ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ツバメ

2011年04月08日 | 動物:鳥

 可愛い男

 私は可愛くない子供であった。可愛くない少年であり、可愛くない青年でもあった。顔の造作は良い(誰も言ってくれないが)と自信は持っているが、オジサンという歳になってからは渋さも加わり、さらに自信を深めているのだが、「可愛くない」はずっと続いている。「あんた、可愛くない」は、従姉たちにしょっちゅう言われている。

  そんな私なので、「若いツバメ」には一度もなれなかったし、もう若くは無いので、これから死ぬまでそうなることは無いだろう。「若いツバメ」は、「年上の女にかわいがられている若い男」(広辞苑)という意味らしい。そういう男が何故ツバメに喩えられるのかは不明。ツバメが速く飛ぶ様が元気な若い男のようである、ということか。
 剣豪宮本武蔵のライバル、佐々木小次郎の得意技は「燕返し」という。「ある方向に振った刀の刃先を急激に反転させて斬る方法」(広辞苑)という技。これのツバメは理解できる。ツバメは速く飛びながらも、その反転もまた素早い。目にも留まらぬ早業。

 
 ツバメ(燕) 
 スズメ目ツバメ科の旅鳥(一部越冬) 方言名:マッタラー
 ツバメの名前の由来は不明。方言名のマッタラーも不明。方言で凧のことをマッタクーとかマッタラーという。ツバメが凧に似ているのでは無く、凧がツバメに似ているからだと思う。ちなみに、那覇では凧のことをカーブヤーと言う。カーブヤーは蝙蝠のことも指す。那覇人は凧のことをツバメでなく、蝙蝠に似ていると感じたのであろう。
 本土では春にやってきて、秋に南方へ渡る夏鳥であるが、沖縄では春と秋に多く見られる。沖縄が中継地ということであろう。群でやってくるが、沖縄に立ち寄って、「もう疲れたよー」と思うのも中にはいるようで、越冬したり、越夏するものも少なくな い。
 全長17センチ前後。飛びながら昆虫を捕食する。あまり速く飛ぶので、飛んでいる姿の写真は、カメラ素人の私には撮れない。飛んでいる姿がカッコイイのだが。
 日本では奄美以南に住むリュウキュウツバメという種もいる。ツバメによく似ているらしい。撮った写真のものが、どちらなのか、素人には判別不可。
 生息地は水辺の近く、特にススキの生い茂った辺りで大きな群れを成している。職場の傍にある小さな川の上を数匹が群れて飛んでいるのを毎年見ている。鳴き声は、『沖縄の野鳥』では「ビチュビチュビリリリー」と表現されていた。
 
 ツバメの群れ
 沖縄島では群れを見たことがない。伊良部島では電線に群れて止まっていた。

 記:ガジ丸 2006.2.13 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行