ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

タッピラカス

2016年10月14日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 タッピラカス、古代ギリシャの哲学者の名前ではない。タッピラカスは沖縄語で、和語にすると「叩き潰す」といったような意味。タッピラカスそのものは沖縄語辞典に無く、フィラカスで「押しつぶす、ぺちゃんこにする」で、タッは、これも沖縄語辞典には無いが、クルスンという言葉の説明の中に「タタックルスン」があった。
 タタックルスンの意味は書かれていないが、沖縄語の専門家では無い私が想像するに、タタックルスンは「叩く」の意のタタチュンとクルスン(殴る)の合成語で、「叩いて殴る」という意になる。タタッが詰まってタックルス、タッピラカスも同じように、元はタタッピラカスで「叩いてぺちゃんこにする」となる。和語でも「たたっ殺すぞ」という言い方があるようなもの。あるいは、ただ単に強調を示す接頭語なのかもしれない。

 タッピラカスは喧嘩をする時、
 「シナスンドー(殺すぞ)」
 「タックルスンドー(殴るぞ)」などと同様に、
 「タッピラカスンドー(ぺちゃんこにしてやるぞ)」と使われる。
 喧嘩の場面ではなくてもタッピラカスは使われる。ボーリングをしている際、手を滑らせてボールを自らの足の上に落とした時には、
 「アガーッ(痛い)!ヒサ(足)タッピラカチャン」などと言う。

 猛烈台風18号が先週月曜日には沖縄島を襲うと聞いて、その前日の日曜日の午後は畑の台風対策に追われた。2ヶ所あるネットハウスなどのネットを畳み、2ヶ所あるテントを畳み、物置と畑小屋に補強材を打ち付け、頭でっかちのバナナが倒れないようその葉を落とし、風に飛ばされそうなものは小屋や物置の中に片付けた。
 台風は当初の予想より速度が遅く、月曜日の予報では夕方に沖縄島が暴風圏に入るとなっていた。そして、悪いことに猛烈台風は前日よりさらに発達していた。最大風速60メートルと言う。そんなのがまともに来たら畑小屋が倒れるかもしれない。小屋より軽い物置は飛ばされるかもしれない。で、その朝、小屋と物置のさらなる補強へ出掛けた。
 ネットハウスの骨組みである鉄パイプをロープで縛り、小屋と物置のそれぞれを固定しているワイヤーを締め直し、小屋と物置を繋ぐようにして木材を打ち付け、鉄パイプを物置に接するように地面に打ち付け、その鉄パイプに物置を固定した。
     

 タッピラカス、喧嘩や争いごとの嫌いな私は滅多に口にする言葉ではないのだが、月曜日の朝、台風対策をしている最中にその言葉が出てきた。
 鉄パイプを地面に打ち込む時、金槌を使う。何度も何度も金槌をパイプの頭に向かって振り下ろす。金槌を直接パイプの頭に打ち付けると、その衝撃でパイプの頭が少々変形してしまうので、パイプの頭に厚めの板を置いて、その板を叩く。板の端を左手で掴み、右手で金槌を振る。振り下ろすこと20数回目の一撃が、板を掴んでいる左手の親指に手加減無い早さのまま当った。ここ3週間ほど続いている激しい歯痛(先週のお話『ろうかの足音』に詳細あり)を超える痛さ。で、タッピラカスという言葉が頭に浮かんだ。
     
 タッピラカスは酷く負けた時、痛めつけられた時などにも使う。パチンコやパチスロで有り金全て失うほど負けた時に「タッピラカされたぜ」と使うことができる。台風で畑の作物が酷くやられた時には、「台風にタッピラカされたなぁ」と農夫は溜息をつく。
 地球温暖化のせいか知らないが、史上最強の最大瞬間風速80mとなった台風18号、しかし、奴は沖縄島を直撃せず、タッピラカされる覚悟の農夫は胸を撫で下ろした。
     

 記:2016.10.9 ガジ丸 →沖縄の生活目次

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