ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

トラツグミ

2011年05月06日 | 動物:鳥

 鳴くまで待てない

 公園の木立の中を歩いていると、時々ガサガサという枯れ葉の上を何者かが動いている音に気付く。「ハブ?」かもしれないが、ハブにはまだ一度も出会っていない。その何者かは、冬から4月上旬までの時期はたいていシロハラである。シロハラが枯れ葉の上を歩き、嘴で枯れ葉をひっくり返し、そこに潜む虫を捕食しているのだ。
   ガサガサはしかし、シロハラと限ってはいない。もしかしたらキノボリトカゲなどのトカゲ類かもしれない。あるいはハブなどのヘビ類かもしれない。ハブに嚙まれたくは無いが、遭遇はしたい。今まで出会ったことが無いので写真が撮りたい。なので、散歩の途中ガサガサ音がすると、いちいち音のする個所に目を向けている。

 3月上旬、西原運動公園を歩いていると、いつものようにシロハラがガサガサしているのにいくつも出会った。「なーんだ、またお前かよ」が何度も続いた後、「ん?今のは違うぞ、シロハラじゃ無ぇ、模様が違う、大きさが違う。」という者がチラッと見えた。人の気配を感じて、すぐに見えなくなったが、音はまだ聞こえる。
 見えた場所でじっと待つ。カメラを構えてじっと待つ。息を殺してじっと待つ。10分程も経って、何者かが姿を見せだした。シロハラとはまるっきり違う鳥だった。じっと待った甲斐があって、近付いてきた彼を写真に収めることができた。
 帰って調べると、鳴き声が「物悲しい声」とあった。それは聞いてみたいと思ったのだが、「夜鳴く」とのこと。夜の林にはハブが出る。夜は暗いのでハブに気付かず、嚙まれる危険性が高い。暗いので肝心の写真も撮れない。よって、鳴くまでは待てない。

 
 トラツグミ(虎鶫) 
 スズメ目ツグミ科の野鳥 沖縄では冬鳥 方言名:不詳
 ツグミは同じくスズメ目ツグミ科で、シベリアで繁殖し、秋に日本へ渡ってくる。本種は日本、中国で繁殖し、沖縄では冬鳥としてやってくる。ツグミは黒褐色の地味な模様だが、本種は黒と黄色の豹柄模様。名前の由来についての資料は無く、正確なところは不明だが、おそらく、その豹柄が虎に喩えられてトラツグミ(虎鶫)という名。
 なお、ツグミにはモートゥイという方言名があったが、本種は不詳。
 沖縄には10~3月に滞在。低地の林内、林縁部に生息し、樹下の枯れ葉の上や草の茂みの中を歩き回りながら、枯れ葉をひっくり返し、隠れた餌を採取する。
 全長29.5センチ。鳴き声は「ヒュー、ヒョー、と物悲しく」と『沖縄の野鳥』にあった。物悲しい声、聞いてみたいが、夜鳴くとのこと。沖縄の夜の林にはハブが出現する危険がある。ハブに嚙まれるのは嫌なので、聞きに行くのはちょっと。
 
 正面から

 記:2011.4.23 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行