ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

酒造りの野望その2

2014年02月27日 | ガジ丸の日常

 去年12月に仕込んだ日本酒は正月で大方飲み干した。味はまあまあいけていると思ったが不満は残った。35年程前、東京に住んでいる時に作ったものに比べると、香りと甘さが全然少なかったからだ。アパートのドアを開けると醸造の甘い香りが漂って、それだけでもう酔ってしまいそうな、幸せな気分になれたのに、今回はそれが無かった。
  沖縄の水は硬水である。東京の水は軟水である。その違いかもしれないと判断し、ならば、軟水を使ってもう一遍挑戦してみようと、1月11日に仕込んだ。米は前と一緒、米麹も前と同じ市販のもの。水を市販のペットボトル入り倭国産水に代えた。
 米と米麹と水を混ぜたものは仕込んで7日くらい経つと発酵し始め、モロミとなる。発酵しているかどうかはモロミが泡立っていることで判る。仕込んで9日目、容器の蓋を開けて見ると、泡立ち具合は前回と同程度で、香りも前回と同じく、ほとんど無い。「こんなもんだったかなぁ?」と、35年前の部屋の匂いを思い出しつつ「またダメかなぁ」と望みを失くしかけていたのだが、それから3~4日後に変化が訪れた。

  仕込んで12日目頃からモロミの泡立ちが前回のそれよりずっと盛んになった。グツグツと音も立てていた。前回はアルコール臭が強かったのだが、今回はそこに甘さが加わった。東京で造った時に近い甘い匂いだ。アルコール度数も十分あるはず、もう立派などぶろくの出来上がりだ。「これなら味もいけるかも」と期待が膨らんだ。
 仕込んで14日目の1月25日、どぶろくのまま飲むのは口当たりが悪い、というか、飲み物というより食べ物(お粥)に近いので「酒を飲む」という感じがしない。で、どぶろくを布で濾した。初めはその重さで自然に垂れ落ちるままにし、ごく薄い濁り酒とし、その後、その布を絞って、しごいて、とろっとした濃い濁り酒を造った。
  「自然に垂れ落ちるまま」は時間がかかる。モロミを濾す布袋が小さいこともあり、丸一日かかって濾せた量は2合程度、その後、布袋を手でしごいて同じく2合程度の濃い濁り酒ができた。26日の夜、試飲。前回よりはずっと良い。が、物足りない。どぶろく、濃い濁り酒、ごく薄い濁り酒のどれも香りが少ない、甘味も足りない。
 「仕込んで12日目頃からモロミの泡立ちが・・・盛んになった」と書いたが、泡立ちが盛んということは、そこからガスが盛んに発生しているということになる。そのガスは酒の匂い、甘い匂いだ。その頃から部屋のドアを開けると「酔ってしまいそうな、幸せな気分」になれた。でもまだ、東京で造ったものに比べるとそれも物足りない。

 布袋でモロミを濾して、絞る作業を数日かけて4回ほど繰り返した。布袋に残った酒粕は粕漬けに使おうと思い、1回目のものは平たいタッパーに入れておいた。翌朝そのタッパーの蓋が取れていたので、「何で?」と見ると、酒粕は盛んに泡を出し発酵していた。ガスが溜まって蓋が取れたようだ。「もしかしたら」と思って、1回目から2回目までの酒粕を広口瓶に移し、水を加え軽く蓋をし、しばらく置いておくと期待通りとなった。それはモロミの発酵をし、盛んに泡立ち、ほんのり甘い匂いのガスを出した。
  絞った酒粕から再度酒ができるとなれば、酒造りの材料代が安くなる。安く旨い酒が出来るとなれば、自給自足芋生活を目指す私にとってはとても良い話。「貧乏だけど旨い酒が飲める余生だぜ」と半ば有頂天になって、幸せの広口瓶を流しの下に保管した。
 その日(27日)の夜中、ポンっという大きな音で目が覚めた。寝ぼけた頭で「何事だ!」と考えながら起きた。部屋は見た目に変わりは無かったが、甘い匂いが漂っていた。で、予測がついた。「流し台の下の酒だな、たぶん」と、そこを開けた。

 流し台の下は悲惨な状況になっていた。どれだけ悲惨だったか写真を撮れば良かったのだが、その時には写真を撮るなんて思い付く余裕もなかった。中央の最も手前に幸せの広口瓶を置いてあったが、それの蓋は離れたところに落ちていて、その周りはどぶろくだらけとなっていた。どぶろくは広口瓶の周りだけでなく四方八方に飛び散っていた。流し台の下にはタッパー類、缶詰類、インスタント食品(カップ面など)、粉類(小麦粉など)を保管していたが、それらの多くにもどぶろくは降りかかっていた。
 夜中の掃除となった。だいたいで済ませたのだが、それでも30分はかかった。目が覚めてしまった。ハーっと溜息をつき、しばしボーっとする。
 気を取り直して冷蔵庫を開け、既に絞って瓶に詰めてあった自作日本酒をぐい呑みに半分ほど注ぐ。飲む。フーっと息を吐く。「旨ぇじゃねぇか」と自酒自賛。
     
     
     
     
     

  酒を絞った後の酒粕に再度水を加えたものが、軽く締めておいた蓋を吹き飛ばすほど発酵しているのだ。これも十分なアルコールを含んだ酒になることは間違いない。辺りには醸造の甘い匂いが立ち込めている。「不味いということもなかろう」と思う。そう思うと何だか愉快になってきた。ぐい呑みの酒を飲み干し、おかわりをする。今度はなみなみと注ぐ。煙草に火を点ける。独り暮らしのオッサン(私)は自由気ままだ。いつでも遠慮なく屁をこき、鼻を穿る。どんな表情をしているのかも全く気にしない。その時の私はたぶん、ニヤニヤと気持ち悪い笑いを浮かべていたに違いない。
 酒造りの参考書『ドブロクをつくろう』には日本酒の他、ワインの造り方、焼酎の造り方なども載っている。「よっしゃ!いつかワインも造ってやるぞ、芋焼酎も米焼酎も黒糖焼酎も造ってやるぞ!」と決意を新たにしたのであった。

 記:2014.1.11 島乃ガジ丸 →ガジ丸の生活目次

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