ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

見たぞショウビン 

2015年06月26日 | ガジ丸のお話

 沖縄の男子の名前は、昔は音読みすることが多く、例えば、歴史上の人物でいえば尚巴志(しょうはし)、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)など。時代はずっと下って昭和の復帰前、米国占領下の琉球政府行政主席の3人は、大田政作(おおたせいさく)、松岡政保(まつおかせいほ)、屋良朝苗(やらちょうびょう)などとそれぞれ読む。
 私の親の世代になっても音読みは多く、朝延はチョウエン、寛徳はカントクと読み、私の年代になると少なくなったが、それでも、同級生に賢明(けんめい)、朝啓(ちょうけい)などがいた。名前の音読みは、おそらく中国文化の影響だと思われる。
 倭国でも音読みの名前は見られる。例えば・・・なかなか出てこないが、例えば吉田兼好(よしだけんこう)、武田信玄(たけだしんげん)、勝海舟(かつかいしゅう)とか。古い人ばかりだが、現代でも噺家などの芸名には音読みがありそうだ、具体的には思い出せないけど、笑瓶(ショウビン)とかいう名前の人がいたような・・・。
     
 表題のショウビン、これはしかし、噺家の名前では無い。昔の琉球の人物名。初めに断っておくが以下は私の作り話で史実では無い。そういう言い伝えも全く無い話。

 その昔、阿嘉(アカ:名字)親方(ゥエーカタ:士族の役職名)照敏(ショウビン)という侍がいた。身分は高いが、品性はひどく下品で、ケチで意地悪で下半身のだらしない助ベエ親父、賄賂で至福を肥やし、悪徳商人と結託し、民から消費税という名目で金を奪い取り、金の無い貧乏な民は虫けら同然に扱う悪党であった。ところが、「天網恢恢疎にして漏らさず」の通り、照敏の悪行はある男によって暴かれることになる。
 ※注:「天網恢恢疎にして漏らさず」は「天の網は広大で目があらいようだが、悪人は漏らさずこれを捕らえる。悪い事をすれば必ず天罰が下る意」(広辞苑)

 ある日、兼ねてから照敏に疑いを抱いていた正義の侍、王府直属の隠密同心であった河原万砂によって、照敏と悪徳商人が賄賂を授受する現場を押さえられた。
 「見たぞショウビン、この証文と、おそらく中身は金であろうこの菓子箱が動かぬ証拠となる。もはやこれまでだ、大人しく縄につけ!」と万砂は言うが、そう言われて大人しくするような照敏では無い。「者共出あえ」と家来と共に抵抗した。ではあったが、万砂は超人的に強く、者共達はあっという間に倒され、照敏は捕らえられた。
 照敏を恨んでいる者は多くいて、次々と証言者は現れ、次々と証拠の品も出てきて、ついに照敏の悪運も尽きて、島流しの刑となった。ということで一件落着。
     
   ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 表題の「見たぞショウビン」はしかし、これで一件落着では無い。見たぞショウビンのショウビン、じつは鳥のアカショウビンのこと。ナッピバルの周辺の森にアカショウビンがいることはその鳴き声を聞いていて知っていた。鳴き声はナッピバルを囲む周辺の森から頻繁に聞こえるので、1羽だけでなく数羽いるものと思われる。
 アカショウビンは夏鳥で、沖縄本島地方では4月から10月まで見られる。ナッピバルでも4月30日からその鳴き声が聞こえ、その後は毎日のように聞いている。
 声は毎日のように聞いている。去年も一昨年も声は何度も聞いている。その姿を見ようと森の中へ入って、1時間ほどシャッターチャンスをじっと待ったこともある。しかしアカショウビン、恥ずかしがり屋なのか警戒心が強いのか、人間が嫌いなのか、あるいは、私個人が嫌いなのか知らないが、その姿はまったく見せてくれなかった。
 であったが、2015年5月15日、私はついにアカショウビンを見た。
     
 畑の北側境界にグヮバの生垣がある。生垣は道路側から畑小屋方面に向かって約30mの長さがある。その日、いつになくアカショウビンの声が大きく聞こえた。「近くにいるぞ」と思って、畑仕事の手を休め、畑小屋へカメラを取りに行った。
 小屋の前に着いた時、アカショウビンの声が一層大きく聞こえ、振り返った瞬間、グヮバの生垣の道路側方面から、グヮバの生垣のすぐ上を飛んで東の森方面へ消えた。畑小屋の前にいた私と彼が最接近した時の距離は約5mしかなかった。
 カメラを手にする暇は無く写真は撮れなかったが、全体的に赤っぽいその姿、特徴のある大きなくちばしははっきり確認できた。図鑑の写真で見たその姿に違いなかった。見たいと願っていたその姿、「見たぞ!ショウビン」という気分であった。
     
 言うまでも無いが、アカショウビンは「品性はひどく下品で、ケチで意地悪で」ということはたぶん無い。私の目からはむしろ上品な姿に見える。
 ちなみに、河原万砂はカワラバンサと読む。カーラバンサーは沖縄の言葉でイソヒヨドリのこと。カーラは瓦、バンサーは番をする者という意で、高い所でさえずる習性があることから。私の畑の番鳥であるが、正義の鳥ということは、たぶん無い。
 もう一つちなみに、この頁に載せている写真の鳥は、この冬ちょくちょくやって来ていたオオタカとシマキンパラとコサギで、4枚目は番鳥のイソヒヨドリ。

 記:2015.6.21 ガジ丸 →ガジ丸のお話目次

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