ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ケラ

2011年10月21日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 懐かしい名前

 畑を耕している時、土中に見知らぬ虫を見つけた。「見知らぬ虫を見つけた」とはいかにも虫のことはたいてい知っていて、珍しく見知らぬ虫に出会ったみたいな言い方だが、土中の中には、目で確認できるほどの大きさに限って言えば、虫の数は少ない。蟻の類、ゴキブリの類、他の動物でもミミズの類、ナメクジ、ヒルの類、ブラーミニメクラヘビくらいしかいない。なので、「なんじゃこりゃ」と思う者に出会うことは少ない。
  その時、「なんじゃこりゃ」と思ったものは、私の眼にはバッタの類かな?と見えた。体長3~4センチとまあまあの大きさで、しっかり写真が撮れ、後日調べる。

 「あー何と、あなたでしたか、名前だけは子供の頃から親しんでいます。」と、もしも目の前にその時の虫がいたならば、そう伝えたであろう。ケラさん。
 「ミミズだーてっ、オケラだーてっ、アメンボだーてっ」と子供の頃歌っていた、やなせたかしの名作『手のひらを太陽に』に出てくるあのオケラ。一度も会ったことがないけれどとても懐かしいあのオケラ。「あー、沖縄にもいたんですね、やっぱり生きてるんですね。」と、今度会ったら声をかけてやろうと思う。

 
 ケラ(螻蛄・螻):バッタ目の昆虫
 ケラ科 日本全土から東南アジアに分布 方言名:不詳
 名前の由来については資料が無く不明。螻蛄、螻という漢字は広辞苑にあった。同じく広辞苑で「むしけら」を引くと虫螻と字が充てられている。しかしその意味はケラを特に指したものでは無く、「虫をいやしめていう語。また、とるに足りないとして人をいやしめていう語」とのこと。ケラが「むしけら」の代表というわけでも無い。
 初めて見た時はバッタかと私は思ったが、広辞苑には「コオロギに似て」とある。で、調べる。バッタ目(直翅目)はバッタ亜目とキリギリス亜目に分けられ、ケラはキリギリス亜目に含まれバッタとは離れる。さらに、キリギリス亜目の中のコオロギ上科ケラ科に分類されている。よって、「何に似るか?」の勝負は私の負け、広辞苑の勝ち。
 体長は雄27~30ミリ、雌30~35ミリ。土中生活をし、トンネルを掘って住まいを作る。食性は雑食性で、昆虫やミミズ、植物根などを食べる。
 「これを俗に「みみずが鳴く」という」(広辞苑)という鳴き声、「みみずが鳴く」という言葉自体私は知らなかったが、私はたぶん、その鳴き声をそれと知って聞いたことは無い。雄はジィー、雌はジィジィと鳴くらしい。成虫の出現は4~9月。
 
 横から

 記:2011.10.18 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行