い、じめっとした日だった。部屋の湿度計は75%を指している。座っていても汗が滲む。
 日曜日はたいてい畑仕事を休んで、部屋の掃除やら洗濯やらをしている。で、その日も午後から掃除に取りかかった。掃除機をかけ、クイックルワイパーでテレビや机、棚などを拭き、梅雨時はカビ時でもあるので、アルコール除菌スプレーを床に吹き付け、床の拭き掃除もやり、カビは流し下の棚に多く発生するので、そこも拭こうと思った。
 「梅雨時はカビ時、カビ時は白アリ時、除菌、除菌、除菌、除菌しなくちゃあ、貯金、貯金、貯金、貯金は無いけどね。」なんて即興の歌を作って、適当な節をつけて口ずさみながら、「そういえばそうだよ、去年白アリの発生に気付いたのはちょうど今頃だよ」と思い出しながら、流し下の棚の扉を開ける。「悪夢か!」と思った。

 流し下の棚には手製のスノコを敷いてある。棚の床に直接物を置くより、床と物との間に空気が流れるようにしておけばカビの発生を抑えられると考えたからだ。そのお陰かどうか、カビの発生は特に目立たなかった。ところが、しかし、白アリはいた。
 スノコを通して見えた白アリは10数匹であったが、中のワインストックやら、他の酒やら、タッパーやらを取り出し、スノコも分解し、すべて取り去ると、スノコの下にはたくさんの白アリがうごめいていた。ざっと数えて百数十匹。
 食われていたのはスノコ、スノコの裏が多く齧られていた。カビ発生を抑えるためのスノコが、白アリの餌になっている。何てこった!・・・と嘆く暇は無い。
 スノコの材料を全て外に出した後、先ずは、流し下の棚にいる白アリ供にゴキブリ用の殺虫剤をたっぷりかけ、外に出したスノコ材料に貼りついていた白アリにも同じ殺虫剤をたっぷりおみまいし、そしてやっと、一息つく。
     
 一息ついて、考えた。「白アリはどこから来たんだ?」と考えた。
 手製スノコの材料の一部は、去年白アリが発生する以前から部屋の中で、何らかの形で使用していた木材を再利用したもの。それに白アリの卵が付着していて、それが孵ったのかもしれない。いや、それならばまだ助かる。被害はスノコと棚の床のほんの一部で済むのだ。しかし、床下にまだ巣が残っていて、そこから棚の床まで上がってきて、スノコを齧っていたとしたならば問題だ。部屋全体が齧られている可能性がある。
 棚の床の、奥の右端に小さな穴が開いていた。「床下から這い上がってきた」可能性の比率を大きくする事象だ。不安が梅雨時の雨雲のように心に垂れ込める。
 翌日、白アリ専用の殺虫剤と塗料を買い、殺虫剤を棚の中と、右端奥に開いた穴から床下に向けてたっぷりかける。その後、棚の中と、スノコ(白アリに齧られているのはごく一部で、再々利用できる)に塗料を塗って、棚の中を元通りにした。

 棚の中を元通りにしたのは火曜日の朝、以来、白アリは見えないが、まだ数日しか経っていない。床下に白アリの巣があるかどうかの判定を下すのはまだ早かろう。父の一年忌を終えて、肩の荷が下りて、気分爽やかとなっているはずだった5月の中旬、白アリが床下に潜んでいるかもしれないという重い気分が、私の心に巣くったまま。
     


 2011年6月 あきらめの夏

 暦的には6月から夏なので「今は夏」といっていい。二十四節気で言うと立夏は5月5日だったので「今は既に夏」といっていい。私の感覚では、沖縄の夏は梅雨明けから始まる。梅雨が明けると太陽はガンガン照りつけ、日増しに暑くなっていく。そして昨日、沖縄気象台が梅雨明け宣言した。ということで、沖縄はもうどこからみても夏。
 夏とは言っても、まだ真夏では無い。今頃の季節を沖縄では若夏と言う。若夏は旧暦4月、5月頃のこと。今年は6月2日が旧暦の5月1日であった。その頃は梅雨時であり、ジメジメした嫌な季節でもあるが、晴れた日は過ごしやすい。日差しは強いが、真夏のそれに比べればまだ耐えられる。風は爽やかに吹く。夜も寝苦しさは無い。
 そんな過ごしやすい日々を、ここ2週間ばかり私は楽しくない気分で過ごしている。去年の同じ時期、ひと騒動となったシロアリが、今年もまた発生したからだ。
     
 流し台の下の棚にシロアリが発生しているのに気付いたのは5月8日。これが流し台の下の棚だけならいいのに、床下にシロアリの巣が無ければいいのにと願っていた。
 そんな願いも空しく、5月25日、外に置いてあった木材から台所の床下に繋がる蟻道を発見。即、殺処分したが、嫌な予感が残る。久々の本格派台風がやってくる前日の5月27日、台所の床の一部がボコボコしているのに気付く。床板の内部がシロアリに食われて空洞化し、ボコボコになるのは去年経験済み。シロアリ殺虫剤を床板に注入する。
 そして5月30日、「台所の床だけで済みますように」と祈りながら思い切って居間の畳を上げる。するとそこに、奴らはいた。去年ほどの数では無く、床板にさほどの被害も無く、畳もごく一部だけが齧られた状態であったが、奴らはうじゃうじゃといた。その日の内にシロアリ殺虫剤を買い、取りあえず居間にいたシロアリを殺処分する。
 去年、居間よりも寝室の方が遥かに被害が大きかった。奴らの本体が寝室の床下にあったからに違いなかった。で、「今度もそうかも」とほぼ確信を持ち、火曜水曜の出勤日が明けた6月2日、先ずはシロアリ殺虫剤を新たに購入し、先ず、ベッドを退け、ベッドの下に敷いてあった竹製ラグを除く。ベッドの足があった個所の畳が縦30センチ、幅80センチほど黒ずんで、腐っていて、そこにシロアリがうじゃうじゃいた。
     
 ベッドの足があった個所は去年シロアリの大きな巣があった個所に近い。床板を剥いで床下を確認したわけでは無いが、被害状況から去年の巣がまだ残っていたのであろうと考えられる。そういえば、去年リフォーム工事をした人は大工で、シロアリ駆除の専門業者では無かった。シロアリの完全駆除は、素人には難しいのかもしれない。
 6月5日、寝室の、ベッドの下の2枚を除いて、他の2枚半の畳を上げた。殺虫剤(約900円のスプレーを2缶使った)が効いたかどうかの確認。シロアリはいた。さすがに数は2、30匹と少ない。でも、見えるところに2、30匹いれば、床下にはまだうじゃうじゃいるものと考えられる。しかも、巣は健在で、女王も健在ということだ。
     
 『あきらめの夏』、昔、研ナオコが恋を諦めた夏、今年、現総理が執着していたその地位を諦めるであろう夏、私は今のアパートに住み続けるのを諦めた。18年以上も住み続けた家だが、秋になったら引っ越すことに決めた。それまでシロアリと同居だが。
     


 2011年8月 別れ

 去年5月、部屋にシロアリが発生し、畳、床板、床下の木材が大被害を受けた。リフォームしてもらったが、シロアリの巣、あるいは卵が残っていたようで今年もまた、5月の終わりにシロアリが発生した。1万円以上分のシロアリ殺虫剤を床下にたっぷり撒き、床下のシロアリは見えなくなった。と安心していたら、先日、恐ろしいことが起きた。台所の流しの上の戸棚を開けようとしたら開かない。何とかこじ開けると、中はシロアリだらけだった。大きな巣ができていた。シロアリは床下から壁を伝い、天井の木材を食いながら棚に下りてきたということであろう。
 天井に本隊がいるに違いない。駆除は困難と諦める。そのうち天井の木材がボロボロになって、ドサッと落ちてきて、寝ている私を押し潰すかもしれない。シロアリに押しつぶされて死んだとなれば、あの世で「何て情けない死に方をしたんだ、恥ずかしい。」と両親に怒られてしまう。で、シロアリからは逃げることにした。
     
     
 1993年12月に、実家から首里石嶺のアパートに越した。19年近く住んでいたことになる。小学校一年から高校一年までの約10年、今と場所は一緒だが建物は違う実家で暮らした。高校二年から大学を卒業するまではあちこちで一人暮らし、沖縄に帰ったのは1982年3月、それから今のアパートに越すまでの約11年間は現在の実家で両親と暮らしていた。ということで、私が私の人生で最も長く暮した家は2011年8月31日まで住んでいた、シロアリに食われている首里石嶺のアパートということになる。
 旅好きの私はたぶん放浪癖もあり、同じ場所に住むことを好まない性格だと思われる。そんな私が19年近くも同じ家に住んだ。コンクリートが剥がれ、カビが沁みついているボロアパートに何故それほど永く住んでいたかというと、住み心地が良かったからだ。畑付きだし、周りに緑が多いし、静かだし、近所は穏やかな人が多いし。

 人生で最も永く住んでいた家を出る。住み慣れた家を出る。残念な気分も多少あるが、しかし、これ以上シロアリとの同居は無理。最近、シロアリに体を齧られている夢を何度か見て、夜中、脂汗かきながら目覚めたことがある。それはもう、精神的にも肉体的にも健康に悪い。残り少ない人生、楽しくない時間はなるべく避けたい。住み慣れた町を出るのは淋しいが、新しい出会いに期待している。
     

 以上で「実録白アリ恐るべし」はお終い。酷ぇ災難だった、今思い出してもおぞましい経験であった。4年経った今でも嫌な想い出として残っている。

 再編集:2015.5.12 島乃ガジ丸 →ガジ丸の生活目次

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