ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

自給自足の険しい道:飲食編

2011年06月17日 | 通信-社会・生活

 甘藷(サツマイモのこと、琉球から薩摩が奪ったのに何でサツマなんだと腑に落ちないので、私はサツマイモという名を使いたくない)さえあれば、食は概ね足りる。栄養分で足りないのは塩と蛋白質だけらしい。塩は海から採れる。蛋白質は、将来は魚釣りも念頭にあるが、当分は豆から採る。そのつもりで、私の畑にはウズラマメ、インゲンマメ、ラッカセイ、エダマメなどの豆類をその季節季節に植えている。
 芋だって、甘藷だけでは無い。ヤマイモも植えてあり、先日キャッサバ(タピオカが採れる)も植えた。さらにはタイモやサトイモなども植える予定でいる。それらの芋で、とりあえず腹を満たす。「腹を満たす」というのは気分の問題では無く、1日生きて行けるだけのエネルギーを摂取するという意味。余分には食わない。

 数年前から流行り出した地産地消、何で流行ったのかはっきり覚えていないが、地元のものを地元で消費すれば運搬する必要が無い、よって、ガソリンの節約になる、といったエコ運動の一つだったのではないか。地産地消は広辞苑にも載っているちゃんとした日本語。自産自消という言葉を時々私は使っているが、これは広辞苑に無い。たぶん流行ったことも無いし、昔からある言葉でも無い。「自分で生産したものを自分で消費すること」という意味。自給自足よりずっとハードルの低い言葉。ちなみに自給自足とは「自らの需要を自らの生産で満たすこと」(広辞苑)だが、自産自消は需要を満たさない。

  私は今、自産自消をしているが自給自足には至っていない。満たしていないものはたくさんある。ここに列挙するとページが埋まってしまうほどある。ので、満たしている方のものを挙げると甘藷とネギくらい。ネギも種は購入しているので厳密に言えば、自給自足できているいるのは甘藷だけとなる。去年から甘藷は他所で購入していない。
 しかしながら、「芋だけで生きていこうと思えば生きていけないことはない」かもしれないが、芋だけで生きていくのはきっと楽しくない。エダマメでビールを飲みたいし、焼きナスで日本酒を飲みたいし、冷えたトマトを齧りながらワインも飲みたい。
 ゴーヤーは天ぷらにしたい、ナーベーラー(ヘチマ)は味噌煮にしたい、キャベツはコールスローにしたい、トウモロコシはバター焼きにしたい、オクラはフライにしてケチャップをつけて食いたい、などなど、楽しく生きるためには甘藷以外の野菜も、ケチャップやマヨネーズ、味噌などの調味料も、ビールやワインなどの飲み物も必要。
          

  前回、生活の自給自足は難しいと書いたが、自分では作れない、あるいは作るのに手間と時間がかかるものが数多くあって、飲食に限っても自給自足は難しい。たとえ「味噌醤油なんて要らねぇ、塩だけでいい。酒は芋焼酎を自産する。芋と豆と野菜と芋焼酎だけで楽しく生きてやる」となっても、食料の自給自足にはなお障害が残っている。
 作物の出来不出来は自然環境に左右される。先だって沖縄島を襲った台風2号は久々の本格派で、豆もトウモロコシもピーマンもナスもオクラもトマトもやられた。甘藷は台風の被害を受けなかったが、いつも害虫にやられ、台風後は特にひどくやられている。他の野菜にも害虫はつき、キャベツやレタス、インゲン、ヘチマなどがやられた。自分が食う分でさえままならないのだ。農業で生活することの難しさを知る。
          

 記:2011.6.17 島乃ガジ丸