ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

一日十五日

2011年01月06日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 私の勤めている会社は、私は週休三日という変則的な雇用形態であるが、普通勤務の社員の休日は少ない。日曜日の他、第二、第四土曜日が原則(出勤のことが多いらしい)休みで、祝祭日は正月三が日、こどもの日、旧盆のウークイ(最終日)の日、勤労感謝の日だけが休みである。夏休みなんてのも、もちろん無い。
 祝祭日については私も同じ条件である。なので、祝祭日が休みなんて意識は無い。なので、祝祭日がいつかなんて気にすることはほとんど無い。
 私が成人した頃、成人の日は1月15日であった。それがいつのまにか変わっていた。一昨年、甥の成人式があって、それで、変わったことに気付いた。

 さて、1月15日、じつは、本文とは何の関係も無い。表題の『一日十五日』が、書いた本人である私がつい、一月十五日と見間違えてしまったので、成人の日を思い出してしまった。この頁の話は一月十五日では無く、一日十五日。

 一日十五日はツイタチジュグニチと読む。ウチナーグチ読みである。和語にするとツイタチジュウゴニチということになる。月々の一日と十五日のことを指す。
 ツイタチジュグニチと言う場合の月々の月は、旧暦の月。沖縄では旧暦の毎月一日と十五日に神事仏事が行われる。沖縄の場合、神事なのか仏事なのか曖昧なものが多く、ツイタチジュウグニチもヒヌカン(火の神)と仏壇に対し、同時に行われる。

 父が旅行中で、実家が留守になっている。で、私が実家のツイタチジュウグニチの行事をやることになった。先々週の土曜日、3月22日が旧暦2月16日であった。
 その前日の金曜日、馴染みの喫茶店に行き、オバサン二人に訊く。
 「ヒヌカンに水と酒と塩を供え、線香を15本捧げる。仏壇にはお茶を供え、線香を3本捧げる。花瓶にはどちらも常緑樹の葉で良い。」とのことであった。で、翌日、実家へ行き、教わった通りにツイタチジュウグニチを行う。その最中、電話がある。
  「息子さん?」と訊く。向かいのMさんの奥さんだ。神事仏事に詳しい人だ。
 「はい、ツイタチジュウグニチをやっています。」と答えると、どういう風にやっているのか訊いた後、正しいやり方を教えてくれた。
 「ヒヌカンに酒は要らない。ウブクが要る。酒は仏壇に供える。」とのことであった。ウブクとは御仏供と書いて、本来は仏を供養する飲食物を指す言葉だが、首里那覇近辺では仏壇やヒヌカンに供えるご飯のことをいう。小さな器(それ用の器がある、足付きのカクテルグラスほどの大きさで陶器製)にご飯を丸く盛る。
 「その為にわざわざご飯を炊くのは大変だから、お米でもいいのよ。」とMさんは言ってくれたが、その時既に、線香に火を点けてから時間がだいぶ経っていた。米の在り処を探して、それを器に盛るまでには、線香は燃え尽きているであろうと想像されたので、
 「ウブクのことも酒のことも次回からちゃんとします。」となった。
     

 その日はまた、彼岸でもあった。彼岸の作法も前日にオバサンたちから聞いていた。餅を三個、天麩羅5個を供えるとのこと。その通りにする。それについては、向かいのMさんは、「そうねぇ、まあ、いいさあ。」となった。男がヒヌカン仏壇の行事をやること自体、「あんた、偉いねぇ。」と言い、「わざわざ実家まで足を運んで来て大変だと思うけど、頑張ってね。」と仰るMさんなのである。ツイタチジュウグニチに加え、彼岸のことまであれこれ言ったら、私が嫌がるであろうと思ったのかもしれない。
 ヒヌカン仏壇の行事は主に、家の主婦の仕事となっている。毎月の一日十五日に加え、彼岸、盆、正月などの行事がヒヌカン仏壇にある。沖縄の長男の嫁は、だから、なりてが少ないのである。同級生のT、Y、K、Nも私も長男で、いまだ独身である。

 記:ガジ丸 2008.3.29 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行

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