ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

コウトウシロシタセセリ

2011年11月03日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 嫌いな漢字

 下等、中等、上等という言葉の中で、中等、上等はそれぞれ中等学校、上等小学校などと使われるが、下等は、下等学校などと使われることは無い。下等は、下等動物などとあるように、あまり良いイメージは無い。嫌われる言葉の一つであろう。
 等がつくものとしては他に、高等という言葉もあり、これは中学校の次に進む学校に使われる。そして、下等と同じく低等という言葉もまた、あまり使われないようである。これも嫌われる言葉の一つであろう。低等という言葉は、広辞苑には無い。
 さて、コウトウは高等と書くと良いイメージだが、頭頂部の薄くなった私にとっては、コウトウというと光頭を連想して悪いイメージとなる。嫌いな漢字となる。頭頂部なので正面から見ると判らないが、テイトウ(低頭)するとコウトウ(光頭)がばれる。ちなみに、「はげあたま」のことを禿頭と書くが、これは「とくとう」と読む。光り輝く頭は、数ある頭の中でも特等である、なんて連想されて、これは良い響き。

 別項の「スキップするチョウ」で数種のセセリチョウを紹介したが、先日の八重山の旅で、スキップしないセセリチョウを発見した。このチョウ、名前をコウトウシロシタセセリというが、頭が禿げているわけではない。コウトウが何に由来するか分らなかった。

 コウトウシロシタセセリ(こうとう白下挵):鱗翅目の昆虫
 セセリチョウ科 石垣島、西表島、東南アジア、他に分布 方言名:ハベル
 どの文献にも漢字の記載が無い。翅の下方に白い紋があるのでシロシタは「白下」かと推理されるが、コウトウは少し難問。私の嫌いな字である「光頭」なのかと写真をよく見たが、頭は光っていない。ならば、地名かもしれない。「江東」は東京の江東区のことでは無く、中国の長江下流の南岸の地のことを指す。が、分布地にそのような名前は無い。あるいは、他のセセリチョウに比べて飛び方が上手いので、「高等」なのかも。
 沖縄で見られる他のセセリチョウとは見た目が明らかに違う。調べるまで私は、本種がセセリチョウの仲間であるとは全く予想していなかった。見た目だけでは無い。セセリチョウは翅を開いて止まることは少なく、開いても完全には開かない。しかし、本種は完全に翅を開いて止まる。飛び方もスキップでは無く、ヒラヒラ飛んでいた。本種は沖縄に生息するセセリチョウのうち、チャマダラセセリ亜科に属する唯一のものであるらしい。
 前翅長20ミリ内外。成虫の出現時期は、年によって状況が違い詳細は不明とのことだがほぼ周年とあり、12月から1月に多いとある。食草はソメモノイモなど。
 
 成虫   

 記:ガジ丸 2005.12.6  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行