ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オオイタビ・ヒメイタビ

2017年06月20日 | 沖縄の草木:蔓蔦

 先々週ウシーミー(清明祭)があって、我が家の墓に出掛けた。沖縄は仏教の普及がさほど進まなかったので、墓といっても倭国のそれのように寺の敷地内にあって、寺が管理しているということは少ない。沖縄の墓地は寺とはまったく関係の無いところに集団で、あちことに点在している。我が家の墓は泊港南岸近くの高台、泊と安謝の2つの港と泊大橋が見渡せる見晴らしの良い場所に、他家の多くの墓と共にある。
 我が家の墓は、骨壷の納まる部屋の部分が2~3畳あり、お参りに来る人のためのスペースが4畳ばかりある。それでも、その広さは周りの墓に比べると平均以下である。ウチナーンチュは伝統的に先祖を大切にする。墓の広さもその現れであろう。
 墓にはたいてい囲いがしてある。囲いは、我が家の墓を含め多くはコンクリートブロック塀で作られているが、古い大きな墓などの場合は、見事な石垣で作られたのもある。そのコンクリートブロック塀や石垣に蔦を這わせた墓も多くある。蔦は虫がついたり、コンクリートブロックを傷めたりするので嫌だという人も多いが、我が家もその口であるが、蔦はいかにも涼しげで良い。夏の直射日光に照らされたコンクリートは激しく暑い。蔦はその暑さを和らげてくれるし、見た目にもまた、優しさを感じさせる。
 涼しげな蔦、常に管理をしてくれる人がいればいいが、沖縄(地域によって風習が違うようなので那覇中心とする)の慣習で墓を訪れるのは、葬式などがあった場合を除いては年に2回、ウシーミーと旧盆前の七夕の日だけ。年に2回しか来ない場所に蔦を這わせては、墓が蔦に埋まってしまう。おそらく、蔦を這わせている墓の家族は年に2回だけでなく、時々剪定しに来ているのだろう。そういった管理が面倒っていうのも、我が家の墓に蔦を這わせない理由の一つかもしれない。我が家は伝統的に面倒臭がり屋なのであろう。

 墓でよく見る蔦はオオイタビとヒメイタビ。その他の蔦が這っているとすれば、それは概ね自然発生のもの、つまり雑草。オオイタビとヒメイタビは壁に這わせる蔦としては最も親しまれているもので、墓だけでなく民家の塀にも多く見られる。
 
 オオイタビ(大崖石榴):壁面
 クワ科の常緑蔓植物 原産分布は関東以南、沖縄、台湾、他 方言名:イシバーキ
 陽光を好むが、半日陰でも生育する。枝からいくつも気根(同じクワ科フィカス属のガジュマルなども気根を多く出す)を出し、それが壁に吸着し、成長する。
 フィカス属(和名ではイチジク属)にはフィカス・ベンジャミナ、フィカス・ハワイなどがあり、他に、ボダイジュやゴムノキなどもフィカス属で、沖縄にこの属の植物は多い。オオイタビはフィカス・プミラ。ガジュマルはフィカス・ミクロカルパという。
 イチジクのように食料とはならないが、濃い黒紫色の果実は、同種のイタビカズラやヒメイタビに比べて大きく、観賞価値がある。結実期は5月から9月。
 オオイタビの漢字、ネットなどには大板碑としているのもあったが、広辞苑にイタビを崖石榴としてあったので、ここではそれに大を添えて、大崖石榴とした。
 
 実

 
 ヒメイタビ(姫崖石榴):壁面
 クワ科の常緑蔓植物 原産分布は関東以南、沖縄、台湾、他 方言名:イシマチ
 陽光を好むが、半日陰でも生育する。枝からいくつも気根を出し、それが壁に吸着し、成長する、のはオオイタビと同じ。オオイタビより葉が小さく薄く、艶が無い。
 なお、漢字で石榴と書くザクロはザクロ科の落葉高木。ガジ丸で既に紹介済み。
 
 記:2005.5.9 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行

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