ガジ丸が想う沖縄

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貧しくとも幸せな心

2011年02月11日 | ガジ丸通信-社会・生活

 私の勤める会社は、昨年1月に若いMが辞めてしまい、現場仕事のできるのがSさんと私のオジサン二人だけとなった。さらに、昨年春から週休5日となった私は、週に2日しか出勤しないので、パソコンを使う事務仕事に時間を取られ、現場に出ることができなくなった。で、以来ずっと、仕事に慣れていない新しく入った若者二人を引き連れて、Sさんは現場に出て、自分の仕事をしながら、若者二人に仕事を教えている。
 自分の仕事をしながら、慣れない人に仕事を教えるのは面倒な事である。仕事全体の段取りを考え、自分は何をし、慣れない二人には何をさせるかを考え、二人ができない作業の場合は、いちいち教えなければならない。頭が痛くなるにちがいない。
 Sさんと私はほぼ同じ年齢で、オジサンと言っても爺さんに近いオジサンだ。肉体労働では無理が効かない。普通は、技術の要る作業をベテランがやり、力の要る仕事は若い者がやるのだが、その若者が仕事に慣れていないのでオジサンは力仕事も行う。力仕事が続くと腰が痛くなったりする。頭も痛いし、体もきつい。Sさんは大変だ。

 寒い日が続いていた1月中旬、車が修理中で、当分バス通勤だというSさんに、
 「帰り、近くの飲み屋に行って、泡盛のお湯割りで体温めようか?」と誘った。
 「最近酒に弱くなって、翌日の仕事に響くようになった」という理由で、Sさんとの飲み会は土曜日となった。土曜日ならばと、元同僚の二人MとTにも声をかけた。
  元同僚の二人は、社長との折り合いが悪くなって辞めた”元”なので、小遣い程度の給料しか貰っていない私や、毎日心身ともに疲れているSさんの現役二人と同程度に、会社や社長への批判が出る。いや、これを逆に言えば、2年以上も前に辞めていったM(1行目の若いMとは違うM、こちらは若くない)やTと同じくらいしか、私もSさんも会社へ対する愚痴は出ない。週二日しか出勤しない私は、給料は安くても仕事は楽なので愚痴があまり出ないのも当然だが、Sさんもそう多くの愚痴を言わない。
 Sさんは勤続25年、会社のために頑張って働いてきた。同僚の私が、他社へ自慢したい程、腕の良い職人だ。会社への貢献度は大きい。そんな人が、給料は年々下げられ(長引く不況のせいで)た上、苦労は倍増している。彼にはまた、子供が3人いて、その内二人は大学生、その内の一人は東京の大学だ。脛はガリガリになっているであろう。ガリガリの脛で肉体労働をこなしながら、愚痴をこぼさないオジサンなのだ。
         

  「誰が優しそうな人に見えますか?」と100人に訊いたら、100人が「Sさん」と答えるであろうと思うほどに、Sさんは見た目優しい。実際にも優しいので、それが表情に現れているのだろう。きっと誰もがその優しさを感じられると思う。優しそうに見えるので社長が甘える。優しいので、それを「まぁいいか」と許す。「古き良きウチナーンチュなんだなぁ」と私は思う。「もし100人の村がこんな人ばかりだったら、とても平和だろうなぁ、いいなぁ、住んでみたいなぁ」とも思う。ただし、Sさんは戦わなければならない時はきっと戦う。優しさが弱点になる恐れはあるが、そんな強さもある。
 世間には私やSさんより厳しい生活の人が多くいる。評論家によると、景気が良くなる気配は無さそうなので、この1年、貧しい人にとってはさらに前途多難、厳しい年になりそうだ。でも、そんな時こそSさんの「貧しくとも幸せな心」が必要かもしれない。
         

 記:2011.2.11 島乃ガジ丸

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